Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Rheinhessen

Weinhaus Weinreich ROT Rotwein Trocken 2019 Rheinhessen

ラインヘッセンの赤ブレンド。ドルンフェルダーが主体のようです。ラインヘッセンと言えばドイツ最大のワイン生産地であり、生産量も最大です。そんなラインヘッセンなのですが、なぜかあまり飲む機会がありませんでした。こっちが避けていることはないと思うのでインポーターの扱いの偏りでしょうか。とにかくお試ししながら深掘りしてみましょう。

IMG_9827
ラベルがあまりにも簡素なので裏ラベルを頼りに作り手を調べます。ラインヘッセンのベライヒ・ヴォンネガウ(Wonnegau)にあるベヒトハイム(Bechtheim)という町のヴァイングート・ヴァインライヒ(Weingut Weinreich)ということはわかりました。ヤンとマルクのヴァインライヒ兄弟が2009年から始めたワイナリーになります。今日のワインもユーロリーフのビオワインですが、オーガニックやヴィーガンを積極的に推し進めているようです。マキシメ・ヘアクンフト・ラインヘッセン(Maxime Herkunft Rheinhessen)というVDP会員から成るラインヘッセンの生産者団体(2017年発足)のメンバーです。

公式ページはこれ。単一畑ワインやゼクト(Sekt=Schaumwein)もやってますね。

ワインリストに今日のワインはあるようなんですが、個別の説明がないですね。しかたないので、以下インポーター情報から。

・ドルンフェルダー 60%
・メルロー 30%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 10%

ステンレスタンクで発酵、18ヶ月の樽熟成をするとのこと。ドルンフェルダー主体にメルロー・カベソーとは面白いブレンドな気がします。

ドルンフェルダー(Dornfelder)はラインヘッセンで黒品種では一番多い品種です。
Dornfelder
ドイツ国内でも黒ブドウとしては2番目に多く栽培されている品種です。(1位はもちろん、Spätburgunder、ピノ・ノワールです。)この品種が生まれたのは1955年で、ヴァインスベルク研究所のアウグスト・ヘロルド(August Herold)さんが、

・ヘルフェンシュタイナー(Helfensteiner)X ヘロルドレーベ(Heroldrebe )

の交配で生み出しました。人工交配で生まれたのにこの交配品種が判明したのは2012年のDNA鑑定によってだそうで、アウグストさん、ちゃんとメモっておきましょうね(笑)。この品種が交配されたヴァインスベルク(Weinsberg)研究所の創設者、イマヌエル・ドルンフェルドさん(Immanuel A. L. Dornfeld)に因んでドルンフェルダー(「ドルンフェルドさんの~」の意。)と名づけられています。


ヴァイングート・ヴァインライヒ(Weingut Weinreich)を訪問しましょう。
Weinreich01
ドイツはストビューがないのでHPでワイナリー外観写真を探しますが全くありません。facebookにもない。困った果てにネットで見つけたのが右上にインポーズしてある写真です。立派な外観でホテルもやってるようなんですが何で写真を上げてないんでしょうね?
このタンクの写真は公式に上がっていたものです。ワイナリーはベヒトハイム(Bechtheim)の町の中にあります。

ラインヘッセン(Rheinhessen)は13ある指定生産地域(g.U.)のひとつです。
Rheinhessen
ラインヘッセンは、ドイツのワイン産地の総面積のほぼ 4 分の 1 を占めます。品種の比率は以下のような感じです。(2021年統計:ラインヘッセン公式HP

リースリング 19%
ミュラー・トゥルガウ 15%
ドルンフェルダー 12%
・ピノ・グリ(Grauer Burgunder)8%
ジルヴァーナー 7%
ピノ・ノワール(Spätburgunder)5% …

白ワインが優勢ですが(全体の約73%)、ドルンフェルダーも相当あるのがわかります。これでもドルンフェルダーの栽培面積はドイツ国内最大です。また、ラインヘッセンは以下の3つのベライヒ(Bereich)に分かれます。(上の地図にも示しています。)

・ビンゲン(Bingen)
・ニーアシュタイン(Nierstein)
・ヴォンネガウ(Wonnegau)

今日の作り手は、地図にも記したようにベライヒ・ヴォンネガウ(Bereich Wonnegau)に属しています。加えてラインヘッセンは、24の集合畑(Großlage)、432の単一畑(Einzellage)を内包しています。


ラベル平面化画像。
IMG_9706

インポーターシールは目立たず、裏ラベルも隠しません。
Importer-seal


さあ、スクリュー回転。
IMG_9825

Alc.12.5%。
赤味があるガーネット。
IMG_9826

黒ベリー、アセロラ、リコリス。
辛口アタック。
ちょうどいい酸に誘われ、
こじんまりした旨味に辿り着く感じ。
薬草の臭みはほぼないです。
ピノ・ノワールのようなエレガントさもありますね。
ビオだからか結構なオリが最後にありました。

その昔、ドイツで初めて飲んだドルンフェルダーが薬草の風味満載でした(笑)。
その印象からすると意外過ぎるぐらい美味しいです。
やはり同じ品種もいろいろ試さないとだめですね。


*****

Weingut Weinreich
ROT Rotwein Trocken 2019
Rheinhessen
RRWポイント 91点


Weinkellerei Reh Kendermann Black Tower Rivaner 2019

なんだこのボトルは? 上半分が赤ワインで下半分が白ワイン? …なわけはなくて、上半分が黒く塗られてるようです(笑)。ドイツのテーブルワインかと思いきや裏ラベルを見ると「Qualitätswein Rheinhessen」とあるので、g.U.(geschützte Ursprungsbezeichnung)のラインヘッセンということはわかりました。しかし、気になるのは「リヴァーナー(Rivaner)」という品種。ミュラー・トゥルガウのことらしいんですが、そのあたりを紐解きながらお試しすることにしました。

IMG_9648
レー・ケンダーマンは、1920年にモーゼル地方でワイン商を立ち上げたカール・レーさんが近代的な醸造技術を取り入れ自ら設立したワイナリーと、ケンダーマン・ワイナリーとが1997年に合併してできたものです。ドイツ各地でワイン作りをしていますが、本拠地はレーさんが立ち上げたワイナリーのあるライン川のほとり、ラインヘッセン側の町ビンゲン・アム・ライン(Bingen am Rhein)にあります。

公式ページはこれ。Black Towerというシリーズはここの看板ワインだそうです。

Black Tower のリースリングは載っていますが、リヴァーナーがありません。

と思ったら「Black Tower」専用サイトがありました。やっぱり看板ワインですからね。

こちらにはデータシート付きでリヴァーナーが載っていました。

・リヴァーナー(ミュラー・トゥルガウ) 100%

リヴァーナーのドイツ語のシノニムがミュラー・トゥルガウだと解説があります。今風の醸造をしています以外の情報はありません(笑)。辛口ではなく「中甘口」であることはわかりました。

これがミュラー・トゥルガウ。古くからありますが人工的に育成された交配種です。Muller-Thurgau_Rivaner
もっぱらドイツかオーストリアで栽培されています。ドイツでは2番目に多い(1位はリースリング)ポピュラーな品種で、一時期(1975~1995年)はNo.1でした。1882年にドイツのガイゼンハイム研究所でヘルマン・ミュラー(Dr. Hermann Müller 1850-1927)さんが交配をしました。このヘルマンさんはスイスのトゥルガウ州出身でした。ミュラー・トゥルガウの名前の所以がわかっちゃいましたね(笑)。育成された新品種の最良の苗木が選ばれ、リースリングとジルヴァーナー(Riesling x Silvaner)の交配種として広まります。いつしか両親の頭文字を取って「Ri + vaner」=「Rivaner」と呼ばれ定着します。しかしながら、リースリングとシルヴァーナーの交配種を作っても、すでに広まっている所謂「Rivaner」の特徴に合わないということで、早くからその真偽は疑われていたらしいです。交配をしたヘルマンさん本人も「もしかして品種、間違っちゃったかも…」という書簡を残してるそうです(笑)。そして、1996年、DNA分析によって「Rivaner」の親は「Riesling x Silvaner」ではないことが判明します。

DNA分析の最初の結果では、父親がジルヴァーナーではなくシャスラと出ました。Muller-ThurgauXXX
すぐにそれは訂正されて、父方は「マドレーヌ・ロワイヤル(Madeleine Royale)」で確定しました。品種名も作成者の「ミュラー・トゥルガウ」でファイナルアンサーとなったわけですが、没年は1927年ですからご本人の死後ですね。残念な感じがするとともに、間違いで命名された「Rivaner」が今日のワインのように現在も残っているのが何だか可哀そうな気がします(笑)。


レー・ケンダーマンの拠点はいくつもあるようですが本拠地はここビンゲンになります。
Reh01
地域的にはラインヘッセンなんでしょうが、ライン川の畔、ラインガウのリューデスハイムの対岸になります。しかし、巨大な工場然とした建物ですね。

今日のワインは13ある指定生産地域(g.U.)のラインヘッセン(Rheinhessen)になります。German_Wine_Regions
ザクっと13の指定生産地域、g.U.(geschützte Ursprungsbezeichnung)を見た地図です。「Rheinhessen」に「Qualitätswein」が付記され、EU法のAOPの位置づけになります。各g.U.の赤・白比率が視覚的にわかるように示してありますが、ラインヘッセン含めミュラー・トゥルガウが優勢の地域が多いのがわかると思います。


ラベル平面化画像。
IMG_9603
表ラベルと裏ラベルが重なっていて、ぐるっと1周してるのでボトルの黒い部分と透明部分の境目が見えなくなっています。


さあ、スクリュー回転。
IMG_9645

Alc.11%。
淡いイエロー。
IMG_9646

青リンゴ、ライム。
めっちゃペトロール香感じます。
さすが母親リースリングってことでしょうか。
微甘アタック。
味わいは黄桃感ある柑橘系。
重み、貫禄は残念ながらないですが、
カジュアルワインとしてスルスル楽しめる感じです。
ただし、個人的に甘口はあまり好まないので点数は厳しくなりました。


*****


Weinkellerei Reh Kendermann
Black Tower Rivaner 2019
Qualitätswein Rheinhessen
WWWポイント77点



WhiteWhiteWine01

Einig-Zenzen 1636 Zen Ice 2011 Auslese Rheinhessen

最近、極甘口にはまっています。
甘口は敬遠しますが、サラッとした上等な極甘口はたまりませんね。
今日はリカマンで特売していた甘そうなドイツワインを試します。
「ツェン・アイス」ですって。アイスワイン(Eiswein)なのかしら?


IMG_6817
細い375mlのボトルです。この形がすでに甘そうです。(笑)

作り手は、アイニッヒ・ツェンツェン(Einig-Zenzen)。
公式サイトは立派で、大手であることを伺わせます。
しかしながらワイン個々の情報は載ってなさそう。
公式日本語サイトもありますが、こちらも今日のワインが見当たりません。

仕方がないので裏ラベルやインポーターサイトを当たります。
IMG_6819
等級は「Prädikatswein」。2007年7月までは「Q.m.P」、いわゆる
「Qualitätswein mit Prädikat」(生産地限定格付け上質ワイン)と
呼ばれていたやつです。
「Prädikat」とは「肩書」のことで、以下の「肩書」が名乗れます。

・カビネット(Kabinett):普通に収穫された完熟ブドウから。
・シュペトレーゼ(Spätlese):7日間以上の遅摘みブドウから。
・アウスレーゼ(Auslese):更に糖度が高く房選りされたブドウから。
・ベーレンアウスレーゼ(Beerenauslese):更に糖度高く粒選りで。
・アイスヴァイン(Eiswein):樹上自然凍結で作るアイスワイン。
・トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese):貴腐。

で、今日のやつは…アウスレーゼと書いてますね。
「ZEN ICE」と言いながらアイスワインじゃないんでしょうかね。
これら「肩書」には糖度とアルコール度の規定がありますので、
アウスレーゼが83〜100、アイスヴァインが110〜128となっており、
糖度が満たなかったからアウスレーゼとしているのかもしれません。
誰か詳しい人教えて!


セパージュはたぶんこうです。(リカマンのサイトから)
・ミュラートゥルガウ 34%
・シルヴァーナ 23%
・ケルナー16%
(お~い!合計しても100%になりませんがな!!)
ミュラートゥルガウはドイツを代表する白品種のひとつですね。
リースリングとマドレーヌ・ロワイヤルの交配種だそうです。
産地はラインヘッセンとなっていますね。


表ラベルもアップにしておきます。
いつもの平面化をするにはボトルが細く、上下に長すぎました。
IMG_6818
「Sechzehn Sechs & Dreissig」って何かなと思ったら、
「1636」のドイツ語表記でした。(笑)


さて、抜栓です。
Alc.8.0%。
むっちゃ黄色が濃いゴールド。
ウッディな香りをまとったリンゴ、梨。
サラサラ感ある喉越し。
甘いけどサラッとして好感触ですね。
甘ったるくない甘さは至福であります。
甘さはすご〜く甘いのにね。
うま〜い。


*****


Einig-Zenzen
1636 Zen Ice 2011
Auslese Rheinhessen
WWWポイント 80点



WhiteWhiteWine01
--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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