カナダのワインはなかなかお目にかかりませんが、近所の百貨店のワイン売り場でカナダフェアなるものをやっていたので辛口白ワインをゲットしてみました。カナダフェアというと大抵アイスワインばっかりなので辛口はありがたいです。というか、過去赤ワインしか飲んでいなかったことに気づきました(笑)。品種はアイスワインでよく見るヴィダルとリースリングのブレンドです。
作り手は「Reif Estate Winery」。「ライフ」とドイツ語読みするようです。古くからドイツでワイン作りに従事していたライフ家が1977年にカナダに移住し、本場ドイツのアイスワイン作りをカナダに根付かせた先駆者のひとつだったようです。ライフ・エステート・ワイナリーは1982年に創業しており、カナダのアイスワインは1983年に初めて作られています。その場所がライフ・エステート・ワイナリーのある、オンタリオ州のナイアガラ・ペニンシュラ地区。オンタリオ州最大のブドウ栽培地域であり、アイスワインの一大産地です。
公式ページはやはりアイスワイン推し。また、ワイン紹介はショップにしかないようです。
今日のワイン見当たりません。在庫分しか載っていないショップ兼用の悪いところ。
・ヴィダル
・リースリング
ブレンド比がわからなくて困りましたが、今日のワインの VQA(Vintners Quality Alliance)オンタリオというアペレーションの規定を見ると2品種表示の場合の規定があり、だいたい想像がつきました。ブレンド比の多い順に書きますからヴィダルの方が多いはずです。2種類で90%以上を占め、2種類目が15%以上の場合に2種類表示ができますから、以下の範囲ということになります。
・ヴィダル 46~85%
・リースリング 15~49%
まあ、結構範囲はありますが、50:50ではなくヴィダル主体ということはハッキリしました。
さて、そのヴィダル(Vidal)ですが、今回お初ですからね。少し調べてみました。
正式名称は「Vidal Blanc」で、1930年代にジャン・ルイ・ヴィダル(Jean-Louis Vidal:1880‐1976)さんによってフランスで交配されて生まれました。ヴィダルさんは元々コニャック生産のために作ったそうですが、フランスではもうほとんど栽培されていません。代わりに、前述のようにドイツ経由でカナダに渡り成功したというわけです。シノニムに「Vidal 256」というのがあります。おそらくヴィダルさんはいくつも育種していて番号を振っていたんでしょう。ヴィダルは人工的に交配されていますから親子関係ははっきりしています。
・Trebbiano Toscano x Seibel 4986(Rayon d'Or)
母方の「トレッビアーノ・トスカーノ」はフランスではサンテミリオン(Saint Émilion)やユニ・ブラン(Ugni Blanc)といったシノニムで知られている白品種ですね。父方の「セイベル4986」というは正式名称は「Rayon d'Or」というんですが、フランスの育種家アルベール・セイベル(Albert Seibel:1844-1936)さんがヨーロッパ系品種(Vitis Vinfera)とアメリカ系品種(Vitis Labrusca)を掛け合わせて生み出した一連のハイブリッド品種群のひとつで、セイベル405 x セイベル2007 が親になっています。これ以上深追いするとセイベル沼にハマってしまいますからこれぐらいにしますが、気に留めておきたいのは、「セイベル」は Vitis Vinfera と Vitis Labrusca を掛け合わせた、いわゆるハイブリッド種であるということです。ということは、ヴィダルにもヴィティス・ラブルスカに由来する特徴(フォクシー・フレーバー?)があるかもしれません。
ライフ・エステート・ワイナリーを訪問しました。ナイアガラ川のほとりです。
まだ新しそうなきれいな建物ですね。周囲は50ヘクタールあるという自社畑でしょうから、畑はナイアガラ川に面しているというわけです。川向うはもうアメリカです。
カナダ、オンタリオ州を俯瞰して位置関係を見てみましょう。結構複雑です。
オンタリオ州全体がVQAオンタリオ(VQA Ontario)というアペレーションにあたるわけですが、その中のサブリージョン、VQAナイアガラ・ペニンシュラ(VQA Niagara Peninsula)のエリアに、ライフ・エステート・ワイナリーはあるということがわかりますね。さらにナイアガラ川沿いのエリアは VQAナイアガラ・リバー(VQA Niagara River)という VQAナイアガラ・ペニンシュラのさらに狭域のサブリージョンになっており、当然今日のライフ・エステート・ワイナリーは、VQAオンタリオや VQAナイアガラ・ペニンシュラに加え、VQAナイアガラ・リバーのワインも出しています。
カナダは州ごとにアぺレーション、いわゆる GI(Geographical Indication)を統制していて、トロントのある東側のオンタリオ州では VQA(Vintners Quality Alliance)というアぺレーション表示の制度があります。VQAオンタリオ公式ページに詳しく載ってますが、VQAオンタリオには以下の3つのサブアペレーションがあります。
地図を描いていて思いましたが、これはアメリカ・ニューヨーク州のAVAと一緒に位置関係を見るべきと思い、以前描いたニューヨーク州の地図に追記してみました。
これでしっくりきました。国が違うといって別々に見ると位置関係がつながりませんからね。ナイアガラの滝の周辺は双方の国の銘醸地が集中してる感じです。
おさらいでカナダの他のワイン産地も含めた地図を貼っておきます。
大きくは西海岸・ブリティッシュコロンビア(BC VQA)と東海岸に分かれるってことですね。東のひとつ、VQAオンタリオは今日試しましたが、まだ見ていないケベック(Québec)とノヴァ・スコシア(Nova Scotia)もそれぞれ独自にアペレーションを管理しています。
ラベル平面化画像。
「VQA・Ontario・VQA」ってなんだか「バイク川崎バイク」みたいですね(笑)。裏ラベルの解説でかすかに甘いことがわかります。
さあ、スクリュー回転。
ネックに「VQA認証マーク」が入ってますが、これをどこかに入れるのも規定です。
作り手は「Reif Estate Winery」。「ライフ」とドイツ語読みするようです。古くからドイツでワイン作りに従事していたライフ家が1977年にカナダに移住し、本場ドイツのアイスワイン作りをカナダに根付かせた先駆者のひとつだったようです。ライフ・エステート・ワイナリーは1982年に創業しており、カナダのアイスワインは1983年に初めて作られています。その場所がライフ・エステート・ワイナリーのある、オンタリオ州のナイアガラ・ペニンシュラ地区。オンタリオ州最大のブドウ栽培地域であり、アイスワインの一大産地です。
公式ページはやはりアイスワイン推し。また、ワイン紹介はショップにしかないようです。
今日のワイン見当たりません。在庫分しか載っていないショップ兼用の悪いところ。
・ヴィダル
・リースリング
ブレンド比がわからなくて困りましたが、今日のワインの VQA(Vintners Quality Alliance)オンタリオというアペレーションの規定を見ると2品種表示の場合の規定があり、だいたい想像がつきました。ブレンド比の多い順に書きますからヴィダルの方が多いはずです。2種類で90%以上を占め、2種類目が15%以上の場合に2種類表示ができますから、以下の範囲ということになります。
・ヴィダル 46~85%
・リースリング 15~49%
まあ、結構範囲はありますが、50:50ではなくヴィダル主体ということはハッキリしました。
さて、そのヴィダル(Vidal)ですが、今回お初ですからね。少し調べてみました。
正式名称は「Vidal Blanc」で、1930年代にジャン・ルイ・ヴィダル(Jean-Louis Vidal:1880‐1976)さんによってフランスで交配されて生まれました。ヴィダルさんは元々コニャック生産のために作ったそうですが、フランスではもうほとんど栽培されていません。代わりに、前述のようにドイツ経由でカナダに渡り成功したというわけです。シノニムに「Vidal 256」というのがあります。おそらくヴィダルさんはいくつも育種していて番号を振っていたんでしょう。ヴィダルは人工的に交配されていますから親子関係ははっきりしています。
・Trebbiano Toscano x Seibel 4986(Rayon d'Or)
母方の「トレッビアーノ・トスカーノ」はフランスではサンテミリオン(Saint Émilion)やユニ・ブラン(Ugni Blanc)といったシノニムで知られている白品種ですね。父方の「セイベル4986」というは正式名称は「Rayon d'Or」というんですが、フランスの育種家アルベール・セイベル(Albert Seibel:1844-1936)さんがヨーロッパ系品種(Vitis Vinfera)とアメリカ系品種(Vitis Labrusca)を掛け合わせて生み出した一連のハイブリッド品種群のひとつで、セイベル405 x セイベル2007 が親になっています。これ以上深追いするとセイベル沼にハマってしまいますからこれぐらいにしますが、気に留めておきたいのは、「セイベル」は Vitis Vinfera と Vitis Labrusca を掛け合わせた、いわゆるハイブリッド種であるということです。ということは、ヴィダルにもヴィティス・ラブルスカに由来する特徴(フォクシー・フレーバー?)があるかもしれません。
ライフ・エステート・ワイナリーを訪問しました。ナイアガラ川のほとりです。
まだ新しそうなきれいな建物ですね。周囲は50ヘクタールあるという自社畑でしょうから、畑はナイアガラ川に面しているというわけです。川向うはもうアメリカです。
カナダ、オンタリオ州を俯瞰して位置関係を見てみましょう。結構複雑です。
オンタリオ州全体がVQAオンタリオ(VQA Ontario)というアペレーションにあたるわけですが、その中のサブリージョン、VQAナイアガラ・ペニンシュラ(VQA Niagara Peninsula)のエリアに、ライフ・エステート・ワイナリーはあるということがわかりますね。さらにナイアガラ川沿いのエリアは VQAナイアガラ・リバー(VQA Niagara River)という VQAナイアガラ・ペニンシュラのさらに狭域のサブリージョンになっており、当然今日のライフ・エステート・ワイナリーは、VQAオンタリオや VQAナイアガラ・ペニンシュラに加え、VQAナイアガラ・リバーのワインも出しています。
カナダは州ごとにアぺレーション、いわゆる GI(Geographical Indication)を統制していて、トロントのある東側のオンタリオ州では VQA(Vintners Quality Alliance)というアぺレーション表示の制度があります。VQAオンタリオ公式ページに詳しく載ってますが、VQAオンタリオには以下の3つのサブアペレーションがあります。
・Niagara Peninsula
・Prince Edward County
・Lake Erie North Shore
VQAオンタリオは100%オンタリオ州産のブドウでないといけませんが、これら3つのアペレーションは当該地域から85%以上という決まりになっています。品種やヴィンテージの表示も同じく85%以上という決まりです。また、ラベルには「VQA Ontario VQA」のように「VQA」で挟んで表記していますが、これは正しいようですね(笑)。規定には「Appellation with VQA letters on each side」とありまして、アペレーション名を表記する場合は「VQA」を左右に置かないといけないようです。変なの...。
地図を描いていて思いましたが、これはアメリカ・ニューヨーク州のAVAと一緒に位置関係を見るべきと思い、以前描いたニューヨーク州の地図に追記してみました。
これでしっくりきました。国が違うといって別々に見ると位置関係がつながりませんからね。ナイアガラの滝の周辺は双方の国の銘醸地が集中してる感じです。
おさらいでカナダの他のワイン産地も含めた地図を貼っておきます。
大きくは西海岸・ブリティッシュコロンビア(BC VQA)と東海岸に分かれるってことですね。東のひとつ、VQAオンタリオは今日試しましたが、まだ見ていないケベック(Québec)とノヴァ・スコシア(Nova Scotia)もそれぞれ独自にアペレーションを管理しています。
ラベル平面化画像。
「VQA・Ontario・VQA」ってなんだか「バイク川崎バイク」みたいですね(笑)。裏ラベルの解説でかすかに甘いことがわかります。
インポーターシールは小さくて裏ラベルを隠しません。えらい。
さあ、スクリュー回転。
ネックに「VQA認証マーク」が入ってますが、これをどこかに入れるのも規定です。
Alc.12.5%。
ゴールデンイエロー。
黄色いリンゴ、テルペン香、アプリコット。
フォクシー・フレーバーはなさそうです。
フォクシー・フレーバーはなさそうです。
辛口アタックながら酸は甘やか。
決して甘味は多くないです。ちょうどいい。
決して甘味は多くないです。ちょうどいい。
果実味は弱めですがビター系の複雑味があってバランスはいいです。
甘くない黄色いリンゴって感じでしょうか。
サラッと飲めて後味爽やか。
こってりはないですが、こういうのも楽しめます。
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Reif Estate Winery
White Sands 2021
Vidal Riesling
VQA Ontario VQA
White Sands 2021
Vidal Riesling
VQA Ontario VQA
WWWポイント | 77点 |
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