Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Spain

Marqués del Atrio 2 Cepas Blanco de Guarda Viura Tempranillo Blanco 2019 Rioja

コストコで購入のスペイン・リオハの白です。「2 Cepas」という名前で2品種ブレンドしてることはピンときました。(当方、スペイン語が専門なもので…笑)何を使ってるのかな~とよく見るとすぐ横に答えが書いてました。ビウラとテンプラニージョ・ブランコだそうです。テンプラニージョ・ブランコは前にモノセパージュを試したことがあります。

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作り手は1899年創業のマルケス・デル・アトリオ(Marqués Del Atrio)グループというリオハ発祥の大手生産者でした。スペイン中の主要なワイン産地に進出しているようです。以前、リアス・バイシャスのアルバリーニョを試して、作り手を調べたらリオハの生産者だったので驚いたことがありますが、まさにそこでした。奇遇ですね(笑)。

公式ページはそれなりに情報豊富。リオハDOCaとは関わりが深くトップ5に入るそうです。

今日のワインもデータシート付きで情報が載ってます…が、ブレンド比が不明(笑)。

・ビウラ
・テンプラニージョ・ブランコ

何も書いてないということは50:50でしょうか。ビウラの方が多いような気もします。フレンチオークのサイズ違いの樽(225Lと500L)で10ヶ月の熟成とのこと。ワイン名のサブタイトルに「Blanco de Guarda」とありますが、「(樽)熟成の白」という意味で、樽熟しているのも売りのようです。

さて、リオハDOCa(Denominación de Origen Calificada)の品種についてまとめておきましょう。参考にするのはリオハDOCa公式ページです。

リオハDOCaでは赤・白あって、認められている品種は以下のようになっています。生産比率も載っていました。認められてるけどほとんど使用されないマイナー品種なんかも入ってるようです。

<白品種>
Viura(=Macabeo) 68.7%
Tempranillo Blanco 12.6%
・Verdejo 5.4%
・Garnacha Blanca 3.6%
・Sauvignon Blanc 3.3%
・Chardonnay 2.6%
・Malvasía 2.2%
・Maturana Blanca 0.6%
・Turruntés 0.1%

<黒品種>
・Tempranillo 87.7%
・Garnacha Tinta 7.5%
・Graciano 2.1%
・Mazuelo(=Cariñena / Carignan) 2.0%
・Maturana Tinta(=Trousseau) 0.3%

全部足しても100%にならないのが気持ち悪いですが、ビウラとテンプラニージョが圧倒的というのはわかりました。ガルナチャ、そんなに多くないですね。

ビウラ(Viura)、マカベオ(Macabeo)のリオハでのシノニムです。
Viura
白品種としてスペインでの生産量第2位のポピュラーな品種です。1位はアイレン(Airén)。カバ(DO Cava)でもお馴染みの品種ですね。

テンプラニージョ・ブランコ(Tempranillo Blanco)。2番目に多いんですね。
Tempranillo-Blanco
スペインの代表品種、黒ブドウのテンプラニージョの突然変異種です。1988年にリオハで発見されました。その後改良され、2004年に正式にリオハDOCaの品種として認可されています。ワインになったのは2005年からだそうで、まだまだ若い品種ですね。それでも、ビウラに次ぐ生産量になっているので驚きます。


マルケス・デル・アトリオの本拠地に行ってみます。ストビュー届いてないので遠目から。
Atrio01
さすがリオハのトップ5に入るグループです。かなり規模の大きな建物ですね。リオハを貫くエブロ川がすぐ近くを流れています。ログローニョ(Logroño)の東側からエブロ川の北岸はナバラ州になっています。リオハDOCaの大部分はラ・リオハ州(La Rioja)ですが、一部ナバラ州も含まれるということになります。

リオハ(Rioja DOCa)をGoogle Mapで俯瞰して位置関係を見てみましょう。
Rioja
リオハ自体は「La Rioja」というスペインの自治州全体のエリア(+ちょこっとナバラ州)になりますが、その中にリオハ・アルタ(Rioja Alta)、リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)、リオハ・オリエンタル(Rioja Oriental)という3つのサブリージョンがあります。リオハ・オリエンタル(「東リオハ」の意)はリオハ・アルタ(「上リオハ」の意)に対しリオハ・バハ(Rioja Baja=「下リオハ」)と呼ばれていましたが、感じ悪いというので(笑)2018年に改名されました。
これら3つのサブリージョンはエブロ川(Río Ebro)流域の峡谷にあることがわかりますが、リオハ・アラベサが、粘土質石灰岩の土壌が斜面にある好立地のようです。リオハ・アルタは、粘土質石灰岩の他、沖積土が優勢だそうです。リオハ・オリエンタルは最も標高が低く温暖で、ガルナチャが主体でしたね。今日の作り手、マルケス・デル・アトリオはリオハ・オリエンタルのエリアにあります。

ところでリオハはDO(Denominación de Origen)ではなく DOCa(Denominación de Origen Calificada)というワンランク上の格付けになります。下図にスペインの格付けを示します。
スペイン・EUワイン法
リオハは1991年にDOCa(Denominación de Origen Calificada)に認定されていますが、これがスペイン最初のDOCaです。18年後の2009年にカタルーニャのプリオラート(Priorat)が2番目のDOCaになっていますが、現在のところこの2つしかDOCaはありません。ちなみにプリオラートは、DOCa のカタルーニャ語にあたる DOQ(Denominació d'Origen Qualificada)と現地では言われたりします。
EUのワインの分類と比べると、VPからVCまでDOP(Denominación de Origen Protegida)の範疇に入ってしまうのがわかります。単にDOPと言うと、スペインの格付けでは VP / DOCa / DOC / VC 全部を含むという訳です。


ラベル平面化画像。「2」が素通しになっていて面白いですね。
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ヴィンテージの表記がなく、リオハの認証シールで2019と確認できるのみです。

コストコシール貼っておきます。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化画像。
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ラベルと同じデザインになっています。

Alc.13%。
キラキラゴールド。
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黄桃、梨、揮発油的な何か(笑)。
クールフレッシュな辛口アタック。
酸はいい感じにバランスを演出します。
味も黄桃風味ですね。
適度なコクもあり、
さっぱりうまいフィニッシュで満足感アップ。


*****


Marqués del Atrio
2 Cepas
Blanco de Guarda
Viura Tempranillo Blanco 2019
Rioja
WWWポイント79点



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Bodegas Vegalfaro Pago de los Balagueses Syrah 2016 Vino de Pago

リカマンの店頭でまたまたビノ・デ・パゴと書いたワインを発見。Vino de Pago とはスペインの格付けの最高峰になるワインです。過去に2つのビノ・デ・パゴを試してますので、これで3つめです。全部で現在20のビノ・デ・パゴがあるそうですから、少しづつクリアしていきたいものですね。同じ作り手(畑)のビノ・デ・パゴでガルナチャやシャルドネも置いていたんですが、過去はボバルやテンプラニージョだったので、スペインにしては珍しい(?)シラーにしました。

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アンドレス・バリエンテ(Andrés Valiente)さんと息子のロドルフォ(Rodolfo)さんが1999 年に  Viñedos y Bodegas Vegalfaro をDOウティエル・レケーナ(DO Utiel-Requena)に設立しました。「Vegalfaro」という名前は、「川の土地」(一般に、川のほとりの低く平らで肥沃な土地を指す)を意味する「vega」という言葉と、ワイナリー自体の歴史的な名前である Casa Alfaro を組み合わせたものです。ボデガス・ベガルファロは、DOパゴ・デ・ロス・バラゲセス(Vino de Pago)、DOウティエル・レケナ、DOカバの 3 つの原産地呼称のワインを生産しています。DOパゴ・デ・ロス・バラゲセスというのが「ロス・バラゲセス」の畑が2011 年にビノ・デ・パゴを取得したものです。

公式ページは当然ながら「Vino de Pago」の解説もあり、内容充実です。

今日のワインもデータシート付きでしっかり解説されています。

・シラー 100%

手摘み収穫、除梗あり、低温浸漬。新樽率70%のフレンチオークとハンガリアンオークの混成樽で10~12ヶ月の熟成です。今日のワイン(シラー)はジェームズ・サックリングおじさんが96点つけたと、HPに記事が載っています。


ボデガス・ベガルファロを訪問。ストビューが届いていないのでHPの写真を拝借。
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DOウティエル・レケーナ(DO Utiel-Requena)のレケーナ(Requena)の町寄りです。上空から見るとワイナリーが非常にきれいな畑で囲まれているのがわかります。これが Vino de Pago に認められたロス・バラゲセス(Los Balagueses)という畑と思われますが、正確な区画や植えられている品種は解説がありません。

バレンシアのDOウティエル・レケーナ(DO Utiel-Requena)の位置関係を見ておきます。
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バレンシア州(Comunidad Valenciana)はカステジョン県(Castellón)、バレンシア県(Valencia)、アリカンテ県(Alicante)の3県から成り、ウティエル・レケーナはバレンシア県の内陸部にあるDOです。標高が700~900mもある地域で、今日の畑「Los Balagueses」も標高780mに位置するそうです。
DOウティエル・レケーナでは、80%以上がボバル(Bobal)の畑なんですが、ロス・バラゲセスの畑ではシラー、ガルナチャ・ティントレラ(=Alicante Henri Bouschet)、シャルドネしか植えていないようです。


さあ、現在20あるという Vino de Pago を列挙しておきます。州ごとに分けていますが、一番多いのがカスティージャ・ラ・マンチャ州で12もあります。今日のワインのバレンシア州(Comunidad Valenciana)は4つです。DOCaであるリオハや、DOリベラ・デル・ドゥエロのあるカスティージャ・イ・レオン州にはビノ・デ・パゴが一つもないというのが面白いです。

<Castilla la Mancha>(カスティージャ・ラ・マンチャ州)
 (Castilla la Mancha = Albacete / Ciudad Real / Cuenca / Guadalajara / Toledo)

(1) Pago Calzadilla (Cuenca)
(2) Campo de la Guardia (Toledo)
(3) Dominio de Valdepusa (Toledo)
(4) Casa del Blanco (Ciudad Real)
(5) Dehesa del Carrizal (Ciudad Real)
(6) Pago Florentino (Ciudad Real)
(7) Finca Élez (Albacete)
(8) Pago Guijoso (Albacete)
(9) El Vicario (Ciudad Real)
(10) Los Cerrillos  (Ciudad Real)
(11) La Jaraba (Albacete)
(12) Vallegarcía (Ciudad Real)

<Aragón>(アラゴン州)

(13) Pago de Aylés (Zaragoza)

<Comunidad Valenciana>(バレンシア州)
(Comunidad Valenciana = Alicante / Castellón / Valencia)

(14) Finca El Terrerazo (Valencia)
(15) Pago Vera de Estenas (Valencia)
(16) Los Balagueses (Valencia)
(17) Chozas Carrascal (Valencia)

<Navarra>(ナバラ州)

(18) Pago de Arínzano
(19) Pago de Otazu
(20) Prado de Irache

今日のワインのロス・バラゲセスは太字で示しています。


前後しましたが、スペインの格付け構成図で、VPやDO他の格付けとの関係を確認します。
スペイン・EUワイン法
図のように、VP(Vino de Pago)がDOCaの上の頂点になっています。VPは2003年から導入されました。特定の地理的特徴を持つ特定の地域(畑)で生産されるワインということで、単一畑であることが条件です。なので必然的に単一の畑の所有者が収穫・醸造・瓶詰めを行うことになるんですが、これもVPの条件になります。よくフランスのグラン・クリュ(Grand Cru)の概念に例えられます。
いずれにしても、EUのワインの分類と比べると、VPもDOもDOCaもDOP(Denominación de Origen Protegida)の範疇に入ってしまうのがなんだかな~という感じですね。
DOC / DOCa はお馴染みですね。DOCa(Denominación de Origen Calificada)は、現在のところリオハ(Rioja)とプリオラート(Priorat)しかありません。(プリオラートではカタルーニャ語でDOCaのことをDOQと書くので注意。)
VC(Vino de Calidad con Indicación Geográfica)は聞き慣れませんが、それもそのはず、DOへ昇格するためのプロセスのような格付けです。DO昇格前提で5年はこのランクで過ごさないといけないようです。現在7つの産地がこのカテゴリーでDO昇格を待っているそうです。


ラベル平面化画像。サックリング96点シールが輝いていますね。
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裏ラベルでユーロリーフのビオワインだということがわかります。


さあ、抜栓。
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コルク平面化画像。
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Alc.14.5%。
濃いガーネット。
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黒ベリー、ブラックチェリー、スパイス、ゼラニウム。
辛口アタック。
程よい酸に支えられてスムーズに味わいの塊に到達する感じ。
重すぎない感じがするのに、
しっかりした構造感と複雑味が圧倒的な迫力を演出してくれます。
喉元にタンニンがアクセントを与えてながら余韻へ突入。
長くバランスも崩れません。
フィニッシュまで満足感続きます。

これは確かにスペイン最高峰という感じがしました。
奇しくもサックリングおじさんと同じ点数になってしまいました(笑)。


*****

Bodegas Vegalfaro
Pago de los Balagueses
Syrah 2016
Vino de Pago
RRWポイント 96点


Scala Dei Prior 2018 Priorat DOQ

スペインに2ヶ所しかないDOCa認定のひとつプリオラートです。コストコで発見し、「おっ!久しぶりにプリオラートをいってみようか~」と買っておいたワインですが、抜栓にあたり色々調べてみると、プリオラート最古のワイナリーでプリオラートの歴史的に非常に意義深い作り手だということがわかりました。少々恐れおののきながらいただいてみようと思います(笑)。

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スカラ・デイ(ラテン語で「神のはしご」の意)は、1163 年にカルトゥジオ会(カトリック教会に属す一修道会)の修道士らによって設立された、プリオラート地方で最も古いワイナリーです。 修道士たちはプリオラートの中心にある現在のエスカラデイ村(Escaladei)に定住し、近隣の土地を取得し開墾、ブドウ畑として、1263 年に最初のワインを作り始めたということです。
その由来として、ある羊飼いがこの地の松の木に立てかけてあった「はしご」を登って閃光の中を天に昇る天使を見たという伝承があって、新しい修道院の場所を探していた修道士たちがこれを神の啓示として定住することになったそうです。
スカラ・デイは40ヶ所に分散した計89haのブドウ園を所有していますが、急勾配の斜面が多く、黒いスレートで覆われた土壌で収穫量が非常に少なく、非常に濃縮されたブドウが生産されるそうです。

プリオラートはリオハとともに2つだけのDOCaでしたね。これは通常のDO(Denominación de Origen)と違い、DOCa(Denominación de Origen Calificada=特選原産地呼称認定)というワンランク上の格付けになります。下図にスペインのワイン格付けの構成を示します。
スペイン・EUワイン法
リオハは1991年にDOCa(Denominación de Origen Calificada)に認定されていますが、これがスペイン最初のDOCaです。18年後の2009年にカタルーニャのプリオラート(Priorat)が2番目のDOCaになっています。現在のところこの2つしかDOCaはありません。DOCaは当然DOより厳しい基準で高品質が求められるわけですが、EUワイン法の分類になぞらえると、DOもDOCaも(VPからVCまで)DOP(Denominación de Origen Protegida)の範疇に入ってしまうんですよね。なんだかな~な感じです(笑)。
ちなみにプリオラートは、Priorat DOCa のカタルーニャ語にあたる Priorat DOQ(Denominació d'Origen Qualificada)ともっぱら現地では言われています。


公式ページは歴史解説あり、ショップあり(笑)の充実仕様。カタルーニャ語表示もできます。

ワイン紹介もちゃんとしてるんですが、セパージュの比率が書かれてません。以下はネット情報です。

・ガルナチャ(Garnacha Tinta / Negra) 75%
・カリニェナ(Cariñena) 15%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 5%
・シラー 5%

ガルナチャ主体の複雑なブレンドです。ガルナチャは黒ブドウで、ガルナチャ・ティンタもしくはガルナチャ・ネグラとも呼ばれ、いわゆるフランス語のグルナッシュ(・ノワール)です。カリニェナはいわゆるカリニャン。マスエロ(Mazuelo)というシノニムもあります。カタルーニャ語ではサムソ(Samsó)ともいうようです。ともにスペイン原産です。
ブドウは35~65年の古樹からの手摘み収穫。天然酵母を使い温度調節付きタンクで発酵。フレンチオークのバリックとフードル(大樽)で12ヶ月に熟成をされます。パーカーおじさん(Robert Parker)は今日のワインを91点と評しているようです。


さあ、エスカラデイ村(Escaladei)のスカラ・デイを訪問してみますよ。
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なんと、集落ごとワイナリーになっています。右下にインポーズしましたが周辺の山もすごいですね。ブドウ畑も海抜400~600mにあるそうです。

プリオラートDOCa周辺地図でワイナリーの所在含めた位置関係を見てみます。
Priorat_DOQ周辺
プリオラートはぐるっとDOモンサン(DO Montsant)に囲まれ、さらにDOタラゴナ(DO Tarragona)にサンドイッチされています。

カタルーニャ州を俯瞰した方がわかりやすいですね。プリオラート見つけてください。
Catalunya_DOs
カタルーニャ州全体が DO Cataluña になります。その中に10ヶ所のDOを内包する形です。プリオラートDOCaの詳細情報は、プリオラートDOQ 公式ページPriorat Consejo)をご参考ください。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルはカタルーニャ語のメッセージがあります。それを隠さないコストコのシールは偉いです(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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横にはミレジムとともに「はしご」のマークがありますね。

Alc.14%。
クリアっぽいガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー、芳しい樽香。
かすかなブレット、でも好きな感じのやつ。
辛口アタック。
微妙なタンニンの苦味と酸味がいい具合に効いています。
構造感しっかり感じ、バランスの良さも光ります。
フィニッシュまで印象変わらないバランスの妙ですね。
パーカーおじさんより少しいい点をつけましょう。


*****

Cellers Scala Dei
Scala Dei 
Prior 2018
Priorat DOQ
Collita de L’Any
RRWポイント 93点


Monastell Mas Xarot Cava Brut

スペインのカバを過去掘り下げて書いてなかったのが少々気になっていました。ここらでまとめてみたいので適当なカバを開けて記事を書きたいと思います。世にはお手頃なカバがあふれているというのに今まであまり飲んでいなかったのは、泡が苦手なのもさることながら、実は昔バルセロナ出身のスペイン人(正確にはカタルーニャ人)のジャウマというやつが仕事仲間にいたんですが、こいつがいつも酒の席で超カバ推しだったのでうんざりしているというのもあります(笑)。

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カバをよく「カヴァ」と書いてあるのを見かけますが、スペイン語で「v」は「b」の発音ですから、「カバ」と書くべきです。カバの主要生産地はカタルーニャ州のペネデス(DO Penedès)なので、カタルーニャ語なら「v」で発音するんじゃないかというご指摘があるかもしれませんが、残念ながらカタルーニャ語でも「v」は「b」の発音になります(笑)。

作り手はモナステル(Monastell)。ロカ・ヒルベルト家がカタルーニャ州DOペネデスのエリアにあるサン・サドゥルニ・ダノイアSant Sadurní d'Anoia)の町に1941年に創業しています。この町はまさにカバの生産地の中心で、スペイン各地で作られるカバの生産量の85%がこの町周辺に集中しています。カバの2大巨頭、コドルニウ(Codorníu)とフレシネ(Freixenet)がこの町にありますからね。


モナステルの公式ページはこちらです。


Mas Xarot 専用ページがあります。別ブランドにしているようですね。

一番ベーシックな白ラベルでも「Gran Reserva」となっており、今日の無印に相当するものが載っていません。

・シャレッロ(Xarel·lo)
・マカベオ(Macabeo)
・パレジャーダ(Parellada)

セパージュはカバの主要3品種のようです。グラン・レセルバはこれにピノ・ノワールも入ってるようです。カバは例外なく伝統的方式(瓶内二次発酵)で作られます。熟成期間は、レセルバとも書いてないので、カバ・デ・グアルダ(Cava de Guarda)というベーシックカテゴリーになり9ヶ月以上だと思われます。実はDOカバの規定は2021年に改訂され、2022年から新規則が適用されており変化点が多いのです。後ほどまとめます。(参考:カバワイン公式


DO Cava の使用可能品種は過去から変わっていません。(9つ)

<白品種>
・シャレッロ(Xarel·lo)
・マカベオ(Macabeo=リオハでは Viura)
・パレジャーダ(Parellada)
・シャルドネ
・スビラ・パレン(Subirat Parent=Malvasía / Malvasía Riojana)

<黒品種>
・ピノ・ノワール
・ガルナチャ・ティンタ(Garnacha Tinta=Grenache)
・モナストレル(Monastrell=Mourvèdre / Mataró)
・トレパット(Trepat)(ロゼのみ)

主要3品種を見ておきましょう。まずはシャレッロXarel·lo)。
Xarel・lo
「l·l」の間の点のところが気になりますよね(笑)。これはカタルーニャ語のアルファベットで、「l」とも「ll」とも違う文字になります。「l·l」と書かないとスペイン語でも違う発音になってしまいますからね。おそらく原産地はペネデスと思われ、最大の生産地もペネデスです。マカベオとパレジャーダと並んでカバの主要3品種のひとつとなっています。

マカベオMacabeo)はリオハではビウラ(Viura)とも呼ばれています。
Macabeo
白品種としてスペインでの生産量第2位のポピュラーな品種です。1位はアイレン(Airén)ですね。遺伝的にシャレッロに類似しているようですが(共に?Hebén x Brustiano Faux の自然交配らしいです。)別品種扱いされています。

パレジャーダParellada)。「パレリャーダ」とよく書かれてますが、「パレーダ」はあっても「パレリャーダ」とは発音しませんので、例によってここでは「パレジャーダ」とします。
Parellada
非常に古い品種のへベン(Hebén)と未知のパートナーとの自然交雑だと判明しているんですが、上記のシャレッロやマカベオも片親(母方)がへベンらしいです。カバの主要3品種って実は似た者同士ということのようです。


さて、DOカバの新規定ですが、後に述べる「地域(Zona)」の考え方の導入と、熟成期間による「等級カテゴリー」を設定したことが大きな変化点です。等級ごとに以下のラベルが貼られます。
Cava-Sello

今日のカバは今年リリースされたものなのでキャップシールにこのラベルが貼られていました。
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一番下のただの「Cava」ですが(笑)。このシールがあると9ヶ月以上の熟成を経ていることになります。以下に等級をまとめます。上の4つのシールと呼応していますからわかりやすいですね。

●Cava de Guarda(9ヶ月以上)
●Cava de Guarda Superior <以下を内包>(2025年までに100%オーガニック化)
    ・Reserva(18ヶ月以上)← 以前は15ヶ月でした。
    ・Gran Reserva(30ヶ月以上)
    ・(Cava de) Paraje Calificado(36ヶ月以上)

※Cava de Paraje Calificado(Paraje Calificado=「認定された土地」の意味)については熟成期間だけではなく、厳しい条件をクリアした上で認証を受けた畑からでないといけません。まだ6社10銘柄しか認定されていないそうです。


作り手訪問です。老舗らしく、サン・サドゥルニ・ダノイアの町中にあります。
Mas_Xarot01
小さな町ですが、フレシネ(Freixenet)とコドルニウ(Codorníu)があるのがわかります。フレシネなんて駅前ですよ(笑)。サン・サドゥルニ・ダノイア(Sant Sadurní d'Anoia)はカタルーニャ語ですが、スペイン語表記の「San Sadurní de Noya」はあまり使われていないようです。

さて、DOカバの対象地域ですが、スペインの7つの州の160の自治体に渡ります。
Cava_Spain_Map
左上にインポーズした地図で対象の州を示しています。いろんな場所でカバが名乗れるわけです。DOカバの新規定では「地域(Zona)」の考え方を導入して、広い対象地域を原産地呼称によって差別化をした格好です。以下に新たに設定された4つのゾーンとその中のサブゾーンをまとめます。上の地図と照らし合わせながらご確認ください。

Comtats de Barcelona(コムタッツ・デ・バルセロナ)
 サブゾーン:Valls d'Anoia-Foix、Serra de Mar、Conca del Gaià、Serra de Prades、Pla de Ponent

Valle del Ebro(バジェ・デル・エブロ)
 サブゾーン:Alto Ebro、Valle del Cierzo

Viñedos de Almendralejo(ビニェドス・デ・アルメンドラレホ)
 ※エストレマドゥーラ州バダホス県にあるアルメンドラレホ(Almendralejo)の町が対象です。

Levante(レバンテ)<まだ仮の名称だそうです。>
 
DO Utiel-Requena のレケーナ部分に当たります。名称が未合意ですが、DO Cava が定める4つの地域(Zona)のひとつです。全部で4つなのでお間違えなきよう。

カバの95%がペネデスのエリアで作られてるにもかかわらずスペイン各地でカバを名乗れる不思議なDOです。産地が1ヶ所ではないDOもカバしかありません。そんなDOカバの規定の現状に心穏やかでないのが本家ペネデスの生産者です。2019年についに9つのDOペネデスの有力な生産者(Gramona、Llopart、Nadal、Recaredo、Sabaté i Coca、Torelló、Huguet-Can Freixes、Júlia Bernat、Mas Candí)がDOカバを脱退、新組織 L'Associació d'Elaboradors i Viticultors Corpinnat(AVEC)に移りました。このメンバーが出すカバはカバを名乗らず「コルピナットCorpinnat)」と表示されます。実質カバと同じ品質ですが、最大の違いはペネデス以外のブドウを使ったものはないということです。
こういうDOカバに反発する作り手は後を絶たないようです。トーレス(Torres)がペネデスで作ったスパークリングを出した時もペネデスの誇りからか「Cava」を表示しませんでした。


カタルーニャ州のDO地図を描いたので、Mas Xarot の場所を示しておきます。
Catalunya_DOs
DOペネデス(Penedès)とサン・サドゥルニ・ダノイア(Sant Sadurní d'Anoia)の町は覚えましたね。各DOのエリアは先ほど見たDOカバのコムタッツ・デ・バルセロナのサブゾーンとは微妙に一致してませんね(笑)。また、州全体がDOカタルーニャになります。


ラベル平面化画像。
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さあ、抜栓。
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Alc.12%。
イエロー。
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泡立ちを動画にて。


青リンゴ、トースト香、夏ミカン。
ライムの味わい。
辛口の柑橘の酸あり。
香ばしいミネラル感もありますね。
う~ん、カバもなかなかなもんですね。
(シャンパーニュ比)


*****


Monastell
Mas Xarot Cava Brut
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Astobiza Pil-Pil 2021 Txakoli de Árava DO

久しぶりに都会へワインを物色に行くと Txakoli(チャコリ)が目に入りました。夏はチャコリだな~と勝手な基準で(笑)すぐさまゲット。以前試したチャコリはDO表示のない少々怪しいやつでしたが、今日のはDOアラバコ・チャコリーナ(Aravako Txakolina)の認証シールも貼っています。同じ作り手のロゼもあったんですが、なんだかイラストも面白い通常の白にしました。

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作り手は、ハビエル・アバンドさんとベゴーニャ・モユアさん夫妻のアバンド・モユア家(Abando-Moyua)が、スペインのバスク地方、アラバ県のオコンド(Okondo)という所に2006年に設立した家族経営のワイナリーです。畑の方は1996年から植え付けし、ファーストヴィンテージが2007年だったそうですので、それに合わせて設立をされた感じですね。このエリアはDO(Denominación de Origen)のアラバコ・チャコリーナ(Aravako Txakolina)になるんですが、DO認定されたのが2002年ですから、DO化前から準備されていた感じですかね。
以上は公式ページにあった内容ですが、日本のインポーター(株式会社いろはわいん)の紹介ページの内容と今ひとつ一致しないのが少々気になります(笑)。

公式ページはこれ。チャコリ専門ではなく、リオハなんかもやっています。(近くですしね。)

なぜか今日の「ピルピル」が載っていません。インポーター情報を見ると「今回いろはわいんからのリクエストで新しく天然微発泡を楽しめるチャコリをつくってもらいました。」とありました。日本向け特別バージョンということのようです。

・オンダラビ・スリ 80%
・オンダラビ・スリ・セラティア 20%

100%除梗。ステンレスタンクで発酵。12月に瓶詰め後に出荷、となっています。

これがチャコリに使われるオンダラビ・スリ(Hondarrabi Zuri)という土着品種です。
Hondarribi-Zuri
Ondarrabi Zuri や、Hondarribi Zuri(オンダビ・スリ) とも表記されます。チャコリには3つのDOがあり、それぞれ違う表記をしていて、どれを正として、どれをシノニムとするのか困ります。一応、DOごとにどう表記しているかまとめると…

<Bizkaiko Txakolina> Hondarrabi Zuri / Hondarrabi Zuri Zerratia / Hondarrabi Beltza
<Getariako Txakolina> Ondarrabi Zuri / Ondarrabi Zuri Zerratia / Ondarrabi Beltza
<Arabako Txakolina> Hondarribi Zuri / Hondarribi Zuri Zerratie / Hondarribi Beltza

ここでオンダラビ・スリと一緒に並べましたが、オンダラビ・スリ・セラティア(Hondarrabi Zuri Zerratia)というよく似た名前の白ブドウも主要品種になっていまして、「Petit Courbu」というシノニムでも呼ばれています。オンダラビ・スリより房が小ぶりなんだそうです。また、チャコリにはロゼも少量ながら認められていて、これまた土着品種のオンダラビ・ベルツァ(Hondarrabi Beltza)という黒ブドウが使われます。

他、補助品種としていくつかブレンドが認められているものが国際品種含め6種類ほどあります。DOビスカイコ・チャコリーナ(Bizkaiko Txakolina)の公式ページが、以上の主要品種・補助品種を一覧にしていたので拝借してここに貼っておきます。わかりやすくて助かります。
Grape_variedad
補助品種にこれまた土着品種と思しき聞いたことのないような品種がいますね(笑)。


バスク地方、アラバ県のオコンド(Okondo)にあるアストビサを訪問します。
Astobiza01
アラバ県(バスク語:Araba、スペイン語:Álava)は、スペイン・バスク州にある県。県都はビトリア・ガステイス(Vitoria-Gasteiz)になります。(ビトリア・ガステイスは大きな町で、バスク州の州都でもあります。)アラバ県の北西部の5つの村落(Amurrio、Llodio、Artziniega、Okondo、Aiara)だけの小さなDOが Arabako Txakolina(スペイン語:Txakoli de Álava)になり、生産者もアストビサ含めまだ8つしかありません。

いつものスペイン・ポルトガル全図でバスク地方の位置関係を確認します。
Txakoli_Spain
バスク州(バスク自治州)はスペイン北部にある自治州で、ピレネー山脈の西側に位置し、北側は大西洋のビスケー湾に面しています。アラバ県、ビスカヤ県、ギプスコア県の3県で構成されています。バスク州をスペイン語ではパイス・バスコ(País Vasco)と言いますが、バスク語になるとエウスカディ(Euskadi)となります。このようにバスク地方ではバスク語ではぜんぜん違う名前になってることが少なくありません。先ほどのビトリア・ガステイス(Vitoria-Gasteiz)もビトリアのバスク語がガステイスなわけですが(全然違いますね)、このように両方併記をして正式名称とする場合もあります。

ビスカヤ県の県都ビルバオ(Bilbao)から南下すると車で1時間ほどでそのアラバ県 ビトリア・ガステイスに着きますが、ここから山ひとつ越えたらもうリオハ(Rioja)です。アストビサがリオハもやってるのは合点がいきますね。また、ナバーラ州もバスク人が多い「バスク地方」なんですが、バスク州(バスク自治州)には入らず単独の州となっています。

DOチャコリの地図をGoogle Map上に描きました。アストビサの位置も確認ください。
Txakoli_Map_Google
チャコリのDOは、バスク州(バスク自治州)を構成する3つの県(ビスカヤ県、ギプスコア県、アラバ県)で分かれており、以下の3つになります。

Bizkaiko TxakolinaTxakoli de Bizkaia
   ・・・ビスカヤ県(Bizkaia)ビルバオ(Bilbao)周辺

Getariako TxakolinaTxakoli de Getaria
   ・・・ギプスコア県(Gipuzkoa)サン・セバスティアン(San Sebastián)付近

Aravako TxakolinaTxakoli de Álava
   ・・・アラバ県(Álava)北西部 ~ 県都はビトリア(Vitoria-Gasteiz)

※()内は各DOのスペイン語名で、それぞれのDOの公式ページへのリンクになっていますのでご参考まで。

どうでもいいのですが、昔ビルバオに行った時の懐かしい写真(のリンク)を貼っておきます。
「最近ちゃんと写真撮ってますか?」<1> <2> <3> <4> <5>


ラベル平面化画像。透明シールになってますね。
IMG_8599
ピルピルという名前は、バスク料理の「Bacalao al Pil Pil」(タラのオリーブオイル煮)から来ているみたいですね。するとこのイラストの魚はタラかな?

DO Aravako Txakolina の認証シールもありました。
IMG_8600
今度は本物のチャコリのようです(笑)。


さあ、抜栓。
IMG_8615

コルク平面化。
IMG_8616
DIAM1ですね。

Alc.12.5%。
レモンイエロー。
IMG_8617

青リンゴ、スイカか瓜系の何か。
鋭角の酸が際立つ辛口アタック。
喉元をフルーティな酸が通り抜ける感じはいいですね。
味わいはミントを思わせるんですが、かすかな苦味のせいかも。
とにかく夏、魚介のガストロノミーに合いそうです。
アルコール度数も低くなく、微発泡らしき感じもない、
すっきりした辛口白ワインに仕上がっています。

過去仕事でビルバオは何度となく行ってるんですが、
チャコリもバスク料理もいただかなかったんですよね。
今さらながら本場でいただきたかったな~と思わせるお味でした(笑)。


*****


Astobiza Okendo Txakolina
Pil-Pil 2021
Arabako Txakolina / Txakoli de Árava DO
WWWポイント77点



WhiteWhiteWine01

Pagos del Rey Arnegui 2017 Crianza Rioja DOCa

リカマンでお手頃リオハが特売になっていたので手を出しました。リオハDOCa(Rioja DOCa)のクリアンサ(Crianza)ということですから規定では木樽で12ヶ月は熟成をしていることになります。これでうまければ儲けモンです。サラッとお試しいたしましょう。

IMG_8531
作り手は家族経営みたいなパターンではなく、大手資本(フェリックス・ソリス)による「Pagos del Rey」プロジェクトのひとつ、リオハ・プロジェクトのワイナリーということになるようです。最新の技術でスペイン各地の銘醸地ワインを世に送り出す…的なプロジェクトだそうで。他にも同プロジェクトのリベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)、ルエダ(Rueda)、トロ(Toro)版があるようです。

Félix Solís という前に「Fyi」というお手頃ワインを試したところが親玉のようです。


公式ページはこれ。リベラ・デル・ドゥエロ、ルエダ、トロのワイナリーも一緒に載っています。

ワイン紹介が意外にもしっかりしています。裏ラベルにも詳細情報あるようですし。

・テンプラニージョ 100%

完熟で収穫され(手摘みとは書いていません。)、2~3日の低温浸漬で果皮の色とフルーティーなアロマを抽出するとあります。熟成は「クリアンサ(Crianza)」とあるように、アメリカンオーク樽で12ヶ月行います。スペインのDOワインには熟成法・期間で以下の種別があります。まとめておきます。

Vino Joven(ビノ・ホベン)
 樽には全く入れない若飲みタイプ。(樽熟成を短期間行うものもあり)

Crianza(クリアンサ)
DOCa Rioja / DO Ribera del Duero>24ヶ月/内、12ヶ月は樽
<それ以外>24ヶ月/内、6ヶ月は樽(白・ロゼ:12/6)

Reserva(レセルバ)
<DOCa Rioja / DO Ribera del Duero>36ヶ月/内、12ヶ月は樽
<それ以外>36ヶ月/内、12ヶ月は樽(白・ロゼ:24/6)

Gran Reserva(グラン・レセルバ) 
<DOCa Rioja / DO Ribera del Duero>60ヶ月/内、24ヶ月は樽
<それ以外>60ヶ月/内、18ヶ月は樽(白・ロゼ:48/6)

ご覧のように、DOCa Rioja や DO Ribera del Duero は若干違う(厳しい)ので気をつけましょう。

ところでリオハはDO(Denominación de Origen)ではなく DOCa(Denominación de Origen Calificada)というワンランク上の格付けになります。下図にスペインの格付けを示します。
スペイン・EUワイン法
リオハは1991年にDOCa(Denominación de Origen Calificada)に認定されていますが、これがスペイン最初のDOCaです。18年後の2009年にカタルーニャのプリオラート(Priorat)が2番目のDOCaになっていますが、現在のところこの2つしかDOCaはありません。ちなみにプリオラートは、DOCa のカタルーニャ語にあたる DOQ(Denominació d'Origen Qualificada)と現地では言われたりします。
EUのワインの分類と比べると、VPからVCまでDOP(Denominación de Origen Protegida)の範疇に入ってしまうのがわかります。単にDOPと言うと、スペインの格付けでは VP / DOCa / DOC / VC 全部を含むという訳です。

Tempranillo」です。巷で「テンプラニーリョ」とよく書いてますが、ここでは「テンプラニージョ」としています。テンプラニーはあったとしても、まずテンプラニーリョとは発音しません。スペイン語で「LL」は「L」とは別の文字で「エジェ」というアルファベットの1文字です。
Tempranillo
「Temprano(早い)」+「-illo(縮小辞)」が語源で「早熟」を意味していると思われます。「縮小辞」とは「小さな」といったニュアンスを添える接尾辞で、スペイン語学では「Diminutivo」といいます。「-ito」、「-ico」、「-ín」なども縮小辞にあたります。

テンプラニージョはリベラ・デル・ドゥエロでは Tinto Fino とか Tinta del País と言います。DOトロの地域ではテンプラニージョを Tinta de Toro というシノニムで呼びます。ラ・マンチャでは Cencibel。カタルーニャのペネデスでは Ull de Llebre。またこれがポルトガルへ行くとティンタ・ロリス(Tinta Roriz)と呼びますが、これはダンやドウロ含む北部の呼び方で、中央部やアレンテージョなどの南部では、アラゴネス(Aragonez)になります。以上、シノニムまとめ(笑)。

スペインでは、テンプラニージョは白品種のアイレン(Airén)に次ぐ2番目に多く生産される品種です。世界で栽培されるテンプラニージョ合計は219,397ha で、スペインが 193,597ha なので、ほぼ9割(88.2%)を占めます。あとはポルトガルに 17,014ha(7.8%)あります。結局この2ヶ国でほとんどですね。

リオハにあるパゴス・デル・レイを訪問します。なかなか近代的な佇まいです。
PagosdelRey01
場所もリオハ・アルタ地区のエブロ川に極近にあり、素晴らしい立地ですよ。

リオハ全体の地図で位置関係を確認。パゴス・デル・レイの場所も示しました。
Rioja
リオハ自体は「La Rioja」というスペインの自治州全体のエリアになりますが、その中にリオハ・アルタ(Rioja Alta)、リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)、リオハ・オリエンタル(Rioja Oriental)という3つのサブリージョンがあります。リオハ・オリエンタル(「東リオハ」の意)はリオハ・アルタ(「上リオハ」の意)に対しリオハ・バハ(Rioja Baja=「下リオハ」)と呼ばれていましたが、感じ悪いというので(笑)2018年に改名されました。
これら3つのサブリージョンはエブロ川(Río Ebro)流域の峡谷にあることがわかりますが、リオハ・アラベサが、粘土質石灰岩の土壌が斜面にある好立地のようです。リオハ・アルタは、粘土質石灰岩の他、沖積土が優勢だそうです。リオハ・オリエンタルは最も標高が低く温暖で、ガルナチャが主体でしたね。


ラベル平面化画像。
IMG_8373
裏ラベルにはワイン情報。好感が持てますね。リオハDOCa認証シールもいい感じ。

インポーターシールはラベルを隠さず縦貼りしてました。偉い!
IMG_8372


さあ、抜栓。
IMG_8528
キャップシールにはエンボスが。「Arnegui」の「A」でしょうか。

コルク平面化。
IMG_8529
リオハDOCa印の汎用品って感じでしょうか。DIAM3ですが。

Alc.13.5%。
ガーネット。
IMG_8530

黒ベリー、ダークチェリー、スパイス、上品な樽香も感じます。
アメリカンオークも悪くないんですよね。
辛口アタック。
タンニンと酸が織り成すスパイシーな口当たり。
その刺激とコントラストとなる穏やかな味わい。
バランスとしてはちょっとチグハグ感は感じますが、
まだ想定の範囲内です。
タンニンと酸は最後にもひと暴れして、余韻を弱めます。

2日目に残りを飲むと、むっちゃうまなってる!
86点をつけていましたが+2点しました(笑)。


*****

Pagos del Rey
Arnegui 201
Crianza
Rioja DOCa
RRWポイント 88点


Sommos Varietales Tempranillo - Syrah - Merlot 2018

久しぶりの外飲みでスペイン・レストラン(バルか?)に行きました。本場と比べると(比べてはいけませんが)料理もワインもちょっとひどかったのですが(本当にひどい。お客もひどさがわかってないのが日本の現状です…)、ワインには罪はないということで(笑)、写真が残ってるものだけ記録として記事を作成しておきます。そのお店のワインリストにはなぜかアラゴン州のワインしかありません。これはDOソモンタノです。ん?前に試したことのある生産者ですね。

Sommos01
作り手はボデガス・ソモスという2003年設立のワイナリーです。なかなか大規模で立派なワイナリーなんですが、そのワイナリーのオーナーはリオハ地区に本拠地を置く「Grupo Proconsol」という洗剤などのクリーニング用品を扱う大企業です。
Sommos00
そこがなぜか2003年にワイン作りに乗り出します。そしてなぜか、お隣のアラゴン州、DOソモンタノに大ワイナリーを立ち上げます。最初は「Bodegas Irius」という名前でしたが、2008年に新しい社屋にリニューアルし、「Bodega Sommos」に改名したようです。グラビティ―フローの最新式社屋はレストランやイベント会場、結婚式場も兼ねられます。所有畑はなんと355ヘクタールを擁し、150万本を生産、75%は輸出するそうです。(2007年には、今度はリオハに「Bodegas Antión」というこれまた大ワイナリーを建てています。ゴイゴイスー。)

公式ページは立派で、最新鋭のワイナリーや広大な畑の解説がいっぱいです。

ラインアップも充実していて、今日のワインは普及ラインというかローレンジのようですね。

・テンプラニージョ
・シラー
・メルロー

データシートまであるんですが、セパージュの比率は書いていません。たぶんこの順番で多いんだと思いますが、テンプラニージョとその他の大体の比率だけでも知りたいところです。フレンチオークの大桶と樽の併用で8ヶ月の熟成ということで、一応樽は使っているようです。

DOソモンタノのバルバストロ(Barbastro)の町の近くにボデガ・ソモスがあります。
Sommos01
幹線道路からストビューで入れないので遠巻きに見ています。周囲は一面の畑、中心の建物は奇抜なデザインです。ダース・ベイダーにしか見えません(笑)。ラベルのデザインはワイナリー上空からの畑の図案だということがわかりました。

少しズームアウトして周辺の位置関係を見てみます。
Sommos02
ボデガ・ソモスの近く(車で40分)に「サルト・デ・ビエルヘ(Salto de Bierge)」という滝があります。このあたりの名所のようで、なかなかきれいな滝です。この生産者のワインでこの滝の名前を冠したシャルドネを以前に試しています。

アラゴン州を俯瞰して、DOソモンタノ他、州内のDOの位置関係を確認します。
Sommos03
アラゴン州の州都はサラゴサ。サラゴサ県の県都でもあります。DOを列記すると…

DO Campo de Borja(カンポ・デ・ボルハ)
DO Cariñena(カリニェナ)
DO Calatayud(カラタユー)

以上3つのDOはすべてサラゴサ周辺、サラゴサ県にあります。

DO Somontano(ソモンタノ)

DOソモンタノだけが北側のウエスカ県(Huesca)になります。
Spain_Aragon州の県

DO Somontano 公式ページを見ると、DOについて詳しく書かれています。29の生産者が地図ページで紹介されています。もちろん今日のボデガ・ソモスも載っています。
DOソモンタノでは土着品種のモリステル(Moristel)、パラレタ(Parraleta)<以上黒品種>やアルカニョン(Alcañón)<白品種>といった品種も認められていますが、主流は今日のような国際品種のようです。

裏ラベルの画像を貼っておきます。割と情報量は多いですね。
Sommos02
畑名(Finca Torresalas)や熟成がシュールリーであることなど、HPでは書かれてなかった情報もあります。

テイスティングと言えるようなメモは残してないんですが、
よく言えば果実味、安ワインのシャバシャバ感が気になった印象です。


*****


Bodegas Sommos
Sommos Varietales
Tempranillo - Syrah - Merlot 2018
DO Somontano
RRWポイント 86点


Bodegas Aragonesas Coto de Hayas Chardonnay 2021

久しぶりの外飲みでスペイン・レストラン(バルか?)に行きました。本場と比べると(比べてはいけませんが)料理もワインもちょっとひどかったのですが(本当にひどい。お客もひどさがわかってないのが日本の現状です…)、ワインには罪はないということで(笑)、写真が残ってるものだけ記録として記事を作成しておきます。そのお店のワインリストにはなぜかアラゴン州のワインしかありません。これはDOカンポ・デ・ボルハからのシャルドネです。

Coto_de_-Hayas01
作り手はボデガス・アラゴネサスというところで、創業は1984年ですが、主力のガルナチャ(グルナッシュ)は1956年から栽培しているとか。畑も3,700ha所有するといいますから、これはかなりの規模です。フエンデハロン(Fuendejalón)というボルハ(Borja)の南側(車で15分)の町にあります。

公式ページは普通にいい感じで、最初からかなりの「ガルナチャ推し」です。

そんなにガルナチャが自慢なら赤を頼めばよかったですね。(同じのの赤もありましたから。)

・シャルドネ 100%

樹齢20年の古樹からだそうです。ビノ・ホベン(Vino Joven)とありますから樽は使っていません。スペインのワインは熟成法・期間で以下の種別があります。

Vino Joven(ビノ・ホベン)
 樽には全く入れない若飲みタイプ。(樽熟成を短期間行うものもあり)

Crianza(クリアンサ)
24ヶ月/内、6ヶ月は樽(白・ロゼ:12-6)
(DO Ribera del Duero / DOCa Rioja)24ヶ月/内、12ヶ月は樽

Reserva(レセルバ)
36ヶ月/内、12ヶ月は樽(白・ロゼ:24-6)
(DO Ribera del Duero / DOCa Rioja)36ヶ月/内、12ヶ月は樽

Gran Reserva(グラン・レセルバ)
60ヶ月/内、18ヶ月は樽(白・ロゼ:48-6)
(DO Ribera del Duero / DOCa Rioja)60ヶ月/内、24ヶ月は樽

付記しましたが、DO Ribera del Duero や DOCa Rioja は若干違う(厳しい)ので気をつけましょう。

フエンデハロン(Fuendejalón)にあるワイナリー訪問です。
Aragonesas01
やはり、かなりの規模。増改築されたようなモダンな建物が見えますね。


アラゴン州を俯瞰して、DOカンポ・デ・ボルハ他、州内のDOの位置関係を確認します。
Spain_Aragon_Calatayud
ボデガス・アラゴネサスの位置も書き込んでいます。ほぼボルハの町のところ。ご確認ください。アラゴン州のDOを列記すると…

DO Campo de Borja(カンポ・デ・ボルハ)
DO Cariñena(カリニェナ)
DO Calatayud(カラタユー)

以上3つのDOはすべてサラゴサ周辺、サラゴサ県にあります。

DO Somontano(ソモンタノ)

DOソモンタノだけが北側のウエスカ県(Huesca)になります。

この地図の方がわかりやすいですかね。
Spain_Aragon州の県
ちなみにアラゴン州の州都はサラゴサ。サラゴサ県の県都でもあります。

DO Campo de Borja 公式ページというのがあり、ここもトップページからのガルナチャ推し。「ガルナチャ帝国」とまで言ってます(笑)。19の生産者が登録されており、ガルナチャの畑の合計は 5,000ha になるそうで、その内の 2,000ha は樹齢30~50年なんていう自慢が書いています。なるほどDOカンポ・デ・ボルハはみんなガルナチャ推しの方針でやってそうですね。


裏ラベルの画像を貼っておきます。割と情報量は多いですね。
Coto_de_-Hayas02


テイスティングと言えるようなメモは残してないんですが、
ぎりぎり居酒屋飲み放題ワインの領域から出たところって感じでした。


*****


Bodegas Aragonesas
Coto de Hayas Chardonnay 2021
DO Campo de Borja
WWWポイント76点



WhiteWhiteWine01

Suertes del Marqués 7 Fuentes 2018 Tenerife Valle de La Orotava

最近仕入れた面白そうなワインの1本。スペインですが本土ではなくカナリア諸島だそうで。行ったことはないですが「大西洋のハワイ」とも言われるリゾート地です。品種も土着のリスタン・ネグロ(Listán Negro)。こりゃあどんなモンかな~と不安になりますが(笑)、今日のワイン、なんとパーカーおじさんが93点をつけているというから驚きです。楽しみ~。

IMG_8096
作り手のスエルテス・デル・マルケス(Suertes del Marqués)は2006年創設のカナリア諸島テネリフェ島にある家族経営のワイナリーですが、過去からこの地のワイン生産者へブドウを売っていたそうで、古くからワイン作りには関わっていたようです。リスタン・ネグロをはじめとする島固有のブドウ品種の畑は樹齢100年超で、またフィロキセラの影響を受けなかった自根のブドウだそうです。まだまだ若い生産者ですが、パーカーおじさんの点数にも表れているようにテネリフェ島最高の生産者として世界に広く認められており、こうした地元の特色を生かしたワインでテネリフェ島のワインの評判を高め極めて重要な役割を果たしてきたというわけです。

公式ページは横スクロールの奇をてらった感じ。情報量はそこそこですね。

今日の「7 Fuentes(7つの泉の意)」をはじめかなり多様なラインアップです。

・リスタン・ネグロ 90%
・カステージャ・ネグラ 10%

これらの樹齢は10~200年にもなり、標高は300~700mの高台にあるそうです。パーカーおじさんの解説によると、およそ10%は全房で発酵させ、70%はコンクリートタンクで、残り30%はオーク樽で、いずれも9ヶ月の熟成をさせます。

リスタン・ネグロ(Listán Negro)です。この作り手の実際の畑の写真です。
Listan-Negro
原産はカナリア諸島。2018年に実施されたDNA分析によると、おそらく黒品種の Mollar Cano(=Negra Mulate)と、白品種の Palomino (=Listán Blanco)の間の自然交配とされています。南米でミシオン(Misión)やパイス(País)と呼ばれるリスタン・プリエト(Listán Prieto)とは関係がないので混同なさらぬよう。

10%ブレンドされているのがこれ、Castellana Negra (=Tinto Cão) です。
Tinto-Cao
こちらはポルトガル原産で、ポルトガルのダンとドウロ地域中心にほとんどがポートワイン生産用に栽培されています。Castellana Negra はスペインでのシノニムってことでしょう。

スエルテス・デル・マルケスを訪問。ストビューが全然届いていませんので、ネットで拾った画像を貼りました。最近ワイナリーをリニューアルしたとする写真です。確かにすごそうです。
Suertes_del_Marques01
カナリア諸島(Islas Canarias)は、アフリカ大陸の北西沿岸に近い大西洋上にある、7つの島からなるスペイン領の群島です。かなり本土からは離れますね。諸島全体でカナリア諸島自治州となっています。今日の作り手の居るテネリフェ島(Tenerife)はカナリア諸島で最大で、州都サンタ・クルス・デ・テネリフェがあります。また、島の真ん中にはテイデ山(Pico del Teide)という標高3,718mの火山があり、スペイン最高峰かつ大西洋でも最高峰なんだそうです。火山性の土壌の産地ですね。

この最大の島テネリフェ島には島内に5つのD.O.(Denominación de Origen)があります。今日のワインの「DO Valle de la Orotava」というのはそのうちのひとつです。それらは後ほど見るとして、カナリア諸島にはこのテネリフェ島以外にも6つの島があるんですが、実はなんと、その6つの島の内5つが、それぞれの島ごとに単独のD.O.になっています。(範囲が各々の島なので、ある意味簡単ですね。)以下に列挙します。上の地図にも書き込んでますので合わせてご確認ください。

・DO Lanzarote(ランサローテ島)
・DO Gran Canaria(グラン・カナリア島)
・DO La Gomera(ラ・ゴメラ島)
・DO La Palma(ラ・パルマ島)
・DO El Hierro(エル・イエロ島)

さて今日のワインは、D.O. Valle de La Orotava になっています。これはテネリフェ島の中にある5つのD.O.の内のひとつになります。テネリフェ島の地図で見てみましょう。
名称未設定-22
以下の5つがテネリフェ島内にあるD.O.です。

・DO Valle de la Orotava(バジェ・デ・ラ・オロタバ)
・DO Tacoronte-Acentejo(タコロンテ・アセンテホ)
・DO Valle Güímar(バジェ・デ・グイマル)
・DO Ycoden-Daute-Isora(イコデン・ダウテ・イソラ)
・DO Abona(アボナ)

以上、カナリア諸島には10のD.O.があるわけですが、もうひとつ加えるならば、V.C. Las Islas Canarias というのがあります。V.C.というのは「Vino de Calidad con Indicación Geográfica」のことで、DO(Denominación de Origen)よりワンランク下の格付けになり、このVCの場合は広域のカナリア諸島全体を対象としています。以下にスペインの格付けシステムを示します。
スペイン・EUワイン法
参考:LISTADO DOPs-IGPs DE VINOS

最後に、ワインと全然関係ないですが、映画版機動戦士ガンダム「ククルス・ドアンの島」が昨日から公開になりましたが、冒頭映像を見ていてビックリ。ククルス・ドアンの島はカナリア諸島のアレグランサ島(Isla de Alegranza)なんだそうで。先ほど見た地図に思わず書き込んでしまいました(笑)。北の外れの小さな岩だらけの島です。


ラベル平面化画像。
IMG_8089
このように、テネリフェ島内にあるD.O.は「Tenerife」を併記するんでしょうね。たぶん…。

インポーターシールは剥がしましたが、この有り様でした。
IMG_8088


さあ、抜栓。
IMG_8092

コルク平面化。
IMG_8094
DIAM5を採用です。

Alc.12.5%。
周辺かすかにオレンジ気味の透過ガーネット。
IMG_8095

黒ベリーながら漬け物香も?
ゼラニウム系かな?
やはり独特です。
甘やかな酸の辛口アタック。
渋味のタンニンも見つかりますが、
酸が見事に調和してくれて、
真円のようなまとまりのある味わいを感じます。
軽いけど軽く感じさせない深みもある感じ。
後味でも酸は特徴的なんですが、
全体を通していい仕事をしています。

点数は…パーカーおじさんのような93点はつけられませんが、
なかなかおいしいというのは間違いないです。
おじさんの93点はブルゴーニュに高得点つける感じかな…。


*****

Suertes del Marqués
7 Fuentes 2018
Tenerife
Valle de La Orotava
RRWポイント 90点


Kirkland Signature Ribera del Duero Gran Reserva 2015

スペイン、リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)のワインですが、出ましたコストコのプライベートブランド「Kirkland Signature」です。で、よく見るとこれ、「Gran Reserva」です。リベラ・デル・ドゥエロのグラン・レセルバは規定により 60ヶ月(内、24ヶ月は木樽)の長期熟成をしているってことになります。それが税込み1,788円。こりゃあ、お買い得だわ。

IMG_7779
コストコのPBワインは作り手(生産委託先)を突き止めるのに苦労するんですが、これはあっさり裏ラベルに「Viña Solorca」と住所と共に書いてありました(笑)。1998年に設立されたリベラ・デル・ドゥエロの中心地ロア(Roa)にある家族経営の作り手です。と言っても、年間50万本の生産をしてるそうで、そりゃあコストコも委託するわけですね。

公式ページは新しい作り手にしては少々古風な感じです。

ここにコストコのワインが載っているわけもなく、同等であろうグラン・レセルバを参考にしようと思いましたが、UKのコストコのサイトに割と詳しい情報がありました。

・テンプラニージョ 100%

ブドウは古樹から手摘み収穫されます。熟成はフレンチオーク樽で13ヶ月、その後なぜかアメリカンオーク樽に移し替えてさらに25ヶ月。瓶詰め後、ボトルで24ヶ月放置プレー。合計で5年以上の熟成期間だそうで驚きました。まあ、DO Ribera del Duero の規定がほぼそれぐらいなんですけどね。以下に他のDOとの違いも含めてまとめます。

・ビノ・ホベン(Vino Joven
 樽には全く入れない若飲みタイプ。(樽熟成を短期間行うものもあり)

・クリアンサ(Crianza
(他DO)24ヶ月/内、6ヶ月は樽(白・ロゼ:12-6)
(DO Ribera del Duero / DOCa Rioja)24ヶ月/内、12ヶ月は樽

・レセルバ(Reserva
(他DO)36ヶ月/内、12ヶ月は樽(白・ロゼ:24-6)
(DO Ribera del Duero / DOCa Rioja)36ヶ月/内、12ヶ月は樽

グラン・レセルバ(Gran Reserva
(他DO)60ヶ月/内、18ヶ月は樽(白・ロゼ:48-6)
(DO Ribera del Duero / DOCa Rioja)60ヶ月/内、24ヶ月は樽

Tempranillo」です。巷で「テンプラニーリョ」とよく書いてますが、ここでは「テンプラニージョ」としています。テンプラニーはあったとしても、まずテンプラニーリョとは発音しません。スペイン語で「LL」は「L」とは別の文字で「エジェ」というアルファベットの1文字です。
Tempranillo
リベラ・デル・ドゥエロでは Tinto Fino とか Tinta del País と言います。DOトロの地域ではテンプラニージョを Tinta de Toro というシノニムで呼びます。ラ・マンチャでは Cencibel。カタルーニャのペネデスでは Ull de Llebre。またこれがポルトガルへ行くとティンタ・ロリス(Tinta Roriz)と呼びますが、これはダンやドウロ含む北部の呼び方で、中央部やアレンテージョなどの南部では、アラゴネス(Aragonez)になります。以上、シノニムまとめ。(笑)
スペインでは、テンプラニージョは白品種のアイレン(Airén)に次ぐ2番目に多く生産される品種です。世界で栽培されるテンプラニージョ合計は219,397ha で、スペインが 193,597ha なので、ほぼ9割(88.2%)を占めます。あとはポルトガルに 17,014ha(7.8%)あります。結局この2ヶ国でほとんどですね。

作り手のビニャ・ソロルカを訪問します。立派な建物です。
Solorca01
ロア(Roa)の町のすぐ北側。ドゥエロ川(El Duero)の畔です。


カスティージャ・イ・レオン州(Castilla y León)を俯瞰して位置関係を見ます。
Castilla_y_Leon_new
カスティージャ・イ・レオン州は、州都のバジャドリード(Valladolid)と州を横断するドゥエロ川(Río Duero)を押さえてください。DOリベラ・デル・ドゥエロ他、DOトロ、DOルエダなどの銘醸地はこの川の流域ですからね。バジャドリード市街やDOシガレスなんかはドゥエロ川の支流になるピスエルガ川(Río Pisuerga)が貫いています。また、ドゥエロ川は下流でポルトガルに入るとポルトガル語のドウロ川(Rio Douro)に名を変え大西洋に注ぎ込んでいます。ポルトガル側も河畔はDOCドウロ(Douro)という銘醸地でしたね。

ちなみに地図中に「VC」とあるエリアは「Vino de Calidad con Indicación Geográfica」のことで、DO(Denominación de Origen)より、ワンランク下の格付けになります。下図参照。
スペイン・EUワイン法
EUのワインの分類と比べると、VPからVCまでDOP(Denominación de Origen Protegida)の範疇に入ってしまうのがわかります。DOPと言うと、スペインの格付けの VP / DOCa / DOC / VC 全部を含むという訳です。VC(Vino de Calidad con Indicación Geográfica)は聞き慣れませんが、それもそのはず、DOへ昇格するためのプロセスのような格付けです。DO昇格前提で5年はこのランクで過ごさないといけないようです。現在7つの産地がこのカテゴリーでDO昇格を待っているそうです。


ラベル平面化画像。
IMG_7633
イラストの建物を訪問写真と見比べれば、ビニャ・ソロルカで間違いないのがわかりますね。おっと、熟成情報は裏ラベルに詳しく書いてありましたね。

一応、コストコシールは剥がしてみました。
IMG_7786
WARNINGが隠れているだけでした。


さあ、抜栓。
IMG_7776
キャップシールのエンボス、カッコいいですね。ネックのシマシマ含めいい感じです。

コルク平面化。
IMG_7777
汎用品か…。

Alc.15%。
エッジかすかにオレンジ味のガーネット。細かい涙がたくさん整列。
IMG_7778

黒ベリー、古い木の香り、ローストナッツ。
ブレットも微妙にありますね。
辛口アタック。
こなれたタンニンとまだまだ生き生きの酸味が溶け合い、
えも言われぬ複雑味を織り成しています。
厚みもしっかりあり、余韻の伸びもよし。
バランスだけが酸に乱される瞬間があるのが惜しいかな。

しかし、お値段も考えるとこれは満足感高いです。
1,788円でこの熟成感を味わえるとは…コストコやるわね。


*****

Kirkland Signature
Ribera del Duero
Gran Reserva 2015
RRWポイント 93点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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