Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

VDP

Weingut Friedrich Becker Spätburgunder 2017 Pfalz

フリードリッヒ・ベッカーのピノ・ノワールをいただきます。以前にローエンドというかエントリーラインを試しています。今日のはそれよりちょっと上のやつ(笑)。ブルゴーニュ以外の美味しいピノ探しではドイツは有力候補ですから、それでもおのずと期待感は盛り上がります。

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パパ・フリードリッヒさんが先代から引き継いだ畑でできたブドウを協同組合に売るのをやめ、1973年に元詰めを始めたのが Weingut Friedrich Becker の創業です。その後、息子フリードリッヒ(ジュニア)さんが加わり、2006年「ゴーミヨ」で今最も注目に値する醸造家に贈られる、「ライジング・スター」賞を受賞して以来、9年連続「最優秀赤ワイン賞」も受賞。現在はドイツワイン界のみならず世界的に高い評価を受けています。
フリードリッヒ・ベッカーは、ドクター・ヘーガー(Dr. Heger)@バーデン、フュルスト(Fürst )@フランケン、マイヤー・ネーケル(Meyer-Näkel)@アールなどと並び称されるドイツのピノ・ノワールのトップ生産者のひとつです。彼らはお互い離れていたのに、同時期にバリックを使い始めたというところが共通してるそうです。優秀な生産者は考えることが同じってことですね。


公式ページは、情報は詰まってそうですが手作り風のショボい感じです。

ワインリストや価格表はメールでリクエストするようになってます。困るな~。

・シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール) 100%

HPに載ってるシュペートブルグンダーは VDP. の格付けのあるものばかりで、今日のただの Qualitätswein trocken は見当たりません。やはりこれもエントリーラインになるんでしょうね。ネット情報から総合すると、オークの大樽・小樽の混成(新樽はなし)で14ヶ月の熟成のようです。

ファルツ(Pfaltz)最南端、シュヴァイゲン(Schweigen)にあるフリードリッヒ・ベッカー。
F.Becker01
例によってストビューがないので、こんな写真を拾いました。シュヴァイゲンの集落の中にあるようですが、なんとこの町、フランスとの国境ギリギリにあります。そして所有畑の70%はフランス側にあるというから驚きます。生産地域の分類からするとアルザスです(笑)。植えているのはほとんどがドイツクローンですが、一部フランスクローンの古木もあり、複雑味を生むんだそうです。しかし、収穫したブドウはドイツに輸入するってことになるんでしょうかね(笑)。

さあ、ファルツ(Pfaltz)を俯瞰して位置関係を確認します。フリードリッヒ・ベッカーはファルツの南の先端、フランスとの国境にあるのがわかりますね。
Pfaltz_Germany
ファルツ地方(Pfaltz)全体は、西はザールラント州(Saarland)、北はラインヘッセン地方(Rheinhessen)、東のライン川の対岸はバーデン地方(Baden)、そして南はフランスのアルザス地方に隣接しています。
地図にも書き込んでいますが、ファルツは2つの大きなベライヒに分かれおり、北部がミッテルハルト(Mittelhaardt)、もしくはドイチェ・ヴァインシュトラーセ(Deutsche Weinstraße)=「ドイツワイン街道」と呼ばれ、南部がズードリッヒェ・ヴァインシュトラーセ(Südliche Weinstraße)=「南部ワイン街道」と呼ばれます。今日の作り手フリードリッヒ・ベッカーは南側のベライヒ・ズードリッヒェ・ヴァインシュトラーセにあるということになります。実はこのズードリッヒェ・ヴァインシュトラーセはドイツ最大のベライヒになるそうです。
そもそもファルツには 23,600ha もの畑があり、ラインヘッセン(Rheinhessen)に次いでドイツで2番目に大きなワイン生産地です。(3位はバーデンです。)ドイツワインの3分の1がファルツって計算になります。ファルツの6割(62.3%)が白ワインなんですが、全体がでかいので、残り4割の赤だけでファルツがドイツ最大の赤ワイン生産地になるといいます。ファルツの中で一番多い黒ブドウ品種が、その1/3以上を占めるドルンフェルダーです。


ラベル平面化画像。
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このイラスト、イソップ物語「キツネとブドウ(The Fox and the Grapes)」の童話の挿絵から来てるそうです。『おいしそうなブドウを見つけたキツネがいくらジャンプしても届かず、「どうせ酸っぱくてまずいブドウ」だと捨て台詞を残して退散した』話で、「負け惜しみ」の代名詞になってる逸話です。
フリードリッヒ・ベッカーが協同組合にブドウを売らずに元詰めを始めた頃、まだまだ甘いワインが主流だったドイツでは辛口ワインは「酸っぱくてまずいブドウ」と批判されたそうです。その悔しい経験をラベルでうまいこと揶揄してるんですね。

剥がしたインポーターシールはこの有り様でした。
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バーコードでもなくなぜそこを隠す?(笑)


さあ、スクリュー回転。
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キャップにもキツネさん。ネックには VDP.会員の証し、鷲のマークです。

Alc.13.5%。
赤味の印象的なルビー。
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ラズベリー、リコリス、茎っぽさと佃煮香あり。
旨味のってる?辛口アタック。
割と酸はざわつくかな。
苦味様のコクをはらむ立体感ある旨味です。
余韻も深みあり続いてくれました。
やはり、普通にいい。


*****

Weingut Friedrich Becker
Spätburgunder 2017
Pfalz
RRWポイント 92点


Weingut Lützkendorf Saale-Unstrut Karsdorfer Hohe Gräte Spätburgunder 2016

高騰が激しいブルゴーニュ以外で美味しいピノ・ノワールはないかと探し回ることが最近多くなりました。そんな時の有力候補の一つがドイツのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)です。すると…ザーレ・ウンストルートのワインが新入荷していました。ザーレ・ウンストルート(Saale-Unstrut)はドイツの13ある特定栽培地域(bestimmtes Anbaugebiet)の一つで、これはお初の産地です。そこのピノ・ノワールなら、試さないという選択肢はないでしょう(笑)。

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作り手は、ウーヴェ・リュッツケンドルフ(オーナーのお名前です。)という、起源は18世紀にさかのぼるという歴史のある家族経営のワイナリーです。ただし、ザーレ・ウンストルートのエリアは1990年のドイツの再統一までは東ドイツだったところで、社会主義国家よろしくブドウ畑は国へ供出せねばならず長らくワイン作りは途絶えていたんだそうです。ということで、1991年に晴れて畑が個人に返還されたのを機にワイナリーを復興、40年に渡って中断していたワイン作りを再開して現在に至るそうです。

その間、ウーヴェさんは品質の向上に余念がなく、わずか4年で VDP.(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)に認められ会員となり、ワインのネックにワシのマークをつけています。
IMG_8671
ネックにワシのマークとVDP. Erste Lage(1級畑ワイン)の表示がありますね。(横のウルトラアイは気になさらないでください。賑やかしに置いているだけです。笑)

公式ページはスクロールで各メニューに進む奇をてらった作りで非常に使いにくいです(笑)。

ワイン情報がショップページにしかなさそうです。そのショップページも情報は薄し。

・シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)100%

「Karsdorfer Hohe Gräte」というVDP. が認めた1級畑からということで、その表示が認められています。樽は使ってると思うんですが明記はありませんでした。


リュッツケンドルフを訪問します。例によってドイツはストビューがありません。
Weingut-Uwe-Lutzkendorf01
ザクセン・アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)の南域、ザーレ・ウンストルート地域の中心地にあるようです。ザーレ川がすぐ近くを流れています。

ザーレ・ウンストルートSaale-Unstrut)というのは、この地域のキーとなる2つの川、ザーレ川Saale)とウンシュトルート川Unstrut)の名前を合わせたものです。文字通りこの2つの川の周辺地域ということになります。北緯51度に位置し、ドイツのワイン生産地の北限になります。

今日のワインのVDP.1級畑「Karsdorfer Hohe Gräte」というのがどこかなと探します。「Karsdorfer」というのが「カルスドルフの」という意味ですから、カルスドルフの町の「Hohe Gräte」という名前の畑なんでしょう。カルスドルフの町は見つけたので位置関係を確認。
Weingut-Uwe-Lutzkendorf00
カルスドルフはウンストルート川の流域になります。リュッツケンドルフ(ワイナリー)からは車で40分ほどかかる距離があります。とにかくこの辺りがシュロス・ノイェンブルク(Schloss Neuenbürg)というザーレ・ウンストルート地域最大のベライヒになります。

前述したように、リュッツケンドルフは VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員です。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークと共に表記されます。今日のワインは1級畑ワイン(Erste Lage)になります。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trocken が併記されます。

以下は VDP. の格付けをピラミッド図にしたものです。
VDP
※この図は VDP. のサイトから拝借したものに加筆しました。

ところで、このVDP. の格付けとは別に、2021年1月に新しいドイツワイン法が採択されました。新法ではEUのワイン法の影響を受けてブドウの出どころ(地理的呼称範囲)を基準に格付けされます。つまりはVDP.式の公式なものが出てきたということです。新法の適用は移行期間が5年間あり、2026年のヴィンテージからは拘束力が発生します。ぼちぼち新しい表示のワインが出てくる頃でしょうか。同じドイツ国内にVDP.もありますから当分は混乱しそうですね。
Germany_Wein_Classification
※これは新法の概要を自分なりにまとめて図示したものです。ご参考まで。


さて、最後にザーレ・ウンストルート特定栽培地域をGoogle Map上にまとめます。
Saale-Unstrut_Map
リュッツケンドルフの場所も示してあるのでご確認ください。多くの品種(60種以上)が栽培されていますが、ミュラー・トゥルガウが一番多いようです。その次に多いのがヴァイスブルグンダー(Weißburgunder)、いわゆるピノ・ブランですね。辛口白の産地と言えますが、25%は黒品種もあり、ドルンフェルダー、ポルトギーザー、ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)、ツヴァイゲルトの順に多いようです。今日のピノ・ノワールはこの地方にしては珍しいのかもしれません。

地図にエリアを色で示していますが、ザーレ・ウンストルート(Saale-Unstrut)には以下の3つのベライヒがあります。

・Bereich Schloss Neuenburg:ザーレ川・ウンストルート川流域
・Bereich Thüringen:ザクセン・アンハルト州でなくテューリンゲン州(Thüringen)
・Bereich Mansfelder Seen:ズューサー湖(Süßer See)周辺


ラベル平面化画像。
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ラベルは奇をてらったデザインですが、HPも同じ斜め切りの意匠です。

インポーターシールは微妙に裏ラベルに重なっていました。
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さあ、スクリュー回転。
IMG_8666
1級畑ワインがスクリューキャップとは潔い感じです。

Alc.14%。
濃いルビー。全体的に褐変。
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ラズベリー、スパイス。
香りは多くないですね。
ゼラニウムっぽさもかすかに。
果実味っぽい酸の辛口アタック。
ほんとにスパイシーな辛さです。
コクというか、味の芯が濃い感じがします。
喉越しでタンニン的な収斂性もあり。
熟成も進み全体的に重めに仕上がっている印象ですが、
なぜか余韻はアッサリに感じました。


*****

Weingut Uwe Lützkendorf
Saale-Unstrut Karsdorfer Hohe Gräte Spätburgunder 2016
Deuscher Qualitätswein Trocken | Gutsabfüllung
RRWポイント 89点


Peter Jakob Kühn Spätburgunder 2018 Rheingau Trocken

会社の欧州拠点がドイツのヴィースバーデンにあるため、ヨーロッパ出張と言えばまずはフランクフルトに入ってラインガウを目指すことになります。(ラインガウを目指してるんじゃないですが…笑)そんな馴染みのあるラインガウは自分のドイツワインの基準点とも言えます。なので今日のように定期的に戻ってくるわけです。リースリングが有名ですが、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)も最高です。

IMG_8003
ペーター・ヤコブ・キューンはラインガウの中心部、エストリッヒの地で230年に渡りワイン作りをしているという家系だそうです。11代目のペーター・ヤコブさんが1978年に引き継いでから劇的に品質が上がり高い評価を受けているようです。2004年以降はビオディナミに転換。デメターの認証を取っています。

公式ページはおしゃれ系。パーカーおじさん98点なんて自慢げに書いてあったりします。

リースリングが主力のためか、今日のシュペートブルグンダーが載っていません。

・シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール) 100%

ショップ兼用のようなので品切れで載ってないのかもしれません。困りますね。ネット情報では新樽率50%のバリックで熟成(期間不明)とあったりします。

ペーター・ヤコブ・キューンを訪問。例によってドイツはストビューなしです。
PeterJakob02
エストリッヒ・ヴィンケル(Oestrich-Winkel)という町ですが、ハルガルテン、ミッテルハイム、エストリッヒ、ヴィンケルの各村が合併してできた町で、ペーター・ヤコブ・キューンは旧エストリッヒ村にあるようです。

ラインガウの地図に上のGoogle Mapの範囲を示しました。
Rheingau=Map
薄い赤色の四角です。近くにシュロス・フォルラーツ(Schloss Vollrads)やラインガウ唯一のベライヒ(Bereich)でもあるヨハニスベルク(Johannisberg)がありますね。この地図はラインガウ(Rheingau)公式ページから拝借しています。
ラインガウの約80%はリースリングです。(このブログで白ワインの記事を書くときに記事末に挙げている畑の画像がラインガウのリースリング畑です)詳しい比率はおおよそ以下のようになっています。リースリング:78.0%、ピノ・ノワール:12.2%、その他白品種:7.6%、その他赤品種:2.2% [2018年]

さて、今日のワインはネックにVDP. の鷲のマークがありますので、ペーター・ヤコブ・キューンは VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ということになります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークと共に表記されます。今日のワインはラインガウの地域名ワイン(Gutswein)になります。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trocken が併記されます。

以下は VDP. の格付けをピラミッド図にしたものです。
VDP
この図は VDP. のサイトから拝借したものに加筆しました。

ところで、このVDP. の格付けとは別に、2021年1月に新しいドイツワイン法が採択されました。(その後、連邦政府による最終承認を受け2021年5月7日に連邦法官報で発表。)1971年に改訂されている現行のドイツワイン法は収穫時のブドウの熟度をもとに品質が定義(i.e. Prädikatswein の等級)されていましたが、新法ではEUのワイン法の影響を受けてブドウの出どころ(地理的呼称範囲)が基準に格付けされます。VDP.(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)は私的団体であり、格付けを会員の中でやってるにすぎませんでしたが、今度は連邦政府公認の本物が出てきたということになります。これはこれで複数の格付けが存在することになり非常にややこしいですね。

この新法をピラミッド型の図で説明している資料が出回ってますが、ちょっと見かけを変えてまとめてみました。ピラミッドよりわかりやすくなったと思うんですが(笑)。

Germany_Wein_Classification

ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein)は原産地指定のない「ドイツワイン」のことで、2009年まではターフェルヴァイン(Tafelwein=テーブルワイン)と呼ばれていました。原産地が指定されると、g.g.A.geschützte geografische Angabe)となり、EU法のIGPに対応します。ラントヴァイン(Landwein=カントリー・ワイン)とも呼ばれ、26ありますので以下に挙げておきます。

・Ahrtaler Landwein
・Badischer Landwein
・Bayerischer Bodensee-Landwein
・Brandenburger Landwein
・Landwein Main
・Landwein der Mosel
・Landwein Neckar
・Landwein Oberrhein
・Landwein Rhein
・Landwein Rhein-Neckar
・Landwein der Ruwer
・Landwein der Saar
・Mecklenburger Landwein
・Mitteldeutscher Landwein
・Nahegauer Landwein
・Pfälzer Landwein
・Regensburger Landwein
・Rheinburgen Landwein
・Rheingauer Landwein
・Rheinischer Landwein
・Saarländischer Landwein
・Sächsischer Landwein
・Schleswig-Holsteiner Landwein
・Schwäbischer Landwein
・Starkenburger Landwein
・Taubertäler Landwein

g.U.geschützte Ursprungsbezeichnung)は13ある指定生産地域に対応し、EU法のAOPの位置づけです。ベライヒ名もしくは集合畑名を名乗る場合は、Bereich(ベライヒ)もしくは Region(レギオン)をつけなくてはならないようです。以降、村名、単一畑名と範囲が狭まるほど上位ランクということになります。さらに単一畑の中には1級や特級畑が設定されます。
これら新法の適用は移行期間が5年間あり、2026年のヴィンテージからは拘束力が発生します。また、Kabinett ~ Trockenbeerenauslese といった既存の呼称はこの新法の影響は受けずに残るようです。
以上が現在わかる範囲でまとめたものですが、間違いもあるかもしれませんので今後注視しつつ適宜修正していきたいと思います。


ラベル平面化画像。
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裏はインポーター都光の貼り替え。デメターのロゴは入れないのでしょうか。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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シンプルですがヴィンテージ表示しっかり入っています。

Alc.12.5%。
エッジはオレンジ味のルビー。
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ラズベリー、イチゴ、可愛らしい香りです。
樽っぽさは控えめながらダシ感はあります。
辛口アタック。
ほどよく酸の色どりがある感じ。
味わいは奥行きもあって木目も細かい印象です。
シルキーで上品と言った方がいいかな。
酸は始終いい仕事をしていいバランスを保ってくれます。
後味の伸びもうれしい。


*****

Peter Jakob Kühn
Spätburgunder 2018
Rheingau Trocken
RRWポイント 93点


Franz Keller Spätburgunder vom Löss 2018

なかなかハズレが少ないと常日頃思っているドイツのピノ・ノワールをいただきます。ドイツ語ではシュペートブルグンダー(Spätburgunder)と呼ばれ、「Spät(遅い)+burgunder(ブルゴーニュの)」という意味です。なので生育が「遅い」品種かと思いきや、ピノ・ノワールは早熟な品種だそうで。冷涼なドイツではゆっくり成熟させてしっかりした果実に育てましょうというアドバイスが名前になったんでしょうかね(笑)。産地は久しぶりのバーデン(Baden)です。

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作り手のフランツ・ケラーは、バーデン地方のカイザーシュトゥール(Kaiserstuhl)にて1893年にワイン貿易商として創業の歴史ある家族経営のワイナリーで、1960年代からは自社畑でブルゴーニュ品種を育てています。現在は5代目のフレードリッヒ・ケラーさんが醸造責任者だそうで、パーカーおじさんも「バーデンで最も素晴らしいピノ・ノワールを造る」と絶賛するように近年の評価も高いようです。


公式ページはホテル・レストラン・ネゴシアン業も含む総合サイト。多角経営が見て取れます。

ワイン紹介もデータシート付きでしっかり情報があります。

・ピノ・ノワール 100%

ランクは VDP. の Gutswein(地域名ワイン)ということでローレンジになり、自社ブドウと買いブドウのブレンドのようですが、1/3を全房発酵、ブルゴーニュの一流樽メーカーのフレンチオーク旧樽で12ヶ月熟成などとこだわりの作りです。


フランツ・ケラー訪問。なんと山肌の畑のテラスと一体化しています。
FK01
カイザーシュトゥール(Kaiserstuhl)のベライヒは下の地図からわかるようにライン川の際にあり、川向うはコルマールの町、フランス・アルザス地方の中心地です。車で1時間とかからない距離です。

このように、ドイツに13ある指定生産地域のひとつバーデン地方(Baden)は大部分をフランスのアルザス地方と南北にライン川で接しています。ということは理解しているものの、ほぼフランケン地方の「タウバーフランケン(Tauberfranken)」や南の端のボーデン湖のほとりの「ボーデンズィー(Bodensee)」までバーデンに属することが前々から不思議に思っていました。

大抵こういう生産地の切り分けは行政区分が大きく関わっていることが想像されるので、ドイツの行政区分をおさらいしてみました。以下の地図のバーデン・ヴュルテンベルク州をご参照。
Germany_Baden
フランケン地方はバイエルン州で、タウバーフランケンは州をまたがりバーデン・ヴュルテンベルク州にあることがわかりました。なるほどタウバーフランケンはバーデンに属するわけです。
もうひとつ、「バーデン大公国」というのをインポーズしましたが、これは12世紀にツェーリンゲン家を領主とするバーデン辺境伯領(Markgrafschaft Baden)として成立したもので、19世紀にはバーデン大公国としてドイツ国の構成国になっていた地方国家です。ドイツ革命による君主制廃止(1918年、以後バーデン共和国へ)を経て、ヴュルテンベルク自由人民州と合併してバーデン・ヴュルテンベルク州(1952年)となりました。何が言いたいかというと、タウバーフランケンからボーデンズィーまでのエリアがちょうどこのバーデン大公国に当たるわけで、これら広大な範囲を「バーデン」と一括りにしている理由が判明したというわけです。

さあ、疑問も晴れたので今一度バーデンの地図をGoogle Map上に描いてみます。
Baden00GM
北から順に以下の9つのベライヒがあります。地図と照らし合わせてご確認ください。

・Bereich Tauberfranken(タウバーフランケン)
・Bereich Badische Bergstraße(バーディッシェ・ベルクストラーセ)
・Bereich Kraichgau(クライヒガウ)
・Bereich Ortenau(オルテナウ)
・Bereich Breisgau(ブライスガウ)
・Bereich Kaiserstuhl(カイザーシュトゥール)
・Bereich Tuniberg(トゥニベルク)
・Bereich Markgräflerland(マルクグレーフラーラント)
・Bereich Bodensee(ボーデンズィー)

周辺の地域もおおよその位置を描き込んでありますので合わせてご確認を。ファルツ(Pfalz)、ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstraße)、ヴュルテンベルク(Württemberg)のエリアは色付けしてますので位置関係確認に活用ください。バーデンのベライヒ・バーディッシェ・ベルクストラーセヘシッシェ・ベルクシュトラーセは地続きですが、「バーデンの~」と「ヘッセン州の~」という名前の違いから、州をまたいでいるために別地域になっていることがわかります。
バーデンの概要に触れておきますと、13ある指定生産地域の中ではラインヘッセン、ファルツに次いで3番目の生産量を誇ります(15,828ha)。ドイツでも最南のエリアで最も暖かい地域になり、ドイツで唯一Bゾーンに分類されています。(EUが栽培地域の気候特性によりゾーン分けしています。ドイツの他地域は冷涼なAゾーンになります。)赤・白ワインの比率は41%:59%で若干白が優勢です。

ところで、このブログでは過去に未だ触れていなかったのですが、2021年1月に新しいドイツワイン法が採択されています。(その後、連邦政府による最終承認を受け2021年5月7日に連邦法官報で発表。)1971年に改訂されている現行のドイツワイン法は収穫時のブドウの熟度をもとに品質が定義(i.e. Prädikatswein の等級)されていましたが、新法ではEUのワイン法の影響を受けてブドウの出どころ(地理的呼称範囲)が基準に格付けされます。今日のワインもそうですが、VDP.(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)という私的団体が同様の格付けを会員の中で既にやっていますが、今度は連邦政府公認の本物が出てきたということです。これはこれで複数の格付けが存在することになり非常にややこしいです。この新法をピラミッド型の図で説明している資料が出回ってますが、ちょっと見かけを変えてまとめてみました。ピラミッドよりわかりやすくなったと思うんですが(笑)。
Germany_Wein_Classification
ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein)は原産地指定のない「ドイツワイン」のことで、2009年まではターフェルヴァイン(Tafelwein=テーブルワイン)と呼ばれていました。原産地が指定されると、g.g.A.geschützte geografische Angabe)となり、EU法のIGPに対応します。ラントヴァイン(Landwein=カントリー・ワイン)とも呼ばれ、26ありますので以下に挙げておきます。

・Ahrtaler Landwein
・Badischer Landwein
・Bayerischer Bodensee-Landwein
・Brandenburger Landwein
・Landwein Main
・Landwein der Mosel
・Landwein Neckar
・Landwein Oberrhein
・Landwein Rhein
・Landwein Rhein-Neckar
・Landwein der Ruwer
・Landwein der Saar
・Mecklenburger Landwein
・Mitteldeutscher Landwein
・Nahegauer Landwein
・Pfälzer Landwein
・Regensburger Landwein
・Rheinburgen Landwein
・Rheingauer Landwein
・Rheinischer Landwein
・Saarländischer Landwein
・Sächsischer Landwein
・Schleswig-Holsteiner Landwein
・Schwäbischer Landwein
・Starkenburger Landwein
・Taubertäler Landwein

g.U.geschützte Ursprungsbezeichnung)は13ある指定生産地域に対応し、EU法のAOPの位置づけです。ベライヒ名もしくは集合畑名を名乗る場合は、Bereich(ベライヒ)もしくは Region(レギオン)をつけなくてはならないようです。以降、村名、単一畑名と範囲が狭まるほど上位ランクということになります。さらに単一畑の中には1級や特級畑が設定されます。
これら新法の適用は移行期間が5年間あり、2026年のヴィンテージからは拘束力が発生します。また、Kabinett ~ Trockenbeerenauslese といった既存の呼称はこの新法の影響は受けずに残るようです。
以上が現在わかる範囲でまとめたものですが、間違いもあるかもしれませんので今後注視しつつ適宜修正していきたいと思います。


ラベル平面化画像。
IMG_7161
「BADEN」。新法で行けば、Anbaugebiet、地域名ワイン(Gutswein)ですね。


さあ、抜栓。
IMG_7556
今日の作り手は VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ですのでネックに VDP. のワシのマークがあります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークと共に表記されます。今日のワインはやはりバーデンの地域名ワイン(Gutswein)になります。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trocken が併記されます。

以下は VDP. の格付けをピラミッド図にしたものです。ドイツ新ワイン法と比べてください。
VDP
この図は VDP. のサイトから拝借したものに加筆しました。

コルク平面化。
IMG_7558

Alc.12.5%。
透けるルビー。
IMG_7559

ラズベリー、ブルーベリー。
しっとりした佃煮香(熟成香)を感じます。
辛口アタック。
かすかな苦味が複雑味を与えています。
果実味のしっかり立ったふくらみのある味わい。
ブルゴーニュのような独特のひなびた感はないんですが、
同様の深みは楽しめました。
うん、やはりドイツのピノはいい。


*****

Franz Keller
Spätburgunder vom Löss 2018
RRWポイント 93点


Weingut Haart Riesling 2016 Piesporter Goldtröpfchen GG Trocken Mosel

モーゼルのリースリングをいただきますが、GGとあるように Großes Gewächs、フランス語でいう Grand Cru(特級畑)になります。つまり、ちょっといいやつ。実はこれクリスマスイブに抜栓しています。なんとなく最近のクリスマスは昔出張でよく行っていたドイツのクリスマス・マーケット(Weihnachtsmarkt)等が懐かしく思い出され、ドイツ風に過ごしたいななどと訳の分からないことを思っています。グリューワインを飲んだりしてるのもそのためです。

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作り手のラインホールト・ハールトはモーゼルの銘醸地ピースポート村(Piesport)で1337年(!)からワインづくりをしているというピースポルトで最も古い伝統的な家族経営のワイナリーです。これはヨーロッパ全土でも最古の部類といいます。そこが持つ、ピースポート最高の銘醸畑「ゴルトトレプヒェン(Goldtröpfchen =「黄金の滴」の意味)のVDP. 認定の特級畑(GG)が今日のワイン。パーカーおじさんも2018年に91+点をつけているようです。

クリスマスにはドイツ風にこのクリスマスピラミッドを飾ります。
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ドイツ語でヴァイナハツピラミーデ(Weihnachtspyramide)といい、ドイツのクリスマスの飾り物の定番。これは以前にドイツ人の同僚からもらったものです。ろうそくの熱(上昇気流)が上の羽根を回し、真ん中の飾り物がくるくる回ります。眺めているだけで楽しくなります。


公式ページはしっかりしたのがあるんですが、スクロール式でめっちゃ使いにくいです。

畑の紹介など情報は豊富ですが、ワイン紹介はショップページを見ないといけません。

・リースリング 100%

手摘みですが、11月初旬の収穫だそうです。完熟したブドウからさらに芳香の強いものを選果するとのこと。収量は 50hl / ha とかなり低くなるようです。伝統的な発酵を行い、6~8ヶ月シュールリーで熟成させ、1回だけ濾過して瓶詰めされます。


ピースポート村のラインホールト・ハールトを訪問します。
Haart_Piesport
例によってストビューがないのでHPより写真を拝借しています。ピースポート最高の畑「ゴルトトレプヒェン(黄金の滴)」はピースポートの集落から見るとモーゼル川を挟んだ向こう側、南向きの 60ha の急な斜面に広がっています。粘土質の灰色の粘板岩(スレート)でできているのが特徴です。

facebookに別アングルの写真がありました。畑の姿がわかりやすいですね。
Haart_Piesport2
ピースポートはローマ時代のブドウ圧搾機の遺跡もあるという2000年の歴史を持つ集落です。そんな感じがする写真ですね。


今日の作り手は VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ですのでネックに VDP. のワシのマークがあります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークと共に表記されます。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trocken が併記されます。

今日のワインは「Grosse Lage - GG」。ゴルトトレプヒェン(Goldtröpfchen)の畑の中でも特級に認定されています。以下は VDP. 格付けのピラミッド図にしたものです。
VDP
この図は VDP. のサイトから拝借したものに加筆しました。


ドイツのワイン生産地とモーゼル(Mosel)の位置関係を見ておきます。モーゼルは、2006年までモーゼル・ザール・ルーヴァー(Mosel-Saar-Ruwer)と呼ばれていました。
German_Wine_Regions
この地図、色分けでわかりやすい上に、主要品種が赤・白比率で示してあり、視覚的に理解ができます。モーゼルは白ワインが主で(白:赤=90.6%:9.4%)、リースリング(62.2%)やミュラー・トゥルガウ(10.2%)が多いです。赤はピノ・ノワールが少々(4.6%)。(2019年データ)

Google Map上でピースポート村のあるベルンカステルのベライヒを示します。
Mosel_Bernkastel
モーゼルには以下の6つのベライヒがあります。左にインポーズしたモーゼル全体の地図を見ると銘醸畑の数や総面積でベルンカステルが圧倒的なのがわかります。また、「モーゼル・ザール・ルーヴァー(Mosel-Saar-Ruwer)」という旧呼称は、ザール川(Saar)とルーヴァー川(Ruwer)というモーゼル川の支流を含めた呼び名だったということにも気づきますね。

・Bereich Burg Cochem(ブルク・コッヘム)
Bereich Bernkastel(ベルンカステル)
・Bereich Ruwertal(ルーヴァータール)
・Bereich Saar(ザール)
・Bereich Obermosel(オーバーモーゼル)
・Bereich Moseltor(モーゼルトール)

モーゼルはドイツでもっとも西側で、ライン川支流のモーゼル川両岸および、さらにその支流のザール川・ルーヴァー川流域に広がる産地ということがわかりました。西端(モーゼル川上流側)はフランス国境に達しています。


ラベル平面化画像。
IMG_6344
VDP. のマーク、GG(Großes Gewächs)と共に Qualitätswein、Trocken の表記がありますね。


さあ、抜栓。
IMG_7010
ネックに鷲のマークと共に「VDP. GROSSE LAGE」と記されています。

コルク平面化。
IMG_7011

Alc.12.5%。
濃い目のゴールドイエロー。
IMG_7012

黄桃、りんご、ペトロールとお香の感じがしました。
甘みがかすかにありますがトロッケンです。
味も青リンゴの風味。
コテっとはしてないですが重みがあります。
さすがに特級と思わせる、深み・奥行きです。
後味は割とあっさり、軽く終わりました。
リースリングのいいところです。


*****


Weingut Reinhold Haart
Riesling 2016
Piesporter Goldtröpfchen GG
Trocken Mosel
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Zehnthof Luckert Sulzfelder Spätburgunder Trocken 2017

ドイツのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)。今日のはフランケンのものです。フランケンはボックスボイテルのミュラー・トゥルガウドミナなんかは試していますが、ピノ・ノワールは初めてです。過去に出会ったドイツのピノは素晴らしいものが多かったので常に期待してしまいますが、今日のもなかなか評価の高い作り手のようですから、楽しみです。

IMG_6287
作り手は、フランケン地域のズルツフェルト(Sulzfeld)という町にある家族経営のワイナリー。初代テオ(Theo)さんとルイトガルト(Luitgard)さんのルッカート(Luckert)夫妻が1960年代初めにブドウ栽培を始めたのがワイナリーの始まりです。1975年に家族は1558年に建てられたという「Zehnthof」という歴史ある所に移り住み、12年かけて改装、本拠地とします。ワイナリーの名前はここから来ています。現在では16haの畑を所有し、ビオディナミを実践してシルヴァーナーを中心に国内外で評価の高いワインを生産しています。


公式ページは奇をてらった横スクロールで使いにくし(笑)。

情報も豊富とは言えない感じですね。

ワイン情報はショップサイトで確認するしかありません。

今日のワインも載ってはいますが、醸造情報や畑情報は残念ながらありません。
・ピノ・ノワール 100%
ということしかわかりません。お値段は14ユーロとなっています。日本円換算で1,800円ほどですね。ん?ちょっと待てよ…。今日のワインは半額セールですごく安く手に入れたと思っていたんですが、値引き前価格が7,700円(税込) でしたから、半額でも現地の倍ほどしてます。これだから日本の販売価格とか定価の真偽のほどが疑わしくなってくるんですよね。

今日の作り手は VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ですのでネックに VDP. のワシのマークがあります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークともに表記されます。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trockenが併記されます。

しかし、今日のワイン、グーツヴァイン(地域名ワイン)だと思われますが、その表記がありませんね。おそらく、ワイン名にある「Sulzfelder」=「ズルツフェルト(Sulzfeld)産の」がグーツヴァインの表記を兼ねてるんでしょう。


作り手訪問…と行きたいんですが、例によってドイツにストビューはありません。
Luckert02
facebookにもちょうどいい写真がなかったので、畑の写真でお茶を濁します。左下にインポーズした上空写真を見ると、「Zehnthof」という建物、すなわちワイナリーは町中にあるようです。

これがおそらくその「Zehnthof」の入り口の写真と思われます。
Luckert01
上空写真をズームアウトしてフランケン地域での位置関係を見てみましょう。ヴュルツブルク(Würzburg)を中心としたベライヒ、マインドライエック(Maindreieck)に属します。マイン川のほとりですね。とにかくフランケンはマイン川に尽きます。


フランケン全体を見てみましょう。マイン川がフランケンを貫いてますね。シュヴァインフルトから大きく蛇行して「W」を描きながらフランクフルトの手前まで続く河畔の地域です。
Frank02
フランケンは大きく3つのベライヒ(Bereich)に分類されます。

Mainviereck(マインフィアエック/マイン四角地帯 )
 一番西側、フランクフルト寄り。(フランケン全体では少量の)ほぼリースリングのみ。

Maindreieck(マインドライエック/マイン三角地帯)
 真ん中のヴュルツブルクを含む三角形の地帯。フランケン全生産量70%以上占める。

Steigerwald(シュタイガーヴァルト )
 一番東側、四角でも三角でもないところ(笑)。

ややこしいのが、これ以外に、タウバー川沿いのベライヒが、Tauberfranken(タウバーフランケン)といってバーデン(Baden)地域に属します。

最後にドイツの13ワイン生産地域の中でのフランケンの位置関係を確認。「W」の形…。
German_Wine_Regions
何気にネットで拾った地図を貼りましたが、いい地図ですね。色分けでわかりやすい上に、主要品種が赤・白比率で示してあり、視覚的に理解ができます。フランケンは大半が白というのがわかりますし、特にシルヴァーナーが有名なのですが、わずかに生産量ではミュラー・トゥルガウに及ばないことがわかりますね。赤品種はピノ・ノワールだけ書いていますがフランケンで一番多いのはドミナの方です。(2018年統計)


ラベル平面化画像。
IMG_5454
ユーロリーフ付き、「Bio-Wein」と書いてます。

インポーターシールは裏ラベルを隠していませんでした。
IMG_5454_2
偉いです。別撮りしておきました。


さあ、スクリュー回転。
IMG_6282
キャップにエンボスのワイナリー名が入ってかっこいいです。

Alc.13%。
透け透けルビー。
IMG_6283

ラズベリー、チェリー、茎感、ゼラニウム感も。
上等ブルゴーニュの雰囲気がある香りですが。
辛口アタック。
柔らかですが主張する酸を感じつつ、
複雑味と滋味の高まりを堪能できます。

若い雰囲気ながら、貫禄の余韻もあります。
やはり今夜のドイツ・ピノも当たりでした。


*****

Zehnthof Luckert
Sulzfelder Spätburgunder Trocken 2017
RRWポイント 93点


Allendorf Assmannshäuser Spätburgunder Trocken 2017

ラインガウの作り手アレンドルフのシュペートブルグンダー(Spätburgunder)、即ちピノ・ノワール。「Quercus」というオーク樽をしっかり使ったちょっといいラインを前に試しています。これがなかなか良かったので、今日のはスタンダードラインのようですが期待は大です。ただ気になるのが、前のが VDP.の格付けで Gutswein(地域名ワイン)だったのに対し、今日の格下レンジが Ortswein(村名ワイン)と格付けでは上になっていることです…。

IMG_5615
アレンドルフは、ラインガウのライン川沿い、Oestrich-Winkelの町にあるに700年以上の歴史を持つという作り手です。13世紀から所有するという75haの畑は家族経営のワイナリーでは最大級だそうで。

公式ページは内容充実、なかなかいいんですが、ワイン詳細はショップへ誘導されます。

今日のワイン、アスマンスハウザーは14.5ユーロです。樽熟が売りの「Quercus」は18.5ユーロですからその価格差からランク付けが想像つきます。
・シュペートブルグンダー 100%
解説によると、このワインは樽で香りづけするのではなく、伝統的なラインガウのピノ・ノワールを瓶に詰めることに重点を置いているらしいっす。価格差はあれど、性格や意図が違うってことですね。かと言って樽をまったく使っていないわけではなく、ユーズドのバリックで12ヶ月、その後古い大樽で6ヶ月の熟成をさせているそうです。

さて、VDP.の等級の件ですが、今日のワインも定石通り VDP.の鷲のマークがネックにあり、裏ラベルに Ortswein(オルツヴァイン)と表示があります。これは「村名ワイン」を意味します。以下にその等級を示します。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trockenが併記されます。

VDPVerband Deutscher Prädikatsweingüter)は「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」のことで、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。現在198の作り手が会員だそうです。等級がわかりやすいのでドイツで全面採用されればいいんですけどね。
今日のワインはオルツヴァイン(村名ワイン)ですから、単一の村からのブドウを使用するというのは想像がつくと思います。「Assmannshäuser」とありますからアスマンハウゼン(Assmannshausen)の村産だということになりますね。
前に試した「Quercus」はグーツヴァイン(地域名ワイン)でしたから、複数の村にまたがるか、ある程度広域からのワインということで、「Assmannshausen と Winkel の畑のベスト区画から」という公式ページの説明からすると、今日のと同じアスマンハウゼンの畑とヴィンケルの畑のブレンドだったということになります。地域名は「ラインガウ」となっています。
ただし、VDP.の規定ではグーツヴァインは同じエステートの自社畑である必要があります。なので、グーツヴァインだからといってオルツヴァインに劣るとは一概に言えないわけですね。


アレンドルフを訪問です。ストビューがないのでこんな写真しかありません。
Allendorf01
Oestrich-Winkel というライン川沿いの町ですね。この近く(Wiesbaden)に仕事で行く欧州事務所があったので、ラインガウは馴染みのあるところです。今の季節ですと、白アスパラガスに最高のリースリングが味わえる素晴らしいところ(笑)。休日にはライン川沿いの鉄道でリューデスハイムに遊びに行ったりするのも一興です。

畑は Assmannshausen でしたね。自作ラインガウ広域マップで位置関係を見ます。
Allendorf02
ヴィンケルからは少しライン川を下り、山あいに入ったあたりがアスマンハウゼンです。斜面も急でなかなかいいテロワールを想像させます。アレンドルフの所有畑はライン川に沿って30キロに渡って広がっているそうで、多様なテロワールのワイン造りができるのが自慢だそうです。

アレンドルフのどこの畑かわかりませんがVDP.サイトのメンバー紹介ページにあった写真。
Allendorf02
VDP.のサイトではインタビュー形式で198のVDP.メンバーをすべて紹介しています。アレンドルフはこの写真のように実際に羊も飼ってるそうです。


ラベル平面化画像。
IMG_5418
「VDP. Ortswein」の表示は裏ラベルにあります。その裏ラベルには剥がし跡がありますが…。

実はこんなインポーターシールが全面に貼ってありました。
IMG_5417
まあ、オリジナルを忠実に再現してあるので悪くはないんですが。


さあ、スクリュー回転。
IMG_5612
スクリューキャップではありますが、エンボスで「Allendorf」の名前入り。

Alc.13.5%。(pH:3.88、Brix:6.5)
透け透けルビー。
IMG_5613

ラズベリー、ストロベリー…のジャムかな。
ほんのり甘み感じるトロッケン。
果実味のある酸も発見しますが、
味わいは複雑味もあっていいバランスです。
フルーティ、軽快さもあってスルスルいける。

いいなあ、楽しめる理想のデイリーピノ。
実際ドイツの専門誌では「仕事終わりの最高のワイン」として表彰されたようです。


*****

Allendorf
Assmannshäuser Spätburgunder Trocken 2017
VDP. Ortswein
RRWポイント 91点


Weingut Schloss Proschwitz Grauburgunder Trocken 2018 Sachsen

半額セールだったこともあるんですが、ドイツの13あるワイン産地の最東端、旧東ドイツのザクセン(Sachsen)のワインというのに引かれてポチりました。最小の生産地域というのもありますが、地元の消費もありなかなか珍しいみたいですね。品種は栽培北限に近いこともあり、ミュラートゥルガウ、リースリング、ピノ・ブランが有名なようですが、お手頃だったという理由で(笑)Grauburgunder(=ピノ・グリ)を選びました。

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作り手は、シュロス・プロシュヴィッツ醸造所(Weingut Schloss Proschwitz)。プリンツ・ツア・リッペ家(Prinz zur Lippe)が所有し、850年ものワインの歴史があるザクセン州で最も古い家族経営のワイナリーです。第二次世界大戦後(1945年~)旧東ドイツ政府が接収してしまいますが、ベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統一されると、1990年にワイナリーを買い戻して多額の投資で再興させたそうです。Schloss Proschwitz の畑はVDP. の特級畑(Große Lage)になっていて、今では旧東ドイツを代表するプレミアムワインの生産者というわけです。

公式ページは、テイスティングツアーやゲストハウスもやってることもあり情報豊富。


ただし、ワイン情報はこちらのショップページにしかありません。

現地価格13ユーロになってますね。半額セールで喜んでいましたが、さらに安い。日本の通常価格は4倍ぐらいになってる計算です。ワインあるあるですが、現地価格は調べてはいけません。(笑)
・グラウブルグンダー(ピノ・グリ) 100%
VDP. の Ortswein ですから「村名ワイン」ってことです。残念ながら醸造関連の情報はありませんでした。

グラウブルグンダー=ピノ・グリ(Pinot Gris)=ピノ・グリージョ(Pinot Grigio)。
Grauburgunder01
2016年の統計では全世界で合計48,570haのピノ・グリが栽培されていますが、イタリアがその内の18,831haを占め、実に40%近くにもなります。原産国であり本家のフランスはたった2,867haで90%がアルザスに集中しています。今日のワインのドイツはというと6,713haとフランスの倍ほどありますが、アメリカが7,462haとドイツの上をいってますね。なんとも微妙な品種な気がします。実は私の少ない経験上、ピノ・グリのモノセパージュには今ひとつピンと来てないんですよね。今日のドイツでその先入観が払拭されるといいんですが。

ワクワクして旧東ドイツの作り手訪問しますが、例によってストビューなし。
Sachsen00
Google Mapに上がってた写真を拝借しています。「Schloss(=仏:Château)」というだけあって、立派なシャトー風情がありますよ。ザクセンの産地はエルベ川(ドイツ語:Elbe)沿いに広がっていますが、今日の作り手もマイセン(Meißen)のすぐ北側の川沿いです。Map上にラベ川(Labe)とありますが、これはエルベ川のチェコ語読みで、水源がチェコの方だからそちらを優先しているようですね。エルベ川はドレスデン近くでドイツへ入り、ハンブルク経由で北海に流れ込んでいます。流域の7割はドイツなのでもうドイツ語で呼んだ方がいいと思いますが…。

ワイン産地ザクセン(Sachsen)には以下の3つのベライヒ(Bereich)があります。

・Bereich Meißen(マイセン)
・Bereich Elstertal(エルスタータル)
・Bereich Dresden(ドレスデン)

しかし、ドイツ系のサイトではドレスデンがない2つのみとなっています。3つとするのは日本アメリカのサイトが多いようです。なぜでしょうね。


ドイツの13あるワイン産地を俯瞰して位置関係を見てみます。
Sachsen01
東側の、ザーレ・ウンストルート(Saale-Unstrut)と今日のザクセンの2つが旧東ドイツの産地です。どちらもブドウの栽培北限に近いので、ミュラートゥルガウ、リースリング、ピノ・ブラン(Weißburgunder)が多く栽培されます。ザクセンですとこの3品種+グラウブルグンダーで全体の55%を占める感じです。また、ザクセンではゴールドリースリング(Goldriesling)という白品種がザクセン特産として作られています。この品種は1893年にアルザスで交配されたとされてますが、本国フランスでは現在ほとんど栽培されてないようです。何だかまた課題を発見してしまいました(笑)。


ラベル平面化画像。
IMG_5459
VDP. の Ortswein ですから「村名ワイン」ってことですが、Meissen(マイセン)とありますので、「村名」+「Qualitätswein trocken」の表示の形はクリアしてるんでしょうね。


さて、抜栓。いえ、スクリューキャップでした。
IMG_5527
シンボルマークとVDP. の鷲のマークもちゃんと入っています。

Alc.13.5%。(pH:3.85、Brix:6.4)
イエローゴールド。
IMG_5528

梨、白桃、ライム…。
甘やかさと穏やかな酸がわかるやや辛口のアタック。
まろやかでふくよかな味わいです。
柑橘系はあまり感じないですね。
かすかな苦味もあり、後味も好印象でした。

最高!とは言いませんが(笑)、
今まで飲んだピノ・グリ(グリージョ)よりはいいですね。


*****


Weingut Schloss Proschwitz
Prinz zur Lippe

Grauburgunder Trocken 2018
Sachsen VDP. Ortswein
WWWポイント 79点



WhiteWhiteWine01

Karl Haidle Spätburgunder Trocken Stubensandstein 2018 Württemberg

カール・ハイドルというドイツはヴュルテンベルク(Württemberg)の作り手のシュペートブルグンダー(Spätburgunder)、すなわちピノ・ノワールです。VDP.の Gutswein の等級マークがついていますが、店頭では隣に同じ作り手の Erste Lage のものも置いてました。一瞬迷いましたが、平常運転、お手頃のグーツヴァインの方を選びました。はてさて、吉と出るか凶と出るか…。

IMG_5057
カール・ハイドル(Karl Haidle)は、カール・ハイドルさんが1949年にシュトゥットガルトに近いレムス渓谷(Remstal)で設立したワイナリーです。0.5haで始めた畑は現在19haにもなり、この地で協同組合ではなく個人でワイナリーを成功させた先駆者とされているようです。現在は2代目のハンスさん、3代目のモリッツさんが運営をしています。

公式ページは、ワイナリー紹介、畑紹介などなかなか充実の内容でした。
KarlHaidle1A
ワイン紹介は、今日のワインのデータシートがリンク切れのようで残念。
・ピノ・ノワール 100%
オークの大樽とバリックの併用で熟成させるようですが期間がわかりません。

今日のワインは VDP. のグーツヴァイン(Gutswein)の等級となっていますが、VDP.(ファーデーペー、Verband Deutscher Prädikatsweingüter)の格付けについておさらいをしましょう。
ドイツの QbA や Prädikatswein の等級は甘さが基準で品質自体がわかりにくいこともあり、VDP.(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)が1910年に独自に審査・認定を始め、畑に格付けをしています。テロワール重視のフランス式と考えればわかりやすいです。
キャップシールに VDP. ロゴ(鷲のマーク)が入り、以下の等級が表記されます。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、Qualitätswein trocken が併記されます。

今日のワインは Gutswein(地域名ワイン)。同様に Qualitätswein trocken が併記されてます。


ワイナリー訪問。ロゴマークにある建物が畑の真ん中にありました。
KarlHaidle00
ワイナリー自体はこの畑のすぐ麓にあります。丘の上の建物はイーブルク城 (Y-Burg)といって建てられたのは1300年頃といいます。なんだかんだあって18世紀頃に壁だけが残るまで破壊されたそうです。この建物を取り囲む畑はカール・ハイドルの畑なので、イーブルク城もワイナリーの所有なんでしょうね。マークに使ってるくらいですから。

公式ページに所有畑の地図があったので Google Map にインポーズします。
KarlHaidle03
最初の写真に写ってる畑全部なんですね。この地図の範囲外にもまだ所有畑はありました。

今日のワインは地域名ワインで、ヴュルテンベルク(Württemberg)が産地です。ドイツの(13ある)生産地のひとつでありまして、場所としてはバーデンの東側に広がっています。
Wurttenberg02
この地図にも書かれていますが、ヴュルテンベルクには大きく4つのベライヒ(Bereich)があります。以下の4つになります。

Kocher-Jagst-Tauber(コッハー・ヤークスト・タオバー )
Württembergisch-Unterland(ヴュルテムベルギッシュ・ウンターラント )
Remstal-Stuttgart(レムシュタール・シュトゥットガルト)
Oberer Neckar(オーベラー・ネッカル )

また、地図外ですが、少し離れたボーデン湖畔にも飛び地のベライヒがもう2つあります。湖の北岸東側で Württembergischer Bodensee(Nonnenhorn、Wasserburg、Lindau)と Bayerischer Bodensee(Kressbronn周辺)といいます。ボーデン湖周辺はややこしい…。

今日のワインは Remstal-Stuttgartレムシュタール・シュトゥットガルト)のベライヒになりますが、見にくい地図なので、Google Mapに転記してワイナリーの所在を確認します。
KarlHaidle01
シュトゥットガルトの東側ですね。シュトゥットガルトはバーデン・ヴュルテンベルク州の州都であり、ネッカー川が町を流れる大都市です。ベンツやポルシェの本社と博物館があったりします。

ワイン産地としてのヴュルテンベルクのカギとなるのがやはり川です。上の地図にも書き込みましたが、川だけに着目するとこんな具合に流れています。
KarlHaidle02
ネッカー川(Necker)はマンハイムでライン川と合流しますので、ライン川の支流ということになりますが、ヴュルテンベルクの主要な4つのベライヒを貫く大きな川です。


ラベル平面化画像。長~い一枚ものです。
IMG_5013
ユーロリーフが付いてますね。ヴィーガンワインのようです。
インポーターシールが隠しているのはバーコードだけでした。セーフ。


さあ、スクリュー回転。
IMG_5053
Ortswein(オルツヴァイン)以下はスクリューキャップ仕様のようです。キャップにはエンボスのマークが入っていてカッコいいですが。

Alc.12%。(pH:4.11、Brix:6.2)
ルビー。
IMG_5055

ラズベリー、ストロベリー、チェリー。
青み、茎っぽさもかすかに感じます。
辛口アタック。
大人しめの酸はいい感じですが、
味の芯は弱めで酸に負けています。
すると後味でもその酸は引きずるんですよね。

ライトなピノとしてよしって感じなんですが、
やっぱりもう一つ上のグレードが良かったのでしょうか。
(笑)


*****

Karl Haidle
Spätburgunder Trocken 
Stubensandstein 2018
Württemberg
RRWポイント 88点


Markgraf Von Baden Gailinger Schloss Rheinburg Spätburgunder Trocken 2015 Baden Bodensee

ドイツ南部ボーデン湖畔の町、ウーバーリンゲンで何本か仕入れてきたワインの、
とうとう最後の1本。バーデンではありますが、ベライヒはBodensee(ボーデン湖)。
まさに地元のワインになります。シュペートブルグンダーのVDP.エアステ・ラーゲ。
ちょっともったいないけど、置いておいても仕方がないので抜栓しちゃいましょう。


IMG_2860
マルクグラフ・フォン・バーデンという作り手ですが、調べてびっくり。
バーデン大公国の君主として20世紀初頭までの約900年間にわたり、
バーデンの地を統治してきたロイヤル・ファミリーなんだそうで。
英国、スペイン、ギリシャ、モナコなどの王室ほかと姻戚関係があり、
君主ではなくなった現在でも人々の尊敬を集める存在なんだそうです。

現在は所有する城の一部を大学として開放する一方、所有する3つの城で、
それぞれのテロワールを活かしたワイン造りを行っているそう。


公式ページは見栄えはいいですがドイツ語のみのようです。

それよりも今日の「Gailinger Schloss Rheinburg」というのが載ってませんね。
「ガイリンゲンのラインブルグ城」というのはボーデン湖の向こう岸にありました。
そこからのワインなんでしょうが、メインのラインじゃないのでしょうかね。
とりあえず、同じランクと思われるErste LageのSpätburgunderのデータから。
・ピノ・ノワール 100%
新樽率50%で15ヶ月の熟成ですが、225Lのフレンチオーク樽と3000Lの大樽の併用。

VDP (ファーデーペー、Verband Deutscher Prädikatsweingüter)について、
おさらいをしておきましょう。
ドイツのQbAやPrädikatsweinの等級は甘さが基準で品質自体がわかりにくいですね。
そこで、VDP(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)が1910年に独自に審査・認定を始め、
畑に格付けをしています。テロワール重視のフランス式ってことですね。
下の写真にあるように、キャップシールのVDPロゴ(鷲のマーク)を入れた上で、
以下の等級を表記することになります。

・Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
・Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
・Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
・Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
・Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、Qualitätswein trockenが併記されます。

今日のワインはErste Lage。同様にQualitätswein trockenが併記されてます。


さあ、ボーデン湖にも近いワイナリーというか宮殿(笑)を訪問。
さすがロイヤル・ファミリーって感じ。敷地も建物も壮大です。
Bedensee03
ザーレム(Salem)という町にありますが、このワインを買った町
(ウーバーリンゲン)から車で15分くらいと激近でした。

このあたり、ボーデン湖畔はSpätburgunder(ピノ・ノワール)畑がいっぱい。
IMG_0319
仕事へ行く車中でも、ずっとこのテロワールを感じることができました。

前に描いたバーデンの地図に今日の作り手の所在も追記しました。
大きな黄丸は前に試したドクター・ヘーガー(Dr. Heger)の場所です。
Bedensee01
今回わかりやすいドイツワイン辞典の地図も拝借しご参考で貼っておきました。

今日は地名がドイツ語表記の地図にバーデンのベライヒを書き加えます。
タウバーフランケンとボーデンズィーが飛び地なのがわかりますね。
Bedensee02
フライブルグなどの町のあるライン川沿いの地域はシュヴァルツヴァルト
(Schwarzwald=黒い森)が反対側に広がり、南北に長い銘醸地帯です。
ライン川を境にフランスのアルザスとヴォージュ山脈が鏡のように対称形。
これに気づけば、バーデンのポテンシャルにも気づくはずです。


ラベル平面化画像。
IMG_2852
裏ラベル情報のようなものは、左端っこにあり、1枚ものラベルです。
ドイツで買ったのでインポーターラベルは当然なし。


さあ、抜栓。
IMG_2855
さすが、ロイヤルファミリー。キャップもコルクも紋章入りです。
ボトルのネックにはVDP.の鷲のマークとエアステ・ラーゲの表示があります。

コルク平面化。
IMG_2856
割とシンプルでした。

Alc.13.0%。(pH:3.56、Brix:6.2)
オレンジがかった透けるルビー。
IMG_2857

ラズベリー、イチゴ、チェリー。
ごくごく軽い佃煮香もあり。
柑橘系のような爽やかな風味、もしくはミント。
甘・酸入り混じった風味が乗ってますが、
一応トロッケン(辛口)なアタック。
次第に酸が甘味より押してくるんですが、
奥にある落ち着いた味わいが、それを受け止めます。
わかりにくいですね?
果実味とも評せる程度の程よい酸と言っておきましょう。
余韻にまでその酸は付いて回るんですが、
なんだかんだで楽しみながら逃げ切ってOK。(笑)


*****


Markgraf Von Baden
Gailinger Schloss Rheinburg
Spätburgunder Trocken 2015
Baden Bodensee VDP. Erste Lage
RRWポイント 89点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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