Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Terre_Sicilane

Villa Puccini Pinot Nero 2021 Terre Siciliane IGT

ピノ・ネロはピノ・ノワールのイタリア語です。それはいいとして、「Terre Siciliane IGT」とあります(IGT=Indicazione Geografica Tipica)。これはシチリア島全域対象の地理的保護表示(IGP:Indicazione Geografica Protetta と同義)ですから、シチリア島で作られたピノ・ノワールということですね。これは初めてかもしれません。しかし、シチリア島とはかなり南方のピノですね~。

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作り手はカステッラーニ(Castellani Spa)という1903年創立のトスカーナの大手ワイナリーでした。ヴィラ・プッチーニ(Villa Puccini)はそこのブランドのようです。待てよ? シチリア島はどうなった? ラインアップを見てもトスカーナ、キヤンティばかりです。キャンティが世界で成功した立役者の一人とも書かれています。ふ~ん、さてはこのワイン、シチリア島での委託生産だな…と勘繰ったのですが、裏ラベルを見ると「Imbottigliato da Villa Puccini nelle Cantine di Pontedera」と書いてあります。これは「ポンテデラのセラーでヴィラ・プッチーニが瓶詰めしました」ということです。ポンテデラはカステッラーニの本拠地、トスカーナ州の町です。えっ? シチリア島のピノ・ノワールをトスカーナまで持ってきたんですかね。謎は深まる...。

公式ページはヴィラ・プッチーニのものが個別URLにあります。
Castellani00
しかし、キヤンティやトスカーナIGTしか載っていません。

・ピノ・ネロ(ピノ・ノワール) 100%

日本のインポーター(アルカン)サイトにもほぼ情報なし。テッレ・シチリアーネIGTを謳うわけですからシチリア島産であることは間違いないんですが…。


あまり意味ないですが、トスカーナのカステッラーニを訪問します。
Castellani01
フィレンツェから西に車で1時間くらいのポンテデラの町にあります。トスカーナ州ピサ県(Pisa)にある町です。工場(?)に行き着くまでの庭園がすごそうです。しかしここで瓶詰めとは…ブドウを運ぶんでしょうか? 果汁で持ってくるのかな?

とにかく意味もなくシチリア島のDOCマップを挙げておきます。
Sicilia_island3
テッレ・シチリアーネIGT(Terre Siciliane IGT)は全島が対象なので欄外に名前だけ書いています。IGP Terre Siciliane はもともと「IGP Sicilia」なんですが、2011年に DOC Sicilia が出来た時、IGPの方が改名されたものです。

IGT Terre Sicilianeに使える品種は国際品種含めなんでもOK状態ですから、当然ピノ・ノワールもOKです。ただし、なぜかネロ・ダーヴォラ(Nero d’Avola)とグリッロ(Grillo)のバリエタル(品種表示)だけがダメとなっているようです。これらは DOC Sicilia で出せってことかな? 


ラベル平面化画像。
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こういう得体の知れないワインはラベル情報が頼りなんですがあまりにも情報少なすぎでした。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
微かにエッジにオレンジのある濃いめルビー。
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ラズベリー、ダークチェリー。
スモーキーな樽香らしきものを感じます。
酸の鋭角さから入る辛口アタック。
軽くはなく、しっかり重みのある味です。
酸い酸は主張が強く、最後まで悪ノリします。
素性は良さそうなんですが、
もう少し酸が穏やかだったらな~。
しかし…飲み進めるうちにこなれてきた感じがします。


*****

Villa Puccini
Pinot Nero 2021
Terre Siciliane IGT
RRWポイント 84点


Cantina Europa Roceno Nerello Mascalese 2021 Terre Siciliane IGP

シチリアの代表的な黒品種のひとつ、ネレッロ・マスカレーゼ(Nerello Mascalese)ですが、なぜか今まで試したことがありませんでした。もしかしたらブレンドで口にしたことがあったかもしれませんが、モノセパージュは今回がはじめて。京都に昨年末新しくオープンしたワインショップ(WineRoom17)を覗いたときに見つけたのでゲットしたものです。

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作り手はカンティーネ・エウロパ(Cantine Europa)というシチリア島の西部マルサラの近くに1962年に設立された協同組合です。シチリアの中でも最大規模の生産者ということで、島西部の2,000を超える農家が所属しているそうです。

公式ページはなかなかカッコいいです。創立60周年の記念ロゴになっています。

ワイン紹介はショップになります。シビリアーナ(Sibiliana)マーク付きの上質ラインだそうで。

・ネレッロ・マスカレーゼ 100%

まあ、情報はほぼなし。ステンレスタンクで発酵・熟成とのこと。裏ラベルを見ると安定剤(アカシア)入り。ちょっと気になります。


ネレッロ・マスカレーゼ(Nerello Mascalese)。「マスカリの黒いやつ」という意味でしょうか。マスカリ(Mascali)という町は島東部の活火山エトナ山のふもとにあります。
Nerello-Mascalese
従って、エトナ(Etna)DOCの主要品種になっていますが、他にも Alcamo DOC、Faro DOC、Marsala DOC、Menfi DOC、Monreale DOC、Riesi DOC、Sicilia DOC でも主要品種なのでシチリア島全域で栽培されてそうですね。全栽培面積の91%が原産のシチリア島と、シチリア島に多い品種ですが、一部カラブリア州にもあります。(カラブリア州の S. Anna di Isola Capo Rizzuto DOC の主要品種になっています。)
2013年に実施されたDNA分析によると、おそらくサンジョヴェーゼとマントニコ・ビアンコの自然交配(Sangiovese x Mantonico Bianco)ということがわかっています。

ネレッロ・カプッチオ(Nerello Cappuccio)というのが定番のブレンドパートナーです。
Nerello-Cappuccio
ネレッロ・マスカレーゼの方が品質が上とされ、もっぱらネレッロ・マスカレーゼに補助的にブレンドされるようです。2008年に実施されたDNA分析では最大5種類の未知の品種が存在し親子関係が特定できなかったそうです。ネレッロ・マスカレーゼとは直接関係ないんでしょうね。これも61%がシチリア島にあり、34%がカラブリア州だそうです。まあ、今日のワインに入ってはいませんが補足情報として…(笑)。(後の地図で見てもらうとわかりますが、実はカラブリア州とシチリア島は泳いで渡れるぐらい近いですよ。)


さあ、カンティーネ・エウロパを訪問。さすが地域最大の協同組合という規模です。
Cantine-Europa01
マルサラ(Marsala)の町から南下する幹線道路沿いにあります。

シチリア島を俯瞰してカンティーネ・エウロパの所在と他DOCとの位置関係を確認。
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地図の最西端がマルサラ(Marsala)の町です。この辺一帯はマルサラ(Marsala)DOCというマルサラ・ワイン(酒精強化ワイン)のDOCになります。先ほど出てきた、ネレッロ・マスカレーゼ(Nerello Mascalese)の名前の由来であるマスカリ(Mascali)の町も書き込んでおきました。今度は島の東側、エトナ山を探してください。
そうそう、今日のワインは全島が対象エリアの IGP Terre Siciliane でしたね。(IGP=Indicazione Geografica Protetta)つまりは、全島全域からのブドウなんでしょう。巨大協同組合ですからさもありなんです。IGP Terre Siciliane はもともと「Sicilia」なんですが、2011年に DOC Sicilia が出来た時、IGPの方が改名されたものです。


ラベル平面化画像。
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やはり、安定剤(アカシア)が気になります。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
濃いガーネット。
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黒ベリー、ブラックチェリー、スミレ、黒鉛。
辛口アタック。
最初酸が少し出過ぎと感じましたが、
厚みのある味わいですぐバランスが取れてきます。
少し還元があるような気がしましたが、個性として楽しめました。
アカシア効果かもですが余韻もいい感じでした。


*****

Cantina Europa
Roceno Nerello Mascalese 2021
Terre Siciliane IGP
RRWポイント 87点


Gergenti Frappato Terre Siciliane IGT 2020 Vino Biologico

さて、年末に近づきますと、ワインくじのハズレ処理が始まります(笑)。今年もすでにリカマンの赤ワインくじのハズレが3種類すべて揃いました(涙)。その1本がこれ。イタリアは「Terre Siciliane IGT」のフラッパート(Frappato)のモノセパージュです。お初の品種ですから、それはそれで意義はあるんですが、気持ち的には少し後ろ向きのテイスティングです。

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元々の親会社というのがスイス出身のアーノルド・シェンクさんが1893年に設立したシェンク・ワインという国際ワイングループです。スイス、フランス、イタリア、スペインではワイナリーも所有。ドイツやUK、ベルギーには販売会社を構え、シェンク家5世代に渡り欧州から世界へと手広くワインの流通を牛耳ってるようです。で、今日のワインなんですが、シェンク・ワインのイタリアの子会社、シェンク・イタリアが作るワインということです。

Schenk Italia の公式ページはこれですが、傘下に10以上のブランドがあります。

「Gergenti」単独のサイトはないのですが、今日のワインのワイン情報はありました。

・フラッパート 100%

手摘み収穫、果皮と共に6日間の発酵。ステンレスタンク内でMLFまで終えた後瓶詰め。ボトル内で1ヶ月の熟成とのこと。あっさりしてますが裏ラベルにあるようにアカシア(安定剤)で味を整えるのでしょう(笑)。

今日の品種、フラッパート(Frappato)です。シチリア島原産だそうです。
Frppato01
シチリア島のローカル品種といえば、ネロ・ダーヴォラ(Nero d'Avola)ですが、フラッパートはそのブレンドパートナーとして使われることが多いようです。ただし、今日のように単一品種で秀逸なワインも作られていますから、スーパーセカンドといったところでしょうか。
品種として認識されたのは、シチリア島南部のラグーザ県(Ragusa)で1760年に言及されたのが最初だそうで、現在でもその辺りが栽培の中心です。シチリア島唯一のDOCG、Cerasuolo di Vittoria DOCGがいい例です。(ラグーザ県のヴィットリア周辺が対象。Nero d’Avola 50~70% +Frappato 30~50% が規定です。)その他、Alcamo DOC、Eloro DOC、Erice DOC、Menfi DOC、Sicilia DOC、Vittoria DOCでもフラッパートが使われ、85%以上で品種名を表記できます。

裏ラベルには今日のワインは「Gergenti Estate」による瓶詰めとなっていますが、住所がボルツァーノ自治県(アルト・アディジェ)の Ora とあります。これはシェンク・イタリアの本社所在地で本当の生産地ではなさそうです。よって、ワイナリー訪問は断念します。


いつもの地図ですが、シチリア島全体を俯瞰して全DOCを書き込んだものです。
Sicilia_island3
シチリアDOC(Sicilia DOC)だけがシチリア島全域が対象で、これは元 IGT Sicilia から2011年に昇格したDOCです。元の IGT(Indicazione Geografica Tipica =IGP:Indicazione Geografica Protetta)は Terre Siciliane IGT と改称しました。これが今日のワインです。よって当然ながらシチリア島全体が対象地域で、赤・白・ロゼ・泡あり、品種も国際品種含め何でもありです。


ラベル平面化画像。 ルカ・マローニ96点が誇らしげです。
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ユーロリーフのビオワインですね。なのにアカシア(安定剤)入りというのが何ともしっくりきません(笑)。


さあ、抜栓。
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キャップシールはなく、写真のような帯状の紙のシールが貼ってるだけでした。

コルク平面化。
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ノマコルクです。サトウキビ由来のバイオプラスチック製です。

Alc.13%。
赤紫系のガーネット。
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カシス、ダークチェリー、青草の風味あり。
辛口アタック。
酸味が効いてるんですがいい盛り立て役です。
早飲み系のあっさり味は否めません。
バランスは悪くないんですけどね。
酸は最後まで残る感じです。

確かに品種のポテンシャルとしては、
ネロ・ダーヴォラには劣るかもしれません。


*****


Schenk Italia
Gergenti
Frappato Terre Siciliane IGT 2020
Vino Biologico
RRWポイント 85点


Cusumano Syrah 2019 Terre Siciliane IGT

イタリアはシチリア島(Terre Siciliane IGT)のシラーです。シチリアのバリエタルの宝庫、フェウド・アランチョもシラーをラインナップしてましたから、割とポピュラーな品種なのかもですね。尚、このクズマーノ(Cusumano)という作り手、以前ノアというフラッグシップを試してバリうまだったところです。とてもお手頃価格だったので、そんなに上質ではないと想像しますが、同じ作り手なら案外いいかも。

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作り手はクズマーノ。2000年に設立だそうで割と新しいのですが、登場以降10年以上連続して最高賞(どこの?)を獲得しているらしく、瞬く間にイタリアでも大注目のシチリアのニュー・ウェーヴと呼ばれる人気ワイナリーになってるようです。「クズマーノ」の名を世に広めたのが、前回試したフラッグシップワインである「ノア」だそうです。


公式ページはスタイリッシュですが、情報は簡素というかシンプル。

今日のワインはエントリーのバリエタルらしく情報が載っていません。ネット情報からは…
・シラー 100%
一応、手摘み収穫。除梗して低温浸漬2日間。ステンレスタンクで主発酵、マロラクティック発酵、その後の5ヶ月の熟成も行われます。

フランス原産のシラー(Syrah)ですが、総論をここで見ておきましょう。
Syrah01
歴史も古く、ヨーロッパではもちろん、新世界でも19世紀以降広まり、世界のブドウ品種ランキングで7位にランクされるほどポピュラーな品種です。起源についても多くの仮説があり、最も一般的なものは、ペルシャ(現在のイラン)の古代都市シラーズ(Shiraz)からフランスの十字軍がフランスに持ち帰った、というものです。オーストラリアのシラーズ(Shiraz)というシノニムはここから来てそうですね。
他にも諸説あり、ギリシャのキクラデス諸島の島、シロス島(Σύρος = Syros)の別名をシラ(Syra)と言い、ここから来たという説。また、興味深いことに今日のワインのシチリア島にあるシラクサ(Siracusa)の町から来たというの説もあります。であれば、今日のワインの選択は間違っていない感じです(笑)。尚、これら諸説はどれも歴史的にも植物学的にも根拠はありません。

2000年に行われたDNA分析によって、シラーはおそらくフランスの2つの古い品種の自然交配と判明しています。ペルシャ、ギリシャ、イタリア起源説は吹っ飛びました(笑)。モンドゥーズ・ブランシュ(Mondeuse Blanche)xデュレザ(Duréza)という交配ですが、驚いたこととにモンドゥーズ・ブランシュは名前の通り白品種です。

栽培面積ではフランスがダントツで 65,592ha(2016年)。ヨーロッパではスペイン(19,488ha)、イタリア(7,693ha)が続きます。イタリアではピエモンテ、シチリア、トスカーナで多いそうです。

シラー(Syrah)をシラーズ(Shiraz)として世に広めたオーストラリアは、38,942haという栽培面積を誇ります。その次が意外なアルゼンチンで 12,707ha。次が南アフリカで 9,946ha。アメリカがその次、9,083ha。チリがその次の 7,994ha。イタリアには僅差で勝ってます(笑)。


さあ、作り手訪問。州都パレルモの西側、パルティニーコ(Partinico)にあります。
Cusumano01
規模は大きいんですが、工場然としてますね。きれいな門構えの施設もありそうなんですが、ストビューでは見当たらず。

クズマーノはシチリア島各地に5ヶ所の拠点があるようです。
Sicilias
公式ページからの情報ですが、詳しい住所や外観写真はありません。


シチリア島全体を俯瞰して、位置関係と懸案のシチリアの全DOCを書き込みます。
Sicilia_Island01
全部で24のDOC/DOCGがありますが、DOCGは Cerasuolo di Vittoria DOCG のみです。これはネロ・ダーヴォラとフラッパート(Frappato)主体の赤のみのDOCGです。その他DOCの範囲は地図上に番号で示しました。㉔シチリアDOC(Sicilia DOC)だけシチリア島全域が対象になります。これは元 IGT Sicilia から2011年に昇格したDOCで、もとの IGT は IGT Terre Siciliane と改称しています。これが今日のワインですね。
※ IGT(Indicazione Geografica Tipica)= IGP(Indicazione Geografica Protetta)

シチリアのDOCについてここ情報が詳しかったので参考にしています。
上のGoogle Map書き込み地図はそこに載っていた地図が元ネタです。


ラベル平面化画像。
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クズマーノのラベルは全部この形に統一してるようですね。

インポーターシールは裏ラベルを隠していませんでした。エライ。
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さあ、抜栓…れれれ? キャップシールを剥がすとガラスの栓になってます。
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初めてガラス栓にお目にかかりました。コストダウンにはならないでしょうから、何かのこだわりがあるんでしょうね。

Alc.13%。
赤味がかったガーネット。
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黒ベリー、胡椒。
甘み感じる辛口アタック。
正体は甘やかな酸だとわかります。
若干厚み弱めの味ですが苦味系の複雑味を纏ってる感じ。
喉越しからフィニッシュにかけて最初の酸が本領発揮してきます。
けっして上質感を狙ったワインでないことは理解してますが、
若い早飲みワインを思わす酸の味わいで終わるのが少々残念かな。


*****

Cusumano
Syrah 2019
Terre Siciliane IGT
RRWポイント 87点


Corinzio Catarratto-Inzolia 2018 Terre Siciliane IGT

KALDIで見つけたお手頃シチリア白ワインです。
ポイントはカタッラットインツォリアというシチリア島のローカル品種。
NHKのEテレでやってる「旅するイタリア語」は今シチリア島の旅なので、
番組で出てくる白ワインはこんなやつかな~なんて思いながら見るのがオツです。


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高級感はゼロですが、これがまたローカルっぽくていいです。
いかにも現地の安レストランで出てきそう。
逆に輸出に回されて日本まで来てることにも驚きますが。


作り手を調べようと、公式ページを探しますが見つからず。
裏ラベルからパチェコ(Paceco)の町にあるA.V.S.という所とわかりますが、
それ以上何もわからず。検索も全く引っ掛かりません。

カタッラットインツォリアをブレンドしたワインは他にも見つかって、
だいたいカタッラット主体(60~70%くらい)のようです。

カタッラット(Catarratto)はシチリア島で最も栽培されている白ブドウ品種だそうで、
かつ一番歴史が古い品種でもあるそうです。
Catarratto

インツォリア(Inzolia)もシチリア島原産ではありますが、一部トスカーナでも栽培され、
アンソニカ(Ansonica)というシノニムで知られています。
Feudo04

どちらも島西部、パレルモ、トラパニ、アグリジェントなんかで栽培されてるそう。
Sicily01
パチェコはトラパニの町のすぐ近くです。


また、今日のワインはIGT Terre Sicilianeなので一応確認。
地域はシチリア島全域、白ワインに使っていい品種は以下の通り。
CatarrattoAnsonica、Carricante、Chardonnay、Damaschino、Fiano、
Gewürztraminer、Grecanico Dorato、Grillo、Malvasia、Manzoni Bianco、
Montonico Bianco、Moscato、Müller-Thurgau、Pinot Bianco,、Pinot Grigio、
Riesling、Sauvignon Blanc、Semillon、Trebbiano、Vermentino、Vernaccia、
Viognier、Zibibbo...
聞いたことないのもありますが、主要国際品種も揃っていて何でもOKです。
当然ちゃんとカタッラットとインツォリア(=アンソニカ)はありますね。


エチケット平面化画像。
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今日のようにネット情報皆無の場合は裏ラベルだけが頼りですが、
所在地とテイスティング情報だけでした。


さあ、抜栓。
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汎用品ですが、テクニカルコルクのDIAM3(3年耐用)を採用です。

コルクも平面化。
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Alc.12.5%。
淡いイエロー。
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ライム、洋梨。
裏ラベルにローストしたアーモンドと書いてましたが、
本当にアーモンドが香ります。面白い。
樽なんか使ってないでしょうから樽香じゃなさそうですし。
シンプルな酸の辛口アタックです。
柑橘系の味わい、グレープフルーツほど酸味は強くないので、
ネーブルって感じがしました。
軽口なんですが、安物然としてなくていいですね。


*****


Corinzio Catarratto-Inzolia 2018
Terre Siciliane IGT
WWWポイント 78点



WhiteWhiteWine01

Duca di Salaparuta Passo delle Mule 2016 Terre Siciliane IGT

シチリア島を代表する作り手と言えば、Duca di Salaparuta
そこのネロ・ダーヴォラ最高峰をいただこうとDuca Enricoを試しましたが、
店頭での保存状態なのか、超欠陥品質でテイスティングを断念しました。
その時リベンジを誓ったのですが、早々とそのリベンジを行ないます。
ただし、Passo delle Muleというひとつ下のランクになりますが…。(笑)


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ひとつ下と言えど、シチリア島南部の同じ所(Tenuta Suor Marchesa)から。
畑がちょっと違うだけ。その畑名がこの「Passo delle Mule」です。


公式ページは傘下のCorvoも含めた総合サイトの中です。

トップエンドのDuca Enricoと同じく、
・ネロ・ダーヴォラ 100%
ただ、樽熟が18ヶ月(+ボトル18ヶ月)に対し、10ヶ月(+ボトル6~8ヶ月)です。
Duca EnricoにはMLF(マロラクティック発酵)の記述がありますが、
Passo delle Muleにはありません。気になるところです。


ワイナリー訪問。前回の再掲です。パレルモ近くの海岸沿い。
Corvo01
畑は島南部のTenuta Suor Marchesaで、RiesiからGelaを結ぶ道路沿いの、
Buteraの町にあるとわかりましたが、それらしい所は見つからず…。

ところで、
前回のDuca Enrico 2008は、IGP(IGT)Siciliaとなっていましたが、
このIGTは2011年にDOC昇格し、DOC Siciliaというのができています。
同時に、もとのIGP(IGT)SiciliaはIGP(IGT)Terre Sicilianeと名称変更。
よって今日のPasso delle Mule 2016はTerre Sicilianeとなっています。

どちらも対象地域はシチリア島全域で、違いは、IGPが指定品種
(これが国際品種含めいっぱいあります…笑)をどんな割合でもOKで、
DOCは指定品種が50%以上となっているぐらいの差のようです。
どちらも品種を書く場合(Varietal)は、85%以上入ってないとだめです。
ネロ・ダーヴォラ100%のこれがDOC Siciliaにならないのが依然謎です。


ラベル平面化画像。
IMG_0520
バーコードのシールが裏ラベル隠してますが、下も元のバーコードです。


さあ、抜栓。
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キャップシールは畑のあるSuor Marchesaエステート名が書かれてます。

コルクはDuca di Salaparutaの紋章入り。
IMG_0798

Alc.14%。
ガーネット。
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ブラックベリー、チェリー、ハーブ、鉄…。
クールな印象の辛口アタック。
独特なタンニンの効き方のお陰か構造感が感じられます。
実は味の中心は案外あっさりで、フレッシュ感もあります。
このあたりはトップエンド(Duca Enrico)との味わいの違いかもしれません。
タンニンを味わうかのような特徴的な余韻は面白いです。

想像していたネロ・ダーヴォラ最高峰の貫禄は弱いかもしれませんが、
かなりのレベルであることは確認できました。
まずまずリベンジは成功した、ということにしておきましょう。(笑)


*****


Duca di Salaparuta
Passo delle Mule 2016
Terre Siciliane IGT
RRWポイント 90点


Duca di Salaparuta Duca Enrico 2008

NHK教育でやってる「旅するイタリア語」って見てますか。
この10月からのシリーズではずっとシチリア島が舞台なんですよ。
これを見ていると無性にシチリアのワインが飲みたくなります。(笑)
というわけで、IGP(IGT)シチリアのネロ・ダーヴォラの上等なやつです。


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適当に買ってストックしてあったものですが、なんだか聞いたことあります。
Duca di Salaparuta...。そう!安旨シチリアワインのCorvoを出してるところ。
今日のワイン、そこのネロ・ダーヴォラ100%のトップエンドですね。


公式ページは傘下のCorvoも含めた総合サイトです。

Duca di Salaparutaの創業は1824年に遡り、シチリアワインの草分け的存在です。
意外にも最初はフレッシュな飲み口のCorvo(赤、白)から始まったようです。
Duca Enricoは遅れること160年、1984年に登場。シチリア初のネロ・ダーヴォラ100%で、
世界の最高峰ワインと比肩するレベルを目指して作られたとのこと。
熟成は、オーク樽にて18ヶ月、ボトル詰め後さらに18ヶ月となっています。

今日のワインは、IGP(IGT)Siciliaとなっていますが、
2011年にDOC昇格し、DOC Siciliaというのができています。
同時にもともとのIGP(IGT)SiciliaはIGP(IGT)Terre Sicilianeと名称変更。
よって最近のヴィンテージはTerre Sicilianeと書かれています。

どちらも対象地域はシチリア島全域で、違いは、IGPが指定品種
(これが国際品種含めいっぱいあります…笑)をどんな割合でもOKで、
DOCは指定品種が50%以上となっているぐらいの差のようです。
どちらも品種を書く場合(Varietal)は、85%以上入ってないとだめです。

不思議なのは、Duca Enricoは指定品種のネロ・ダーヴォラ100%ですから、
DOC Siciliaにしてもよさそうなものなのですが…。


さて、ワイナリー訪問。前も来ましたがパレルモ近くの海岸沿いです。
Corvo01
ただ、今日のDuca Enricoのネロ・ダーヴォラは、島南部のリエージ(Riesi)や、
ブテーラ(Butera)といった地域からだそうです。


ラベル平面化画像。
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10年以上経っているので、ラベルの痛みが少々あります。


さあ、抜栓。コルクがかなり濡れています。
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吹きこぼれ寸前まで液面が上がった証拠ですね。
保管の温度管理がよろしくなかった可能性が疑われます…。

Alc.14%。
濃いガーネット。エッジも少し褐変。
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ブラックベリー、ブラックチェリー。
森の下草、濡れた木の樽香。香りは普通なんですが…。
酸味がきつい!酢とは言いませんが、これはひどい。
アウトです。
これは採点不能です。悲しいですが。
いつの日かリベンジを誓って…。


*****


Duca di Salaparuta
Duca Enrico 2008
RRWポイント --点


Feudi del Pisciotto 'Versace' Nero d'Avola 2012

ネロ・ダーヴォラを物色していたら、こんなのがありました。
ワインとイタリア・ファッションのコラボレーションということで、
ヴェルサーチのマークがエチケットにでかでかと描かれています。


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ヴェルサーチ所有のワイナリーというわけでもなく、ただのコラボ。
ただ、ヴェルサーチの専任デザイナー、ドナテラ・ヴェルサーチさんは、
このネロ・ダーヴォラという品種をこよなく愛してらっしゃるそうで。


公式ページは、「Domini Castellare di Castellina」というグループ名で、
1978年にキヤンティ・クラシコで始まったカステラーレのサイト内にあります。
今ではトスカーナとシチリアに4つのワイナリーを所有しているようです。
今日の「Feudi del Pisciotto Nero d'Avola」は情報も十分載ってました。

・ネロ・ダーヴォラ 100%
熟成は新樽率50%のバリックで10ヶ月+ボトルで8ヶ月です。
「Feudi del Pisciotto」の取得は2002年だそうで、
ファースト・ヴィンテージが2007年になっています。


早速、ワイナリー訪問。シチリア島へGO!
Versace01
きれいで立派な建物です。周りを畑で囲まれています。
ホテルもやっているようです。

別アングルで遠目にながめてみます。
Versace02
島の南側のニシェーミ( Niscemi)という町にあります。


エチケット平面化画像。
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「IGT Terre Siciliane」ですね。
2011年にSiciliaがIGTからDOCに格上げされ「DOC Sicilia」になった際、
その下に従来のIGT Siciliaの代わりに設定されたのが「IGT Terre Siciliane」。
シチリア島全域に適用されます。


インポーターのシール剥がしました。で、隠れていたのがコレ。
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生産者の正確な名称と所在都市。これ結構重要な情報なんですよ。
アルコール度数もシールが本当かどうか確認がしたいですしね。


さて、抜栓。
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キャップシール、コルクはショボめです。

Alc.14%。
ガーネット。クリア感があります。
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涙が細かいですが、ねっとり太めです。
黒ベリー、ブラックチェリー、青草。
樽熟10ヶ月ですから樽香もしっかり出ています。
酸味を感じる辛口アタック。
深みのある、ちょっと重めの味を、スキッとさせてるいい酸です。
若干酸味が出過ぎなくらいのバランスがちょうどいいパターンですね。
喉越しから余韻、フィニッシュとグッドバランスが続きます。
やっぱり、ネロ・ダーヴォラは好きですね。
シシリーのテロワールも感じられますし…。


*****


Feudi del Pisciotto
'Versace' Nero d'Avola 2012
Terre Siciliane IGT
RRWポイント 91点


Corvo Rosso 2015

前回、ジョリーパスタでいただいたのですが、
明らかな欠陥臭を感じつつも最低評価をつけました。
正常なものなら普通においしいはずと、
今回フルボトルを購入してリベンジです。


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と言っても、リカマンの特売で860円なり。
値段なりのお味とは思いますが、
ネロ・ダーヴォラの追求も含め試してみます。

作り手は、シチリア島にある「Duca di Salaparuta」グループです。
公式ページについてやワイナリー訪問は前回の記事を参照ください。


自宅なのでしっかりとラベル平面化ができます。(笑)
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さて、抜栓。
Alc.12.5%。
少し透明感のあるルビー。
ラズベリー、チェリー。
お菓子のグレープ味のような香りがありますね。
酸味が立つアタックですが、
前回のような変な風味はありません。
やはりジョリーパスタで出たのは欠陥だったようです。
これでコルヴォ・ロッソ、名誉挽回ですね。(笑)

しかし、酸味がちの薄っぺらい味は少し残念です。
貫禄はないですが、楽しめるとは思いますが。


*****


Duca di Salaparuta
Corvo Rosso 2015
RRWポイント 84点


Chiaramonte Nero d’Avola 2014 IGP Terre Sciliane

KALDIというコーヒー雑貨屋さんで適当にゲット。
調べるとこの2014年のネロ・ダーヴォラ、
パーカーおじさんが90点をつけています。
にわかに興味がわいてきます。(笑)


IMG_5441


ネロ・ダーヴォラはもっとおいしいのがあるんじゃないか。
そんな興味が尽きない今日この頃。
気のせいか、店頭でもよく「IGP Terre Sciliane」なり、
ネロ・ダーヴォラを見かけます。

このフィッリアートという生産者、シチリア島では大手のようで、
公式ページは日本語表示もできて内容かなり充実しています。

場所は島の西端、トラパニの町の近くですが、
畑はエトナ火山近くにも持っているそうで、
なんでもプレフィロキセラなブドウ畑なんだそう。
Firriato04

殺風景ですが、本拠地をGoogle Mapで確認。
Firriato01
なかなか大きな敷地と建物です。

畑はGoogleにアップされていた写真を拝借。
Firriato02
公式ページに出ている豊富な写真と同じものですが。
日本語で詳しく書かれてますので、ぜひリンクをたどってください。
シチリア島の土着品種なんかも個別にきっちり写真付きで説明があり、
とっても参考になります。


もちろんワインのラインアップも、
個別にデータシート付で詳細情報があります。
畑の所在、土壌、高度、苗木の仕立て方まで。
収穫は手摘み。
アメリカンオークのバリックで6ヶ月の樽熟。


オリジナルの裏ラベルを隠さないよう工夫されていて、
インポーターの良識を感じますね。
IMG_5282


さて、抜栓。合成コルクです。
Alc.13.5%。
濃い目ですが透明感のあるルビー。
エッジは朱色がかってる感じです。
黒ベリー、カシス、プラム。
微樽香か干し草の香りも。
辛口のアタックです。
タンニンはまろやか。
パレットに酸が張り付くのがわかりますが、
ぜんぜん刺さないのでおいしくいただけます。
その酸を喉の奥に感じながらの余韻は爽やか。
品種の個性でしょうか、やはり酸味が特徴的。
口に残ると苦みにも感じます。
でも総合評価としては、
パーカーおじさんと意見の一致。
90点。(笑)


*****


Firriato
Chiaramonte Nero d’Avola 2014
IGP Terre Sciliane
RRWポイント 90点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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