Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Syrah

Hedges Descendants Liégeois Dupont Red Mountain Syrah 2013

ワシントン州の作り手、ヘッジズ(Hedges)の Red Mountain というブレンドが超おいしかったので、そこの普及ラインの C.M.S というのを試すとこれまたなかなかのレベル。もうヘッジズのファンになってしまいました。個人的には「アメリカの最高峰はナパやソノマじゃなく、ワシントン州にあった!」と言う感じです。今日は自社畑シラー100%をお試しです。

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Hedges は1987年創業の家族経営ワイナリーで、オーナーがトムさんとアン・マリーさんのヘッジズ夫妻です。トムさんはこのワイナリーの近くリッチランドという町の出身ですが、奥さんはシャンパーニュ出身のフランス人とのこと。ラベルからもわかるように確かにフランスのテイストがありますね。実際この DLD(Descendants Liégeois Dupont)というワイン名は奥様側のご先祖へのオマージュなんだそうで。


公式ページはよく出来ていますが、アメリカあるあるでワイン紹介はショップ兼用。

ショップ兼用サイトは最新ヴィンテージばかりになりがち。今日の2013年のデータは見つからず。よってネット情報などを見て総合的に判断。(笑)
・シラー 100%
シラーは自社畑「Les Gosses Vineyard」から。Joseph Phelps と Tablas Creek のクローンなんだそうで。どちらもカリフォルニアからですが、元はバリバリのローヌ系のようですね。除梗、部分的に破砕、ステンレスタンクで醸されます。新樽率40%で樽詰め後、樽内でMLF、澱引きの後11ヶ月の熟成です。樽はアメリカンとフレンチの混成でだいたい半々のようです。
パーカーおじさんは今日の2013年に92点をつけていますね。悪くない評価ですが微妙な点数です。ただし、こっちは8年寝かせてますからいい具合の熟成も楽しめるかもです。


前にも見ていますが、ヘッジズを訪問します。周囲が自社畑の美しいところです。
Hedges01
ストビューでは敷地の中に入れず、入口の写真でお茶を濁します。奥に見える丘が Red Mountain 山で、この辺り一帯が Red Mountain AVA になります。

Google Mapで、Benton City と Richland の町の間、もう少し広域を俯瞰します。
Red-Mountain01
レッド・マウンテンは山というよりは丘ですね。その南側に広がるのが、Red Mountain AVA(AVA=American Viticultural Area)。

Red Mountain AVA の公式ページというのがありまして、そこから空撮写真を拝借。
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手前のレッド・マウンテン側から南の方を見ています。

これも前に見ている地図。ワイナリーの周辺が以下のような自社畑になっています。
Hedges03
Les Gosses という畑がシラー専用のようですね。2008年からほぼすべての畑をビオディナミに移行し、2015年にワシントン州で初の Demeter 認証を受けたワインをリリースしています。

例によってワシントン州を俯瞰して Red Mountain AVA とヘッジズの位置を確認します。
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シアトルのある Puget Sound AVA 以外は、カスケード山脈を挟んで内陸側、コロンビア川流域の、いわゆるコロンビア・ヴァレーAVAになります。その中に内包されて狭域のAVAがあるという関係になっています。
コロンビア川はカナディアンロッキーを水源にワシントン州を広範囲に流れ、Horse Heaven Hills AVA のあたりでオレゴン州との州境となり西へ向かい、オレゴン州最大の都市ポートランド(オレゴンの州都はセイラム - Salem)で Willamette Valley AVA から来たウィラメット川と合流し太平洋に注ぎ込みます。やはり川が銘醸地を知る鍵ですね。

AVAを見るには、こういうネットで拾った地図(PDFはここ)の方がわかりやすいですね。
Wash01
また、ワシントン州のワイン公式サイトというのもあるのでご参考まで。


ラベル平面化画像。
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情報量いっぱいのアメリカっぽくないデザイン。きらいじゃないです。


さあ、抜栓。
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キャップシールは凝ってますね。コルクもDLD専用デザインですが、写ってる紋章だけなので平面化はしません。

Alc.14.5%。(pH:4.10、Brix:6.2)
濃いインキーなガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー、森の下草、スパイス。
酸がしっかり主張する辛口アタック。
圧倒的な厚みの奥行きある味わいです。
スモーキーな風味を漂わせる複雑な深みを感じます。
先ほどの酸はそれを豪華に飾り付けます。
余韻も悠遠にて、終わりなしの如し…。(笑)

パーカーおじさんの92点さえ、ウソでしょって感じ。
この作り手、ほんと間違いないです。


*****


Hedges Family Estate
DLD (Descendants Liégeois Dupont)
Cuvée Marcel Dupont
Red Mountain Syrah 2013
RRWポイント 97点


Vignerons Ardéchois Le Grand Devès Grignan-Les-Adhémar 2019

AOCグリニャン・レ・ザデマールGrignan-Les-Adhémar)をいただきます。南部ローヌの北端にあるこのAOCはお初になりますので、ひとつ課題クリアってことで。ところで、このAOCはかつてコトー・デュ・トリカスタンCoteaux du Tricastin)と呼ばれたもので、2008年に起きたトリカスタン原子力発電所の放射能漏れ事故の影響により、風評被害を避けるため2010年に名称変更になったものです。この原発事故、調べてみると結構ヤバかったみたいですね。当時日本では東電や原発行政に忖度してマスゴミはあまり大きく報道しなかったようで記憶にある人は少ないんじゃないでしょうか。そんなことも考えながらいただくとしましょう。(笑)

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作り手は、ヴィニュロン・アルデショワ(Vignerons Ardéchois)という地域最大の協同組合で、1967年に創業、現在1000以上の生産者が参加し総計6000haもの畑をカバーしています。

公式ページはさすが大手と言う感じの雰囲気ですが、ワイン情報は極少。

セパージュはこう。
・シラー
・グルナッシュ
比率がわかりません。熟成はインポーター情報でステンレスタンクで6ヶ月。
AOCグリニャン・レ・ザデマールは赤・白・ロゼがありますが、赤の規定では主要品種がシラーとグルナッシュとなっています。主要品種で70%以上、シラー単体は30%以上入れないといけないことになってます。先に書いてあるシラーが順当に半分以上入ってるんでしょうね。補助品種はサンソー、カリニャン、ムールヴェードル、マルスランで、単独で15%を超えず、補助品種合計で30%を超えてはいけません。(主要品種70%の裏返しですね。)

作り手訪問。っていうか、すごくでかい企業のような風情です。
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アルデシュ県南部のルオム(Ruoms)というところにあります。社名が「アルデシュのワイン生産者(Vignerons Ardéchois)」ですからね。

南部ローヌを俯瞰してAOCグリニャン・レ・ザデマールや作り手の所在を確認。
Adechois01
例のトリカスタン原子力発電所の場所も記しました(笑)。いつも使ってる地図を左側にインポーズして参考にしています。
この地図、AOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ(AOC Côtes-du-Rhône-Villages)の範囲を見るのにいい地図だと思って、ケランヌやラストーなんかを削除・修正しながら使っていましたが、「Villages」のあとに地名を名乗ることができる所が近年増えていて、さすがに参考にするには少々古すぎたようです。
AOC Côtes-du-Rhône-Villages ~のように補足的地理的呼称(Dénominations Géographiques Complémentaires)がつくのが 16 あると以下を上げていましたが、実はいつの間にか6つ増えていて現在 22 あるそうです。

・Côtes-du-Rhône-Villages Chusclan
・Côtes-du-Rhône-Villages Laudun
・Côtes-du-Rhône-Villages Massif-d'Uchaux
・Côtes-du-Rhône-Villages Plan-de-Dieu
・Côtes-du-Rhône-Villages Puyméras
・Côtes-du-Rhône-Villages Roaix
・Côtes-du-Rhône-Villages Rochegude
・Côtes-du-Rhône-Villages Rousset-les-Vignes
・Côtes-du-Rhône-Villages Sablet
・Côtes-du-Rhône-Villages Séguret
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Gervais
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Maurice sur Eygues
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Pantaléon-les-Vignes
・Côtes-du-Rhône-Villages Signargues
・Côtes-du-Rhône-Villages Valréas
・Côtes-du-Rhône-Villages Visan

追加された地名と言うのが以下の6つです。追加された時系列で挙げます。

<2012年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Gadagne

<2016年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Sainte-Cécile
・Côtes-du-Rhône-Villages Suze-la-Rousse
・Côtes-du-Rhône-Villages Vaison-la-Romaine

<2017年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Andéol

<2020年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Nyons

2020年って、つい最近も追加があったんですね。AOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュは南部ローヌ(Vallée du Rhône Sud / Méridional)にしかなく、北部ローヌ(Vallée du Rhône Nord / Septentrional)にはありません。そしてどんどん進化していってるようです。南部ローヌの最新情報に目が離せませんね。

しかし…
南部ローヌにとっては微妙な位置にあるトリカスタン原子力発電所。行ってみました(笑)。
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なんと、Google Mapではボカシが入ってます。上空写真も拡大しても高解像度になりません。なんだ、なんだ? ヤバそうな雰囲気がプンプンします。
2008年の放射能漏れ事故を調べてみました。2008年7月、天然ウランを含むウラン溶液18,000リットルが誤って放出され地面に漏れてしまったとのことで、ガフィエール川(Gaffière)とロゾン川(Lauzon)で高濃度のウランを検出。これらの川はカナル・ド・ドンゼール=モンドラゴン
(Canal de Donzère-Mondragon)を通じてローヌ川に合流しています。当局は川からの飲用水と農業用水の使用を禁止、この他にも水泳やウォータースポーツ、釣りも禁止されました。その後、約100人の従業員が、停止した原子炉から漏れ出した放射性粒子によって被曝していたそうです。ただ事ではなかったみたいですね。
フランスでは59基もの原発が稼働しており、総電力の80%を原子力に頼っている状態ですが、フランス政府は原子力発電所の運営を原子力開発会社大手アレバ(AREVA)というのに丸投げで任しており、アレバの言うことも鵜呑みの状態だそうです。アレバの幹部はこの事故後、「健康や環境への被害はない」と発表しているそうです。ああ、良かった…ってならんわ!!
この原発と同じ名前のAOCコトー・デュ・トリカスタン(Coteaux du Tricastin)を名称変更したのが今日のワインですが、風評被害という理由もわかりますが、それ以上に南部ローヌのワインのヤバさを隠そうとするための名称変更であったような気がしてなりません。(笑)

今日の作り手はアルデシュ県(Ardèche)にあるだけあって、主力は IGP Ardèche だそうで。
Adechois03
最後に、IGPアルデシュをGoogle Map上で見ておきます。南部ローヌに属する県南部を特に IGP Ardèche-Coteaux de l'Ardèche と言うようですね。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルは剥がした跡がありますが…

インポーターシールがこんな具合でした。これはいけません。
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おっと、安定剤(アカシア)入り! まあ、安かったですからね。


さあ、抜栓。
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まあ、無印ですわな。

コルク平面化。
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ノマコルクでした。

Alc.12.5%。(pH:4.49、Brix:6.4)
ガーネット。
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黒ベリー、カシス、黒胡椒。
辛口アタック。
酸味は邪魔ではないんですが、しっかりそこにあるって感じ。
タンニンも効かせながらバランスは悪くないですが、
奥行きや立体感は正直弱いですね。

軽いローヌが味わえて満足ではあります。
放射能と安定剤(アカシア)入りですが。(笑)


*****

Vignerons Ardéchois
Le Grand Devès
Grignan-Les-Adhémar 2019
RRWポイント 88点


Domaine Py Cuvée Jules 2019 Corbières

フランス各地のAOCを見ていると、赤・白・ロゼの3種ともが認められたところが意外とたくさんあることに気づきますが、ロゼとなると、プロヴァンスやマルサネやタヴェルなど有名どころしか試す機会がなかなかないんですよね。なので今日はラングドックはコルビエールAOCロゼをいただいてみましょう。


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作り手のドメーヌ・ピィは2003年創業とまだ新しい家族経営のワイナリーですが、モンターニュ・ダラリック(Montagne d'Alaric)の麓に所有する154haの畑(内、50haは AOC Corbières 認定畑。)から1万ヘクトリットルのワインを生産する規模を誇っています。また、このワインのユーロリーフのマークからもわかるようにビオワインを作っています。2008年にオーガニックに移行したんだそうです。


公式ページはシンプルながらカッコいい感じです。

ワイン紹介もしっかり。こだわりを持って作っているのが伺えます。
・シラー 50%
・グルナッシュ 40%
・サンソー 10%
と、これら黒ブドウ3種からこのロゼが作られます。
3種それぞれ別々に浸漬(マセラシオン)し、マストに色がついてきたら果汁のみを抜き取り、これまた別々に発酵させ後にブレンドします。いわゆる「セニエ法」というロゼの製法ですが、品種別に発酵させて後でブレンドするのがこのドメーヌのやり方で、テロワールがより表現されるとか。あとはシュール・リーで熟成させ、アロマを抽出し品質を安定させます。軽くろ過して完成です。

ロゼの製法には、セニエ法(Saignée=フランス語で「血抜き」の意)の他にも、直接圧搾法という破砕後すぐに搾汁する方法もありますが、セニエ法より色が薄くなるのは想像がつきますね。
また、混醸法という、黒ブドウと白ブドウを混ぜて発酵させる方法もあります。混ぜてから発酵というのが大事で、出来上がってから赤・白を混ぜては「ロゼ」が名乗れません。(シャンパンおよびスパークリングワインは「アッサンブラージュ(ブレンド)法」が認められており、この限りではありません。)


さあ、ドメーヌ・ピィを訪問。
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カルカッソンヌ(Carcassonne)から AOC Corbières-boutenac のあるブートナック(Boutenac)に向かう道すがらのドゥザン(Douzens)という小さな町にあります。

オード県を俯瞰した地図で、コルビエールAOCとドメーヌの位置関係を見ます。
py02
オード県だけでもこれだけのAOCがあるんですね。ラングドック、課題が多いです。


エチケット平面化画像。
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ユーロリーフが誇らしげです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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ドメーヌ名入りですが、無名の集成コルク。

Alc.13%。(pH:3.90、Brix:6.2)
薄いシルバーピンクって感じ。
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ラズベリー、カシス、チェリー。
軽く甘みを感じたあとしっかりした酸が来ます。
風味はプラムっぽいかな。
複雑味やタンニン成分はあまり感じません。
やっぱりロゼは爽やかさ楽しんでスルスル飲むものか…。


*****


Domaine Py
Cuvée Jules 2019
Corbières
RRWポイント 83点


Château Pesquié Quintessence 2017 Ventoux

AOCヴァントゥー(Ventoux)を代表する生産者、シャトー・ペスキエです。
1970年代創業。Côtes du Ventoux がAOCに昇格した(2009年Ventouxに改称。)
のが1973年ということで、当初からこのAOCのパイオニアだったそうです。
上級キュヴェのカンテサンス(Quintessence)をいただいてみましょう。


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2代目になる現当主ポール・ショディエールさんは、医療のキャリアをあきらめ、
世界の銘醸地を研究旅行。1989年に自社セラーを建てたうえで協同組合を去り、
最初の自社元詰め Quintessence 1990 を醸すことになります。
ヴァントゥーという少々マイナーな土地から1級品を生み出して注目を浴びます。
やはり、急成長する作り手には転機があり、打って出てるパターンが多いですね。

パーカーおじさんは2000年に92点をつけて以来、コンスタントに高評価しており、
今日の Quintessence 2017 も92-94点となかなかなようです。


公式ページは内容充実、色々語ってますが、サイトとしては少々見にくいです。

英語でもビッシリ文章がありますが、ウェブデザインが低解像度向けで読みにくい。
まあ、ないよりマシですが、いい作り手だけに損をしてますよ。改善望みます。(笑)
・シラー 80%
・グルナッシュ 20%
と、シラー主体ですが、いずれも樹齢50年超のVVなんだそうで。
除梗・破砕、伝統的な醸造法を踏襲。樽熟は12~15ヶ月。
新樽率は40%で、残りは2~3年落ちです。


さあ、ヴァントゥー山(Mont Ventoux)のふもとのシャトー訪問。
Pesquie00
標高は250~350mの石灰質土壌。ローヌでも冷涼なゾーンになるようです。

モルモワロン(Mormoiron)という小さな町の外れ。入り口から1本道。
Pesquie01
木立の中の道を行くと、シャトーやショップもあるセラー棟が見えてきます。


AOC Ventoux の範囲ですが、ヴォークリューズ県(Vaucluse)の真ん中。
Vaucluse
すぐ南側の AOC Luberon との境はカラヴォン(Calavon)川になってますね。
(リュベロンは、ヴァントゥーより遅く1998年にAOCに昇格しましたが、
同じ2009年に AOC Côtes du Luberon から AOC Luberon に改称してます。)

恒例のGoogle Map書き込みです。AOCとシャトーの位置関係を確認。
Pesquie0A
北ローヌ(Nord / Septentrional)と南ローヌ(Sud / Méridional)をカバー。
長い地図になりましたが、ローヌ自体が南北に長すぎるんだから仕方なし。(笑)
主要AOCの名前も書き込みました。あわせてご確認ください。

ネットの拾い物の普通のローヌ地図でもこんな感じに長~い。
Pesquie03
しかし、Ventoux は広い。52ヶ村に7,500haもの畑があります。
赤・白・ロゼがありますが、赤がほとんどで80%近くを占めます。
ロゼが20%、白は4%ほどしかないそうです。


エチケット平面化画像。
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不思議なラベルデザイン。裏ラベルで「AOP Ventoux」なのがわかります。
輸入元の(株)飯田の作り手紹介ページはなかなか詳しいです。


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルク、シャトー名入りです。

コルク平面化。
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ミレジムはないですね。

Alc.14.5%。(pH:4.00、Brix:7.3)
濃いガーネット。粘性の涙。
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黒ベリー。香りは多くなく、スパイス。
かすかな青野菜かゼラニウムもフッと。
辛口アタック。
きめ細かいテクスチャーを感じます。
厚みのある味。丸みのある厚みです。
タンニンは気づかないくらい滑らかで繊細。
かすかな苦味と酸味が絶妙のアクセントになっています。
衰えないうまさのまま余韻も続いてくれます。

やはり、ちょっといいローヌワインって感じです。
上級キュヴェといってもお手頃ですから、かなり偉い。
パーカーおじさんの92-94点はいいとこ突いてますね。(笑)


*****


Château Pesquié
Quintessece 2017
Ventoux
RRWポイント 92点


Bodega Piedra Negra (Lurton) Finca Las Higueras Tinto 2017

アルゼンチンの、1000円でお釣りが来るブレンド赤ワインですが、
確かリュルトン家がアルゼンチンに建てたワイナリーという売り文句で、
この前飲んだミシェル・ロランのアルゼンチン・ワインからの連想もあり、
何かのついでにポチッと押してしまったようです。(笑)
そこらへんのアルゼンチン事情も探りつつ試してみることにしましょう。


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リュルトン一族のFrançois Lurtonがアルゼンチンに展開するワイナリー、
Bodega Piedra Negraというところのワインで、多分最ローエンド。(笑)
でも、どこかの雑誌の「ネットで買える1000円ワイン」かなんかで入賞とか…。


公式ページは立派です。ラインナップ見ると若干高級路線を狙ってますね。

そのせいか今日のワインは載っていません。情報ないのは困りますね〜。
ネット情報では、サンジョヴェーゼやボナルダとマルベックのブレンドだとか、
怪しいのが散見され、「サンジョヴェーゼが効いている」だの、まことしやか。

こういう時、信頼できるのがインポーター情報。インポーター飯田の情報では、
・シラー 80%
・マルベック 20%
とのことで、Bodega Piedra Negraのローエンドにも同じようなブレンドがあって、
信憑性は高そうです。シュールリーで3ヶ月熟成するも、当然のごとく樽はなし。


さあ、ワイナリー訪問。メンドーサの市街から車で南下すること1時間半。
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さすが、リュルトン。近代的なカッコいいワイナリー施設です。
インポーズした畑の写真、マルベックでなくて(Côt)なのが面白いです。

ここは積極的にテイスティング・ツアーを受け入れていて好感が持てます。
いろんなコースがあり、この「月明りのテイスティング」なんて行ってみた~い!
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広域の地図で位置関係を見ます。Uco Valley、Tunuyánの町の近くですね。
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おっと、ボデガ・ロランのあるClos de los Sieteがご近所ですね。
サンティアゴも一緒に収めましたが、アルゼンチンのメンドーサと、
チリのマイポは、アンデスを挟んで表裏一体な位置関係ですね。
どちらも銘醸地ですが、太平洋に面してる方が複雑性があると思います。
(カルメネール振興協会代表 談)


ラベル平面化画像。
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Bodega Piedra Negraを前面に出さないのは、お手頃シリーズだからでしょうか。


さあ、スクリュー回転。
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François Lurton名とマーク入り。やはり無地よりはいいです。

Alc.13%。
紫寄りのガーネット。
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カシス、プラム、ミント系、青野菜…。
深みのない酸味系の香りに感じます。
辛口アタック。
割と厚みのある味で安心します。
軽さを生む微かな酸に裏支えされているは仕方がないとして、
居酒屋ガブ飲みワインとは一線を画すレベルには到達しています。
余韻はサラッと安物風情が顔を出すんですが、
大失点ポイントは特になく、いい評価ができそうです。

食事と合わせてしっかり楽しめるお手頃ワインでした。
メンチカツに合いましたぞ!(笑)


*****


Bodega Piedra Negra (Lurton)
Finca Las Higueras Tinto 2017
RRWポイント 89点


Viña Falernia Donna Maria Syrah 2014

ビニャ・ファレルニアのシラーです。スーパーで1000円ほどでした。
なぜ手に取ってしまったかというと、ラベルのAppassimentoの文字です。
以前この作り手のカルメネールをアパッシメントしたものを試しました。
正直微妙だったんですが、やっぱりここは何でもアパッシメントをやるんだと、
すごく気になってしまい、ちょっとリベンジ的にお試ししたくなりました。(笑)


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Appassimentoとは、イタリアなんかでよく行われている、収穫時期を遅らせ、
ブドウを樹上で陰干しして、果実の濃縮度を高めるという手法です。

やはり、ビニャ・ファレルニアを始めたオリヴィエール家はイタリアからの移民。
1951年、今日のワイン名にもなったDoña Maria Gramola Olivierお母さんとその一家が、
北イタリアDOC Trentinoの町トレント(トレンティーノ・アルト・アディジェ州)から、
チリの北方にあるエルキ・ヴァレー(Elqui Valley)に入植します。

息子さんでしょうか、アルド・オリヴィエールさんが1975年からブドウ栽培を開始。
イタリアで醸造家だった従弟ジョルジオ・フレッサティさんを呼び寄せ、
1998年にビニャ・ファレルニアを設立(結構新しい)、今に至るという訳です。


公式ページは画像豊富でなかなかいい感じ。

ワイン情報もしっかりあります。
・シラー 100%
お手頃価格のワインですが、手摘み収穫100%(15kg入りカゴで)です。
40%のブドウはアパッシメントで樹上で自然乾燥させ収穫、60%は通常収穫。
また全量ではないようですが、一部を仏オーク樽で6ヶ月熟成させています。


さあ、チリの北方、エルキ・ヴァレーにあるワイナリー訪問です。
Falernia01
木材を前面に使ったモダンな建物ですね。貯水池とエルキ川の畔は一面畑です。

アンデスから流れ出るクラロ川(Río Claro)の狭い河岸にブドウ畑が現れ、
やがてトゥルビオ川(Río Turbio)に名を変え、畑が山間に広がっていきます。
ビクーニャ(Vicuña)の町からビニャ・ファレルニアのあたりで畑は最大になり、
川も最終的にエルキ川(Río Elqui)となり、ラ・セレナ(La Serena)の町から、
太平洋に注ぎ込みます。これがエルキ・ヴァレー。エルキ川流域です。


恒例のGoogle Map書き込みでワイナリーの所在を確認します。
Falernia00
エルキ・ヴァレーは細長いチリの最北端のワイン産地になります。
(実際には、更に北のアタカマ砂漠の方の海岸側にHuasco Valleyや、
Copiapó Valleyという産地があります。)


ラベル平面化画像。
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かなりワイドなラベルは、左右の説明が裏ラベルを兼ねてる感じです。
おかげでインポーターラベルを貼るのに苦心したようです。

微妙にラベルに重なっていたので剥がして別撮りです。
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ワイン情報を盛り込もうという姿勢は評価できます。(笑)


さあ、スクリュー回転。
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無印スクリューキャップはお値段的に仕方ないですね。

Alc14.5%。濃ゆい。
濃いガーネット。
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カシス、ブルーベリーのコンポート。
シナモンかミント、スパイス…。
カルメネールのアパッシメントの時も感じましたが、
どうも個性的な香りになるようですね。
ちょっとコールタールかアスファルトの感じも。(笑)
辛口アタック。
奥に甘みを感じるんですが、甘々ではないな~とか思ってる間に、
結構厚みのある味が押し寄せてきて、結局程よいバランスになりました。(笑)
深み、凝縮感出すのにアパッシメントは有効なんでしょうね。
ただその副産物なのか、ハッカのような独特の風味はちょっと邪魔かも。

しかし、カルメネールはゴメンナサイでしたが、シラーは許せますね。
なんとなくアパッシメントの良さは出ていますから。
ここはカベソーのアパッシメントも出してるようです。試そうかな?


*****


Viña Falernia
Donna Maria Syrah 2014
RRWポイント 90点


Emiliana Coyam 2016 Los Robles Estate

チリのビオワインの草分けと言ったらこのエミリアーナじゃないでしょうか。
以前このブログでも、お手頃入門シリーズのカルメネールを試していますが、
エミリアーナはその随分前から「ビオ」や「オーガニック」で売り出してます。
10年以上前ビオなんて珍しかった頃にも、若干敬遠気味に何度かいただいてましたが、
(笑)今日はそのエミリアーナのフラッグシップ「コヤム」をいただきますよ。


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COYAMというのはチリの先住民族マプチェ族の言葉で「オークの木立」の意味です。
何だか樽をガンガンに効かせたワインかなと想像しますが、なんのことはない、
コヤムが作られるビオディナミの畑がオークの古木に囲まれていたからだそうで。

インポーターの情報ですと、エミリアーナは1986年にギリサスティ家が設立、
90年代後半から有機栽培を実践、2001年にチリ初のオーガニック認証ワイン、
Coyam 2001をリリース。今日のワイン、その15年目のヴィンテージって訳ですね。


公式ページは大手らしく立派。ビオな画像があふれてます。(笑)

データシート完備ですが2017のものしかありません。
しかし、裏ラベルにセパージュがあって助かりました。
・シラー 49%
・カルメネール 22%
・カベソー 16%
・ムールヴェードル 5%
・マルベック 4%
・グルナッシュ 3%
・テンプラニージョ 1%
シラーがベースにがっつりカルメネール、いい感じです。
しかし、なんとたくさんの種類のブレンドでしょう。
これでもすごいですが、2017年のヴィンテージではこの上さらに、
プチヴェルドとカリニャンもブレンドしています。(笑)
醸造もグラヴィティ・フローや樽内でのMLFなど自然な方法を取っています。
樽熟は75%がフレンチオークの新樽、20%がフードル(2000Lと5000Lの大樽)で、
残り5%はセメントタンクで、14ヶ月間になります。

パーカーおじさんの評価はと調べると、2012年が91+点、2013年が92点。
過去もだいたい90点以上ですから好評価は安定してそうです。


エミリアーナは、カサブランカ・ヴァレーを中心に、マイポ、カチャポアル、
コルチャグア、ビオビオなど各地に自社畑を922ha所有、契約畑は334haを管理し、
内オーガニック認証受けた畑はほとんどの1200haにもなるそう。ゴイゴイスー。
今日のCoyamの畑は、最初に有機栽培化した所有畑の内で最良のところで、
Los Robles Estateと呼ばれます。Robleはスペイン語でオーク。即ちコヤムです。
コルチャグア・ヴァレーの、そのLos Robles Estateに行ってみましょう。
Coyam01
ナンカグアとサン・フェルナンドの間のティンギリリカ川沿いです。
この周りの木がオークの古木ですね。Coyam専用の畑&ワイナリーです。

いつもの広域地図でColchagua Valley他の位置関係を見ておきます。
Chile _Rapel_Valley
見にくいですが、ティンギリリカ川沿いの四角い黄色印がLos Robles Estateです。

カチャポアル川流域が、カチャポアル・ヴァレー。ティンギリリカ川流域が、
コルチャグア・ヴァレー。合わせてラペル・ヴァレーになるんでしたね。
ちゃんと2つの川が合流するとラペル川という名前になります。
ティンギリリカ川もコルチャグア川って名前だと完璧なんですが、少し残念。(笑)
ついでなので、ティンギリリカ川とはどんな川なのか見ておきましょう。
Coyam02
Los Robles Estate近くの橋から覗いてみました。普通の川です。(笑)


ラベル平面化画像。
CoyamY
ユーロリーフのマークがありますが、このマークをつけるときには必ず、
管理団体のコード番号と農業原料が生産された場所を併記する必要があります。
このワインの場合、CL-BIO-001Chilean Agricultureと書いています。
最初の「CL」は管理が行われる国のISO国名コード、すなわちチリです。
「BIO」は明白ですね。そして「001」はおそらく認証第1号なんでしょう。

EcocertもEcocert Chileの認証となってます。Ecocertはフランス発ですが、
世界80ヶ国に認証機関を置いています。チリにも当然あるってことですね。

尚、ラベルにはありませんが、エミリアーナは2005年に中南米で初めて、
厳しいビオディナミの認証機関であるDemeterから認証を受けています。


さあ、抜栓。
IMG_2526
キャップシール、コルク共にCOYAM専用品ですね。

コルクも平面化。
IMG_2527
あんまり大したことなかったですね。

Alc.14.5%。
濃いインキーなガーネット。
IMG_2528

ブラックベリー。
黒糖、モカ、ビターなチョコ…。
酸か甘みか、そんな風味がしっとり乗った辛口アタック。
味の厚み、ボリューム、構造感はありありです。
それでいて重々し過ぎずエレガントなのは、
酸+甘みのアクセントが始終効いているからでしょう。
ただちょっと甘味成分が少々くどい気もしてきます。
新世界のカベソーなんかで感じる、果実味というか…「甘さ」です。
これをサラッとドライに仕上げてくれたらバッチリ好みなんですが。
パーカーおじさんと同じくらいの点数になりました。(笑)


*****


Emiliana
Coyam 2016
Los Robles Estate
Valle de Colchagua
RRWポイント 91点


Domaine de Triennes Saint-Auguste 2014

以前にカベソーブレンドロゼも試しているプロヴァンスのトリエンヌです。
今日は最上キュヴェと思われるシラー(+カベソー、メルロー)ブレンドをお試し。
トリエンヌは、ブルゴーニュのスーパースターとも言える二人の作り手、
デュジャックのジャック・セイスと、DRCのオベール・ド・ヴィレーヌが、
南仏プロヴァンスに新天地を見つけ1989年に立ち上げたワイナリーでしたね。


IMG_2155
このワインはIGP(Indication Géographique Protégée)Méditerranéeです。
このIGPはプロヴァンス中心にコルシカ島まで含むかなり広範囲です。
2009年にVDP(Vin de Pays)からIGPに切り替わりました。


公式ページは前にも見てますが、結構ショボいです。

一応最小限の情報はあるんですが、ワイン紹介もシンプル過ぎ。
今日のワインはシラーにカベソーとメルローをブレンドしてるようですが、
セパージュ比率がまったくわかりません。
インポーターサイト(ラック・コーポレーション)を見ても同様です。
シラーはピジャージュ、カベソー・メルローはルモンタージュするとか、
熟成はドメーヌ・デュジャックのお古の樽で12ヶ月とかは書いてるんですが。


ドメーヌはマルセイユの西に車で小1時間のナン・レ・パンにあります。
Triennes02
幹線道路(D560号線)に面したポツンと一軒家状態ですが、
背後に広大な畑が広がっています。


ざっくり、フランス内でのプロヴァンス(Provence)の位置関係を見ます。
Bugey_fr01
西側は南部ローヌと密接な位置関係になってますね。

プロヴァンス拡大。トリエンヌの場所も示しました。
Triennes03
「南仏プロヴァンス」というと、リュベロン地方の素朴な村々を想像しますが、
実はワイン生産地域で言うとローヌの範疇になってるんですよね。

昔、南仏プロヴァンスのイメージを求めてリュベロン地方の村々を訪問。
その時撮った写真です。プロヴァンス~っとロゼばっか飲んでました。(笑)
Triennes04
この辺りはアヴィニヨンを中心としたヴォークリューズ(Vaucluse)県で、
広域ではIGP Vaucluseという括りになります。(2009年まではVin de Pays)


ちょっと脱線したので、ナン・レ・パンのトリエンヌに話を戻します。
これはGoogle Mapに上がっていたトリエンヌの畑の写真です。
Triennes01
テロワールを感じる、なんとも素晴らしいショットなので貼っておきます。(笑)


エチケット平面化画像。イノシシがシンボルのようです。
IMG_2003
ユーロリーフ取得のビオワインですね。
ところで、このインポーターの裏ラベル、最初にカベソーが書いてます。
ネット上インポーターサイトですら、すべてシラーが先に書いてます。
なんかややこしいことしてくれますね。(笑)


さて、抜栓。
IMG_2152
キャップのイノシシちゃん含めいい感じです。

コルク平面化。
IMG_2153
ミレジムはちゃんと横に打ってありました。上出来。

Alc.13.5%。
ガーネット。涙は粘性あり。
IMG_2154

ブラックベリー、プラム。
かすかにブレタノマイセス感。
辛口アタック。
酸味もかなりあるんですが、
いいアクセントと思っておきましょう。
そこそこの構造感のある味です。
喉越しでタンニン性の重みが出てきて欲しい気がしたんですが、
酸のお陰か、あくまでフルーティな印象。

酸がもう少しこなれれば、余韻ももっと楽しめるんですけどね。
ビッグネームが作るワインにしてはちょっと惜しい…。


*****


Domaine de Triennes
Saint-Auguste 2014
Cabernet-Sauvignon/Syrah/Merlot
RRWポイント 89点


Porta 6 Reserva Vinho Regional Lisboa 2016

以前ジャケ買いして意外においしかったPorta 6というポルトガルのワインですが、
その上級バージョンか、レセルバ(Reserva)というのを発見しました。
ボトルがなで肩になって、スクリューキャップがコルクになってます。
これはきっと、さらに美味しいんじゃないかと即買いです。(笑)


IMG_1422
同じイラストが使われてますが、前のようにボトル全体を覆うのではなく、
オシャレに小さくなってます。名前が金文字になったのも上等感出てますね。


公式ページは通常バージョンの「Porta 6」押しですが、Reservaもちゃんと載ってました。

しかし、セパージュを確認すると、通常バージョンとは随分違ってました。
・シラー 40%
・アリカンテ・ブーシェ 20%
・カベソー 20%
・トウリガ・ナシオナル 20%
アラゴネス(テンプラニージョ)主体だったのがシラー主体になってます。
それで、このボトル形状(ローヌ風?)になったのでしょうかね。

アリカンテ・ブーシェ(Alicante Bouschet)はポルトガルではよく見ます。
フランス原産で、プティ・ブーシェとグルナッシュの交配種です。
「タンテュリエ」という果肉が赤いという特徴があります。
スペインでは「Garnacha Tintorera」で知られてますが、
ポルトガルではアレンテージョで多く栽培されているとのこと。

トウリガ・ナシオナルはご存知ポルトガルを代表する黒品種でしたね。

完全除梗でステンレスタンクで醸造・熟成のようです。
「レセルバ」というなら樽を使ってると思ったのですが意外です。



ワイナリー訪問します。
リスボン県のすぐ北、レイリア県(Distrito de Leiria)のVidigal Winesです。
Vidigal01
ラインアップも多く、生産量も大量でしょうから、施設も大きいです。

公式ページに載っていた地図だと位置関係がわかりやすいです。
Vidigal02
この地図にあるポルトガル中のだいたいの産地を手広く扱っているようです。

ついでですが、DOCとIGがわかる詳しい地図を貼っておきます。
Portugal_DOCs_IG
DOC(Denominação de Origem Controlada)は原産地呼称統制。
IG(Indicação Geográfica)は、いわゆるVinho Regional(生産地表示ワイン)。
これらを統制するのが、CVR(Comissão Vitivinícola da Região)で、各地方に分かれています。
今日のワインは「CVR Lisboa」となります。


ラベル平面化画像。
IMG_1314
Vinho Regional Lisboa = IG Lisboaがわかりますね。


さあ、抜栓。キャップは無地ですね。
IMG_1423
コルクは横にも刻印ありますが、ミレジムでなくワイナリー名でした。

Alc.14%。
濃いガーネット。
IMG_1444

黒ベリー、ダークチェリー。
辛口アタック。
苦味と旨味が絡み合った複雑でボディーのある味わい。
爽やかさの酸も感じますが、
余韻からフィニッシュまで衰えないボリュームでうまさが続きます。

セパージュは全然違いますが、通常バージョンと似た味わいで、
レセルバの名前通り、ちょっとだけこっちの方が美味しい気がします。
(笑)


*****


Vidigal Wines
Porta 6 Reserva
Vinho Regional Lisboa 2016
RRWポイント 92点


Alain Voge Cornas “Les Chailles” 2011

北部ローヌのコルナスをいただきますよ。
作り手はアラン・ヴォージュ。コルナスきっての生産者です。
調べると、今日の2011年、パーカーおじさんは94点つけてますね。
なんでもトップキュヴェの2010年は100点満点だったみたいです。
ゴイゴイスー。どおりで偉いワインの値段じゃなかったわけだ。


IMG_0370
AOCコルナスはシラー100%。何も混ぜてはいけません。キッパリしてます。
北ローヌの赤はシラー主体ですが、たいてい白品種を混醸できます。
コート・ロティにはヴィオニエ、(クローズ)エルミタージュ、
サン・ジョセフにはルーサンヌ・マルサンヌを加えてもいいわけです。
いかにコルナスの個性が際立っているかってことですね。


公式ページは正直かっこいいです。今風。

2011年のミレジムのデータこそないですが、畑の位置や解説が充実しています。
2003年から「レ・シャイユ」と名付けたとか、他のシリーズより早飲み可とか。
手摘み収穫、ほぼほぼ除梗。自然酵母でステンレスタンクで発酵。
樽熟はバリックで18ヶ月、新樽は使いません。熟成のポテンシャルは10年。


さて、ドメーヌ訪問します。コルナスのコミューンの真ん中です。
Cornas01
アラン・ヴォージュは数世代続く家族経営のドメーヌですが、
1958年に当主アラン・ヴォージュさんが実家に戻りワインの品質を高めました。
大学時代はラグビーをやっていたそうです。その精神でワイン作りしてるとか。

コルナスをGoogle Mapで確認しましょう。
Cornas02
左下の地図は今日のLes Chaillesの畑の位置を示したものです。
何ヶ所かの畑からのブレンドってことですね。

最後に北部ローヌを俯瞰して、コルナスの位置関係を把握しましょう。
Northern_Rhone01
アラン・ヴォージュはサン・ペレ(Saint-Péray)にも畑を所有。
AOCサン・ペレはルーサンヌ・マルサンヌからの白のみのAOCです。
スパークリングも認められていて、アラン・ヴォージュはどっちも出してます。
(サン・ペレの泡は、シャンパーニュと同じ伝統的方式です。)


エチケット平面化画像。
IMG_0290

裏ラベルはなく、インポーターのラベルだけでした
IMG_0297


さあ、抜栓といきましょう。
IMG_0367
コルク、キャップとも汎用品です。

でもコルク平面化しておきました。(笑)
IMG_0368

Alc.13.5%。
ガーネット。
涙は粘性ありそうですが輪郭ははっきりしません。
IMG_0369

ブラックベリー、ブラックチェリー、
スパイス、鉄分、ヴァニラ…。
辛口アタック。
フレッシュな感じの酸と舌にザラつきが残ります。
そこにタンニンが絡み合って味の正体が掴みにくいんですが、
そこそこの厚みはあるようです。
余韻からフィニッシュにかけてまた酸は主張してきますね。
これはちょっと減点なんですよね。
食事に合わすと気になりにくく、真価を発揮しそうです。
2日目も試してみようっと。

まあまあイケてるうまさなのはわかりましたが、
パーカーおじさんの94点は残念ながら出ないですね。



***** 


Alain Voge
Cornas “Les Chailles” 2011
RRWポイント 89点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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