Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

WWWポイント:78点

Invincible núnero um Vinho Branco 2021 Douro DOC

ポルトガル、ドウロ(Douro)の白を試します。ドウロはワイン産地としては Porto e Douro(ポルトとドウロ)と呼ばれ、ご存知ポートワイン(ドウロで造られる酒精強化ワイン。甘口、高アルコール。)がメインという印象です。そういうこともあってか、過去に試したのも辛口赤ばかりだったので、白もあるんだ~というささやかな驚きと共にお試しです。

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たまたま店頭で出会ったワインだったのですが、作り手が何やら面白い。ドウロで高い評価を受けるコンセイト(Conceito)を率いる女性醸造家リタ・マルケス(Rita Marques)さんがボルドーやカリフォルニア、ニュージーランドと、世界の主要なワイン産地でプロジェクトに取り組んでいた中、南アフリカでブーケンハーツクルーフ(Boekenhoutskloof)を率いる天才カリスマ醸造家のマーク・ケント(Mark Kent)さんと意気投合、ドウロで新しいワイナリーを立ち上げたのが今日のワインの Companhia de Vinhos Invencível(無敵のワイン・カンパニー?)です。インポーターのモトックスのサイトに詳しい解説があります。
ポルトガルの詩人、ルイス・デ・カモンイス(Luís Vaz de Camões)が大航海時代を描いた叙事詩「Os Lusíadas(ウズ・ルシアダス)」に出てくる巨人アダマストルとそれに立ち向かう船乗りたちをラベルに表しワイン名の「無敵(Invincible)」としているようですね。

公式ページはプロジェクトものらしいシンプルなワイン紹介のみの簡素なものです。

そのワイン紹介も情報少なく、セパージュもモトックス情報です。

・ラビガト(Rabigato) 40%
・コデガ(Códega) 40%
・アリント(Arinto) 20%

アリント以外は初耳なんですが、ラビガト他、Malvasia Fina、Viosinho、Gouveio など様々な品種が使われるようです。赤ワインは、Touriga Nacional、Touriga Franca、Tinta Roriz(Aragonez)、Tinta Barroca、Tinto Cão や Sousão がメインで使われますが、これらはポートワイン用と共通です。

これがラビガト(Rabigato)。ポルトガルが原産です。
Rabigato
名前は「猫の尻尾(Rabo de Gato)」を意味し、細長いブドウの形を指すようですが、そんなに細くないですね(笑)。主に栽培されているのはやはりドウロ渓谷です。

コデガ(Códega)というのがこれ。これもポルトガルが原産です。
Codega
正式名称は「Síria」だそうです。この品種は、ドウロとベイラス地方(Beiras=かつての地方分類で、DOCの Bairrada、Beira Interior、Dão を含む。)の他、南部のアレンテージョ(Alentejo)とアルガルヴェ(Algarve)でも広く植えられています。

アリント(Arinto)。ヴィーニョ・ヴェルデではペデルナン(Pedernã)とも呼ばれます。
Arinto
ポルトガル原産です。昔から香りからリースリングとの関係が疑われていましたが、1999年に実施されたDNA分析でこれが否定され、同時にトラジャドゥーラ(Trajadura)との密接な関係が判明しています。酸味が高めで重宝されるのかポルトガル各地で広く栽培されています。

コンパニーア・ジ・ヴィーニョス・インヴェンシーヴェル(Companhia de Vinhos Invencível)を訪問します。住所でググっても見つからず、建物の形で上空から探しました(笑)。
Invincible01
カザイス・ド・ドウロ(Casais do Douro)という村にあるということだけが頼りでしたが、ロゴマークのイラストとまったく同じ建物を探し当てました。現在はリタ・マルケスさんのコンセイト(Conceito)の醸造設備で作っているそうですが、ゆくゆくはこの古い小屋をリノベーションする予定だそうです。地図には入りませんでしたがすぐ近くにドウロ川が流れています。

Porto e Douro 地域を俯瞰して位置関係を確認。コンセイトの場所も示しました。
Porto-&-Douro-Wine-Regions
ドウロ川の流れを見てください。スペインをドゥエロ川の名前で流れてきた川がポルトガルに入るとドウロ川に変わります。ドウロ渓谷で作られたポートワインが河口の港町ポルトから世界に輸出されていたという地理的な好条件が見て取れますね。

ドウロは、ドウロ川の上流側から3つのエリア(サブ・リージョン)に分かれます。

・Douro Superior
・Cima Corgo(Cima=Upper)
・Baixo Corgo(Baixo=Lower)

いつものイベリア半島の地図でスペインと一緒にドウロを見ておきましょう。
Quinta03
ドウロ川(Douro)はスペインではドゥエロ川(Duero)と呼ばれます。DOリベラ・デル・ドゥエロ(Rivera del Duero)のドゥエロ川ですね。

最後にポルトガル全図で他の産地(IG/DOC)と共に見てみましょう。
Portugal_Final
ドウロはこれで赤も白も試した訳ですが、肝心のポートワインはまだなんですよね(笑)。

ポートワイン(ポルトワイン)
ポートワインとは、ポルトガルのドウロ地方で造られる酒精強化ワイン(ブランデーを添加したワイン)の一種。「ポルトガルの宝石」とも称され、世界3大酒精強化ワインに数えられるポルトガルを代表するワイン。ポルトガル政府は同国北部を流れるドウロ川上流をポートワインの法定区域と定め、この地区で栽培された葡萄を原料とした酒精強化ワイン(vinho fortificado)のみにポートワインの商標を認めている。


ラベル平面化画像。
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モトックスさん、これはひどいです。
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DOCドウロの認証マークやら、ヴィーガンのマークやらなんにも見えません。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
緑がかったクリアなイエロー。
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グレープフルーツ、白い花。
辛口アタック。
塩味に感じるほど甘味はないです。
硬めの酸が全体にあるからでしょうか。
柑橘系というより瓜系の風味に思えます。
スキッとしたミネラル感と酸が信条という感じ。
独特ですが面白いと興味を持って楽しめました。


*****


Companhia de Vinhos Invencível Lda
Invincible núnero um Vinho Branco 2021
Do
uro DOC
WWWポイント78点



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Domaine de La Meulière Chablis 2020

シャブリを試すのはほぼ3年ぶりですね。有名な割にはあまり試す機会に恵まれていませんでした。シャルドネなら他にもいろいろあるからなのかもしれませんし、そもそもシャルドネ以外の白品種にまだまだ興味津々だからかもしれません。今回は近所で良さげなシャブリがたまたま目についたというだけのキッカケなんですが、久しぶりに掘り下げてみましょう。

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ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールは、シャブリ地区のフレ村(Fleys)に1780年から続く家族経営の作り手で、現在は8代目のニコラさんとヴァンサンさん(Nicolas et Vincent LAROCHE)が運営しています。全体で約 24haを所有し、シャブリ・プルミエ・クリュ、シャブリ、プティ・シャブリを生産しています。

公式ページはワイン紹介がショップ兼用ですがまずまずの情報量。

やはりショップ兼用、2020年が載っていません(笑)。

・シャルドネ 100%

シャルドネはシャブリの規定です。この作り手は樽は使っていないようですね。シャブリの特徴として樽は控えめに使われる傾向があります。シャブリ公式のHPによると、昔パリへ樽で出荷されたシャブリは空樽が返却されて、そこにまたワインを詰めて流通していたそうで、新樽を使う習慣が根付かなかったそうです。逆にムルソー他のブルゴーニュは運ばれた先に樽が残されたため、毎回新樽に詰める習慣ができたということです。ホンマかな?ただ、シャブリでもシャブリ・プルミエ・クリュ(Chablis Premier Cru)とシャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)となると樽はかなり使われるそうです。

今日の作り手、ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールを訪問してみます。
Chablis_Meuliere
フレ(Fleys)という小さな村にあります。入り口から中はよく見えませんがなかなか立派な建物のようです。

AOCシャブリの対象エリアをINAOの地図で確認。あくまで対象コミューンですが。
INAO-Chablis1
フレ(Fleys)はシャブリ(Chablis)の隣の村ですね。域外はブルゴーニュ・ブランになることも示されています。

Google Map上にAOCシャブリのエリアを重ねてみました。
Chablis
シャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)、シャブリ・プルミエ・クリュ(Chablis Premier Cru)、プティ・シャブリ(Petit Chablis)のエリアがわかるようになっています。スラン川Le Serein)の両岸に広がっているのがわかりますね。シャブリの町の対岸のわずかな斜面がグラン・クリュになります。(シャブリ公式HPにChablis公式の地図があるのでご参考ください。)ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールの場所も示しましたが周辺はAOCシャブリの畑ですね。

シャブリのグラン・クリュの畑がわかる地図です。横着して貼っておきます(笑)。
ChablisGrandCru

で、シャブリはどのあたりかというとグラン・オーセロワを見た時の地図が有効です。
Auxerre_周辺
グラン・オーセロワ(Grand Auxerrois)はいくつかの地区に分類することができます。スラン川(Le Serein)両岸に広がるシャブリ地区(Chablisien)を中心に東にトネロワ地区(Tonnerrois)、南にヴェズリアン地区(Vézelien)、西にオーセロワ地区(Auxerrois)、北にジョヴィニアン地区(Jovinien)が広がっています。ちょっと東に離れたシャティヨネ地区(Châtillonnais)もありますが、ここはもっぱら発泡性のクレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)を造っています。
シャブリの南西にはAOCサン・ブリ(Saint-Bris)やAOCイランシー(Irancy)があります。今日の作り手ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールはイランシーの赤も出しているようです。このあたりは、地理的呼称(DGC=Dénomination Géographique Complémentaire)がついたAOCブルゴーニュが結構あるので地図で確認をしておきましょう。DGC付きと言っても位置づけとしてはレジョナル(地方名)のAOCブルゴーニュのままですが。

フランス全体の中でシャブリ&グラン・オーセロワ地区を把握しておきましょう。
フランス産地
マルで影を付けたところがグラン・オーセロワになります。ブルゴーニュ最北の生産地域とはいうものの、コート・ドールからはずいぶん離れ、シャンパーニュの方が近そうです。


エチケット平面化画像。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14%。
キラキライエロー。
IMG_0425

夏みかん、白い花。
ペトロールっぽいものも?
甘味を感じる辛口アタック。
爽やかな酸ですが、やはり甘やかな感じ。
ミネラル感はシャブリらしくしっかりあり。
スッキリさっぱり楽しめました。


*****


Domaine de La Meulière
Chablis 2020
WWWポイント78点



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Borgo Conventi Collio Pinot Grigio 2019

コストコで見つけたコッリオDOC(Collio DOC)のピノ・グリージョ。過去から、ピノ・グリ、ピノ・グリージョには今ひとつピンと来ていない自分ですが、税込998円の価格にやられて購入してしまいました(笑)。フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州のDOCですが、東の端、スロヴェニアとの国境沿いのエリアです。やはりここでもピノ・グリージョが多いんでしょうね。

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コストコにしては珍しく作り手がすぐわかりました。テヌータ・ボルゴ・コンベンティといい、スロヴェニアとの国境に近いゴリツィア県の美しい村、ファッラ・ディゾンツォ(Farra d'Isonzo)に1975年に設立されました。ワイナリーの名前は14~16世紀にかけて栄えたこの地域の修道院に由来しています。現在、敷地面積は約30haあり、 コッリオDOCとフリウリ・イゾンツォDOC(Friuli Isonzo / Isonzo del Friuli DOC)のワインを生産しています。2001年にフォロナリ家(Folonari)がワイナリーを取得して運営をしているようです。

なかなか出自のしっかりしたワインですが、コストコ店頭ではこんな感じです。
IMG_2821
公式ショップでは13ユーロで売っています。やはりコストコ価格はバグってますね。こうして見ると一見大量販売の安ワインにしか見えないですが、悪くないワインと思われます。どこでどんな風に売っていても本質を見極める目を持ちたいものですね。


公式ページはしっかりしていて情報豊富で助かります。コストコの供給元とは思えません(笑)。

ワイン紹介もデータシート完備。

・ピノ・グリージョ 100%

ブドウは皮の浸軟を避けるためすぐに圧搾されるそうです。熟成は冬の間にシュールリーで行い、春に瓶詰めして出荷という感じで、フレッシュなうちに楽しむ早飲みタイプのようですが、今日いただくのは2019ですから4年寝かしてますね(笑)。
コッリオDOC(Collio DOC)は赤・白OKで、85%以上で品種が表示できます。テヌータ・ボルゴ・コンベンティはピノ・グリージョ他、リボッラ・ジャッラ(Ribolla Gialla)、ソーヴィニヨン・ブラン、フリウラーノ(Friulano)の白とメルローの赤をコッリオDOCで出しています。

ピノ・グリージョ(Pinot Grigio)は当然ながらピノ・グリ(Pinot Gris)のイタリア語名です。
Pirovano03
2016年の統計では全世界で合計48,570haのピノ・グリージョが栽培されていますが、イタリアはその内の18,831haを占め、実に40%近くにもなります。

原産国であり本家のフランスはたった2,867haで90%がアルザスに集中しています。お隣のドイツは6,713haとフランスの倍ほどありますが、それでもイタリアの足元にも及びません。その他の多い国と言ってもアメリカの7,462haとオーストラリアの3,652haが続くぐらいで、圧倒的にイタリアがピノ・グリージョ王国と言えるでしょう。そしてその85%が Delle Venezie DOC のエリア(ヴェネト州、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州のトレンティーノ / トレント自治県 ≒ IGP Trevenezie)に集中しているのは以前の記事で見たとおりです。


テヌータ・ボルゴ・コンベンティを訪問してみます。
Borgo-Coventi
テヌータ・ボルゴ・コンベンティはスロヴェニアとの国境に近いゴリツィア県のファッラ・ディゾンツォ(Farra d'Isonzo)という村にあるんでしたね。ストビューでは門内に入れませんでしたが、なぜか中には天文台が併設されています。不思議…。

コッリオDOC(Collio DOC)のエリアを俯瞰して位置関係を見てみましょう。
Collio_DOC
コッリオDOCはゴリツィア(Gorizia)の町が中心なので、コッリオ・ゴリツィアーノDOCCollio Goriziano DOC)とも呼ばれます。ゴリツィア(Gorizia)ほか、Capriva del Friuli、Cormòns、Dolegna del Collio、Farra d’Isonzo、San Floriano del Collio、San Lorenzo Isontino、Mossaといったコムーネが対象エリアになります。ゴリツィアはゴリツィア県の県都である都市ですが、スロヴェニアとの国境を挟んで隣接するスロヴェニア側のノヴァ・ゴリツァ(Nova Gorica)という町と双子都市の関係にあります。

フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州のDOC/DOCGをGoogle Mapで見てみましょう。
Friuli-Venezia03
今日の作り手のボルゴ・コンベンティの所在も記入しています。地図中に示した通り、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州には4つのDOCGと、12のDOCがあります。主だったところをまとめます。

<DOCG>
Colli Orientali del Friuli Picolit DOCG
(2006年、Picolit 種の白のみ Friuli Colli Orientali DOC より独立してDOCG化。)
Lison DOCG
(2010年、Friulano 種の白のみ Lison-Pramaggiore DOC より独立してDOCG化。)
Ramandolo DOCG
(2001年、Verduzzo Friulano 種100%の白のみ Friuli Colli Orientali DOC より独立してDOCG化。)
Rosazzo DOCG
(2001年、Friulano 種主体の白のみ Friuli Colli Orientali DOC より独立してDOCG化。)

<DOC>
Carso / Carso-Kras DOC
(1985年、DOC認定。)
Collio Goriziano / Collio DOC(今日のワイン)
(1968年、DOC認定。)
Delle Venezie DOC
(2017年、3州にまたがる IGT Delle Venezie がDOC化。Pinot Grigio ~が主。)
Friuli / Friuli Venezia Giulia DOC
(2016年、Friuli Venezia Giulia 州全体をカバーして成立。)
Friuli Annia DOC
(1995年、DOC認定。)
Friuli Aquileia DOC
(1975年、DOC認定。)
Friuli Colli Orientali DOC
(1970年、DOC認定。Colli Orientali del Friuli Picolit、Ramandolo、Rosazzo 各DOCGが派生。)
Friuli Grave DOC
(1970年、DOC認定。)
Friuli Isonzo / Isonzo del Friuli DOC
(1974年、DOC認定。)
Friuli Latisana DOC
(1975年、DOC認定。)
Lison-Pramaggiore DOC
(1985年、1971年成立の Tocai di Lison DOC〈後の Lison DOCG〉を取り込みDOC化。)


ラベル平面化画像。
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裏ラベルはコストコシール一体型。コストコで売る気満々の気合が入ってます(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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DIAM5を採用。

Alc.13.5%。
淡いイエロー。
IMG_0361

黄桃。香りはかなり少なめ。
辛口アタック。
きれいな酸でいい予感がします。
ミネラル感もある爽やかな風味です。
はっさくぽいかな。
軽くサクッと行けます。

ピノ・グリージョにしてはかなり好きな感じ。
コストコでは当たりの部類だと思いますよ。


*****


Tenuta Borgo Conventi
Collio DOC
Pinot Grigio 2019
WWWポイント78点



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Weingut Heilig Grab Bopparder Hamm 2020 Riesling - Hochgewächs Mittelrhein

ドイツのリースリングですが、いつものモーゼルやラインガウのリースリングではなく、ミッテルラインのものになります。実はミッテルラインのワインは初めてなんですよね。「Mittelrhein」は読んで字のごとく「ライン川中流域」という意味で、ラインガウから連なるライン川流域 120km 以上に渡るエリアです。おいしくないわけないじゃんという雰囲気がありますよね。なぜ今まで飲んでいなかったんでしょう?(笑)

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作り手のハイリヒ・グラーブは 200年以上の歴史があるという家族経営のワイナリーです。「Heilig Grab」というのは「聖なる墓」という意味で、珍しいワイナリーの名前なんですが、このあたりで教会に礼拝に行くことを昔は「聖なる墓に行く」と言っていたそうで、その昔ワインバーをこの名前で開いたところ、礼拝に行ってきますと言って村の男たちがこぞってワインを一杯やりに行くということが横行し、このワイナリーはたいそう栄えたそうです(笑)。笑い話のようなワイナリーのネーミングの由来です。
このワイナリーはボッパルト(Boppard)というライン川沿いの町にありますが、この辺りはボッパルダー・ハム(Bopparder Hamm)という名前で知られるミッテルラインきっての銘醸地です。そこに4ヘクタールの広大なブドウ畑を所有しているそうです。85%がリースリングだそうで今日はそれをいただくわけですね。

ボッパルダー・ハムってこんなところです。ライン川最大のループ区間なんだそうで。
Bopparder-Hamm
 この辺りのライン川流域は2002年にユネスコの世界遺産に登録されており、景観も素晴らしいですが、ここから少し上流(車で30分ほど)のローレライ伝説で知られるローレライ岩(Loreley)あたりも含め船の航行の難所であったようですね。しかし、モーゼルと雰囲気が似ていますがこういう所はやっぱりワインの銘醸地になるわけです。

公式ページは写真が多く、ストビューのないドイツではこういうHPは助かります。

ワイン紹介はショップ兼用であまり情報は多くないです。

・リースリング 100%

醸造についての解説はありません。クヴァリテーツワイン(Qualitätswein)、ドイツの13の認定ワイン生産地域のひとつ、ミッテルライン(Mittelrhein)からになりますが、ボッパルダー・ハム(Bopparder Hamm)という狭域の産地名も書かれていますね。

気になるのが、「リースリング」だけじゃなく、「リースリング・ホッホゲヴェクス(Riesling Hochgewächs)」と書かれていることです。「Riesling-Hochgewächs(高成長リースリングの意)」はモーゼル川で初めて導入された用語で、急斜面で採れるリースリングの特別な品質を指します。1987年にドイツのワイン法で「特別原産地の典型的なワイン」として定められました。すべてのワイン生産地域で適用できますが、リースリングのみを使用し、ブドウの果汁重量が基準より少なくとも 10 °Oe 高くなければならず、ワインのアルコール含有量もその栽培地域の要件より1.5%高くないといけません。さらに公式の品質(官能)テストもパスする必要があります。ということは、結構今日のワインはよさそうですね。

ハイリヒ・グラーブを訪問します。ストビューがないのでネットの色々な写真を拝借。
Weingut_Heilig-Grab01
「聖なる墓」と偽っていた(笑)ワインバーはガーデンレストランとして健在です。宿泊施設もあるようです。ほんと、行ってみたいですね。

場所的にはこんなところ。ボッパルト(Boppard)の町を俯瞰して見ます。
Weingut_Heilig-Grab02
ボッパルトの駅前すぐですし、ライン河畔までもすぐです。ライン川観光の船着き場もあるようです。畑はどこなんでしょうね?


ミッテルライン(Mittelrhein)を深掘りしておきます。まずは恒例のGoogle Map。
Mittelrhein_Map-S
栽培地域はライン川沿いのビンゲン(Bingen am Rhein)からボン(Bonn)までの 120キロメートル以上に広がっています。川は歴史的な風景(険しいブドウ畑、宮殿、城、世界的に有名なローレライ)の中を曲がりくねって流れます。ビンゲンからコブレンツまではユネスコの世界遺産にも登録されているライン川観光の目玉です。周辺の認定ワイン生産地域(Anbaugebiete)、アール(Ahr)、モーゼル(Mosel)、ラインガウ(Rheingau)なども書き込んでいるので位置関係を把握しておきましょう。

ミッテルラインのベライヒ(Bereich)は2つ。

・ローレライ(Bereich Loreley
ラインラント・ファルツ州(Rheinland-Pfalz)に属し、ミッテルラインの大部分を占めます。

・ジーベンゲビルゲ(Bereich Siebengebirge
ボンの手前にあり、ノルトライン・ヴェストファーレン州(Nordrhein-Westfalen)に属します。

これらの下にさらに11の地域と111の単一畑があるようですが、いちいち挙げません(笑)。とりあえず今日のボッパルダー・ハム(Bopparder Hamm)だけ覚えておきましょう。
ミッテルラインのブドウ畑面積は465ヘクタールと13ある生産地域の中ではかなり少ない部類です。(どうりであまり見かけない。)品種の割合は、白:84.8%、赤:15.2%と圧倒的に白。また、リースリングが65%と圧倒的。あとはミュラー・トゥルガウ(4.9%)、ピノ・ノワール (10%)が続きます。

あとは、ミッテルライン公式ページやドイツワインのページがあるのでご参考ください(笑)。


ラベル平面化画像。
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横長一枚ものです。


さあ、スクリュー回転。
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スクリューキャップながらロゴマークがエンボスで入っています。

Alc.12%。
薄いイエロー。
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ライム、はっさく、ペトロール臭結構あり。
辛口アタックながら、柑橘系の果実味たっぷりです。
かすかな苦味含んだ酸はフレッシュさ強調します。
後味で少し水臭さを感じますが、
それを補うフレッシュフルーティが全てOKにしてくれました(笑)。


*****


Weingut Heilig Grab
Bopparder Hamm 2020
Riesling Hochgewächs
Trocken

Mittelrhein
WWWポイント78点



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Magura Winery Trevite Vrachanski Misket 2018

約3年ぶりのブルガリアワイン。久々にヨドバシの店頭で見かけ1本買ってみました。白は初めてで、ブルガリアには黒品種のマブルッド(Mavrud)やルビン(Rubin)といったローカル品種がありましたが、今日の白品種もヴラチャンスキ・ミスケット(Vrachanski Misket)という土着品種らしく興味をそそります。実はラベルのコウモリのマークが決め手だったんですが…(笑)。

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作り手の名前はラベルに大きく書かれていないのですが、マグラ・ワイナリー(Магура)といい、1967年にブルガリア北西部ラビシャというところに設立されています。首都ソフィアの北、車で3時間ほどのところです。おそらくワイナリー名はここから来ていると思われますが、近くにマグラ洞窟という古代人の壁画も残されているような鍾乳洞があります。創業時からこの洞窟内をセラーとして利用していて高品質のスパークリングワインを作っています。2008年からは国際品種や今日のワインのような土着品種などの畑を拡大して力を入れているそうです。
はは~ん、ラベルのコウモリマーク、洞窟にいるコウモリがトレードマークになってるわけですね。

公式ページはキリル文字のブルガリア語ですが、英語表示できるので助かりました。

ワイン情報はあっさりしてたのでインポーター情報などを総合して...。

・ヴラチャンスキ・ミスケット 100%

ブルガリアン・オーク樽で2ヶ月の熟成をしているとのこと。樽熟成をしていることに驚きますが、ブルガリアン・オークというのも興味深いです。

これがヴラチャンスキ・ミスケット(Vrachanski Misket / Врачански мискет)。
Vrachanski-Misket
ミスケット・ヴラチャンスキと逆の表記もあるようです。ハンガリーもしくはブルガリアが原産ですが、2013年に実施されたDNA分析によると、コアルナ・アルバ x ミュスカ・ブランの自然交配であると推測されています。ミュスカ・ブランはミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランのことでしょうが、コアルナ・アルバ(Coarnă albă)は聞きなれないですね。モルドバ原産の土着品種のようです。  シノニムが多く、Coarnă albăはルーマニア語、ロシア語ではPukhliakovskyと呼ぶそうです。

マグラ・ワイナリーを探します。ラビシャの村にショップを発見しました。
Magura_Winery01
ラビシャ(Rabisha / Рабиша)は辺鄙なところにある小さな村ですが、例のマグラ洞窟とラビシャ湖というブルガリア最大の淡水湖が近くにあり、名所の最寄りの村って感じです。傍らに「マグラ洞窟はあちら」の看板がありました。ワイナリーもそっちにあるはずです。

結構立派なワイナリーに行きつきましたがストビューでは入り口までしか行けません。
Magura_Winery02
ワイナリーの裏手がマグラ洞窟です。スパークリングを熟成させてる洞窟セラーは地下ででも繋がっているんでしょうかね。

以前からブルガリアの主要ワイナリー所在が書いた地図に印をつけています。
Winery_Location_Bulgaria
Bessa Valley や Logodaj など過去に試したワイナリーも書いてあります。マグラ・ワイナリーの場所、わかりますかね。北西の端っこの方です。

さて、例によってブルガリアのワイン産地をGoogle Map上にまとめてみました。
Bulgaria_Regions
ご覧のようにブルガリアには5つのワイン生産地域があり、首都ソフィア近辺以外のほぼ全域がワイン産地という感じですね。以下にまとめます。

<Danubian Plain(Dunavska Ravnina /  Дунавска равнина)(ドナウ平原)
ブルガリアの北側は500kmに渡ってドナウ川がルーマニアとの国境を成しています。このドナウ川の南岸に広がるブルガリア北部のワイン生産地域はドナウ平野(Danubian Plain)と呼ばれており、全体の30%を産します。マグラ・ワイナリーはその西端にある感じですね。

<Black Sea region>(Chernomorski Rayon / Черноморски район)(黒海沿岸)
黒海に面した東側のエリアです。ここも全体の約30%を占める生産量を誇ります。

<Rose Valley>(Rozova Dolina / Розова долина)(バラの谷)
ドナウ川平原の南側はバルカン山脈になりますが、そのすぐ南側のエリアです。ローズ・ヴァレーというのはこのエリア西側ののサブリージョンでもあるので「サブバルカン地域」という呼び方の方が正確なようです。ちなみにバラとヨーグルトがブルガリアの名産です。

<Thracian Valley>(Trakijska Nizina / Тракийска низина)(トラキア渓谷)
南部地域は「トラキア渓谷」と呼ばれ、穏やかな大陸性気候とブドウの生育期の降水量も良好な一大生産地域です。全体の35%の最大地域になるようです。トラキアとは現在のバルカン半島南東部の地帯を指す古代の呼び名です。

<Struma Valley>(Dolinata na Struma / Долината на Струма)(ストルマ渓谷)
名前からわかるように南西部にあるストルマ川流域のエリアになります。規模はさほど大きくないようです。

 
そうそう、最後にブルガリア周辺の地図で周辺国との位置関係を見ておきましょう。
Bulgaria位置1
南側はギリシャ、北にルーマニアやモルドバ。東ヨーロッパの銘醸地帯ですね。緯度的にはイタリアのトスカーナくらいでしょうか。


ラベル平面化画像。
IMG_9965
横長でほぼボトルを一周しています。ワインの解説もあるんですが、残念ながらブルガリア語です(笑)。

インポーターシールは上記ラベルの隙間に縦貼りしてありました。
IMG_9965R
ブルガリア語しか書いてないんですが、ラベルを隠さない努力は偉いです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.12.5%。
濃いハチミツ色の黄色。
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マスカット、ラムネ、爽やかな香り。
辛口アタック。
穏やかな酸と滋味のある果実味。
ベースに絶妙な苦味様の旨みが横たわっています。
実はラムネ菓子のような飲んだことのない独特な風味なんですが(笑)、
新しい経験として十分楽しめました。


*****


Magura Winery
Trevite
Vrachanski Misket 2018
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

丹波ワイン 酸化防止剤無添加 てぐみ Petit 白

久しぶりの丹波ワインです。今回はワイナリーでゲットしたのではなく、どこで注文したのかいつの間にか家にあった(笑)パターンです。この酸化防止剤不使用で濾過もせずに生詰めする「てぐみ」シリーズは人気のようで、いろんなバージョンが出ています。今日のはサイズ違いのプチ(Petit)で500mlサイズです。プー(Peu)という330mlサイズもあります(笑)。

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最近訪問していない丹波ワイン。この今日のワインを家で発見して、このところご無沙汰なのを思い出しました。「そろそろ思い出してよ」という神様のいたずらでしょうか(笑)。


さて、いつもの公式ページ。ワイン情報はショップサイト、日々の更新はブログを読みましょう。

やっぱり今日のワインの詳細はショップページが詳しいですね。

・デラウェアなど 100%

「など」は困りますが(笑)。一応、山形産となっています。デラウェアの生産量一番が山形ですからね。日本産のブドウ100%なのでいわゆる「日本ワイン」が表示できます。

説明によると、「てぐみ」シリーズは、発酵終了直前(狙い通りのガス圧になるように少し残糖がある状態)のワインを瓶詰めし、瓶の中で発酵を継続させることで、酵母が生み出した炭酸ガスがワインに溶け込んだ発泡ワインになり、瓶内二次発酵ワインのようにデゴルジュマン(澱引き)をしていない無濾過のため、ブドウ由来の澱が残り、そのにごりが独特の風味を醸し出すんだそうです。

さらに「てぐみ…とは?」の説明が以下に様に載ってます。敵は「とりあえずビール」なんだ。(笑)

『打倒!「とりあえずビール」。暖簾をくぐって発せられるその一言。うらめしい・・・いや、うらやましい。シンプルでいて、ビールに取って代われる、飲みやすいけれどしっかりしたワインができないものか? 最初の乾杯から楽しめるワインが造りたい! 酸化防止剤(亜硫酸塩)無添加のおいしいワインを造りたい!!そんな思いから試行錯誤を繰り返し構想から二年、亜硫酸塩無添加の微発泡にごりワインの「てぐみ」が生まれました。』


いつぞや訪問した時の丹波ワイン。冬の空です…。
丹波ワイン


自社畑をGoogle Mapに転記したいつもの地図です。
tamb01
デラウェアはここではやっていません。山形からやってきます。


ラベル平面化画像。
IMG_9856

キャップの上にかけられたシールに解説があります。
IMG_9857


さあ、スクリュー回転。
IMG_9862


Alc.10%。
緑がかったイエローがすぐに白濁していきます。
IMG_9863

リンゴ、酵母の香り。
辛口アタック。
やっぱりフルーティなビール(笑)。
酵母の苦味のようなのがまさにそれ。

ギョーザや青椒肉絲をあてにぐびぐび行きました。
やっぱり、これは夏に合うような気もしました(笑)。


*****


丹波ワイン
酸化防止剤無添加 てぐみ Petit 白
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

H. BLIN Charles Vercy Cuvée de Réserve Brut Champagne

リカマンの店頭でよく見かける H.BLIN(アンリ・ブラン)。お手頃なのが出ていたので久しぶりのシャンパーニュと行きましょう。店頭のPOPによると、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ(Vallée de la Marne)地域の作り手で自社畑のブドウの一番搾りを100%使っているとかなんとか。一番搾りって、キリンビールかいな(笑)。

IMG_9746
リカマンのサイトの説明ではアンリ・ブランは家族経営のメゾンとしていますが、本家のHPにはアンリ・ブラン(Henri Blin)さんと28のワイン生産者が1947年に共同で設立した、ワイン生産者の共同組合で、正式にはヴァンセル協同組合(Coopérative de Vincelles)と言うそうです。なんだか日本の解説は信用できませんね(笑)。
裏ラベルを見ると、確かに CM(Coopérative de Manipulation:コオペラティヴ・ド・マニピュラシオン)となっています。協同組合が組合員より仕入れたブドウを使ってワインを作り、協同組合のブランドで販売する場合の表示です。グラン・メゾンなら NM(Négociant-Manipulant:ネゴシアン・マニピュラン)となっているのが普通です。自社畑のブドウのみの小規模生産者なら RM(Récoltant-Manipulant:レコルタン・マニピュラン)と表記されます。

これがリカマンの店頭展示。とは言え情報豊富で好感持てます。何よりお手頃ですし。
IMG_2469
「世界最優秀ソムリエが絶賛!」のところの真偽はよくわかりませんが(笑)。

公式ページは協同組合のそれとは趣が異なり確かに大手メゾン風ですね。

今日のシャルル・ベルシというのが載っていません。特別キュヴェなんでしょうか。

・ピノ・ムニエ 80%
・シャルドネ 20%

熟成期間は36ヶ月。以上、店頭POPからの転記です(笑)。アンリ・ブランのあるヴァレ・ド・ラ・マルヌ(Vallée de la Marne)地域はマルヌ川流域、シャンパーニュのエリアの西側へ広がっていて、もっぱらピノ・ムニエが栽培されています。確かにそんなセパージュですね。

ピノ・ムニエ(Pinot Meunier)。なんとピノ・ノワールの突然変異種です。
Pinot_Meunier01
ドイツでシュバルツリースリング(Schwarzriesling)と言われている黒ブドウはフランス語のピノ・ムニエのことです。別名ミュラーレーベ(Müllerrebe)とも言われ、フランス語の「ムニエ」は「ミュラー(Müller)」から来ています。「Müller」も「Meunier」も「製粉業者」を表す名字で、ピノ・ムニエの葉の裏が毛深かったり、新芽の先端が小麦粉をまぶしたように見えることから名付けられました。酸味の強いワインができるため、ピノ・ノワールよりも質的に劣るとされ、単一品種として醸造されることはめったにありませんが、スパークリング・ワインのベースとして非常に優れていることから、シャルドネ、ピノ・ノワールに並ぶシャンパーニュの第3の主要品種としての地位を得ています。

ピノ・ブラン、ピノ・グリ、ピノ・ムニエ、これら全部ピノ・ノワールの突然変異です。
Pinot2
これらの品種はほぼ同一のDNAプロファイルを持っているため、実際どのように生まれたのか判別がつかないそうです。これらを総称して「Pinot」とだけ呼ぶこともあります。

アンリ・ブランを訪問。ヴァンセル(Vincelles)の集落のかなりの部分を占めます。
H.BLIN01
アンリ・ブランのHPの解説では、この町がピノ・ムニエの発祥の地であるとしています。(ホンマかいな?)なんでも「Vincelles」は「ワイン・セラー」の意味なんだそうで。


シャンパーニュを俯瞰してアンリ・ブラン、ヴァンセルの位置関係を確認しましょう。
Champagne01
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ(Vallée de la Marne)地域はマルヌ川沿いに西へ続いているのがわかると思います。グラン・クリュは以下の2つのみ。

・Aÿ/Ay(アイ)
・Tours-sur-Marne(トゥール・シュル・マルヌ)

さらにこれら2つのグラン・クリュはご覧のように東の端っこに片寄っています。ピノ・ムニエが優勢のヴァレ・ド・ラ・マルヌにおいて、グラン・クリュのある東の端だけはピノ・ノワールが主体になっているそうです。


エチケット平面化画像。
IMG_9725
裏ラベル下側に、CM(Coopérative de Manipulation:コオペラティヴ・ド・マニピュラシオン)とあるのがわかるでしょうか。


さあ、抜栓。
IMG_9742
「シャンパーニュ」とだけ入った汎用品ですね。

Alc.12.5%。
淡いオレンジまとうイエロー。
IMG_9748

例によって泡の立ち具合を動画で見ておきましょう。


洋梨、プラム。
乾いた酸と苦味から来る辛口アタック。
ふくらみある味は熟成感も感じます。
シャンパーニュの貫禄はあり。
そして風味はなんとなくムニエの個性だと感じました。


*****


H. BLIN
Charles Vercy
Cuvée de Réserve Brut
Champagne
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

Virgen del Galir Maruxa Godello 2020 Valdeorras

スペイン、DOバルデオラス(Valdeorras)からのゴデージョ(Godello)です。以前にゴデージョは試してるんですが、それがかなり美味しかったのでついつい見つけると気になってしまいます。前のはDOモンテレイ(Monterrei)でした。同じガリシア州のDOですが、おさらいも含めゴデージョ比較と行きましょう。

IMG_9588
作り手はビルヘン・デ・ガリル(Virgen del Galir)といって、DOバルデオラスのエリア、オーレンセ県シル川(Río Sil)のほとりにあります。実は4年ほど前に同じ作り手のメンシーア(Mencía)を試して記事を書いていましたのでお初ではありませんでした。2018年にリオハの大手クネ(C.V.N.E.=Compañía Vinícola del Norte de España)グループの傘下に入ったためか、その歴史については詳しく書かれていません。2002年設立で、そんなに古い所でもありませんが。

公式ページは傘下だけあって親元クネと体裁が似通っていますが情報は必要十分です。

ワイン紹介はデータシート付き。

・ゴデージョ 100%

手摘み収穫。発酵前2日間の低温浸漬。除梗あり。破砕なし。自然酵母使用。ステンレスタンクで3ヶ月のシュールリーでの熟成期間を経ます。

日本では「ゴデーリョ」と書いてたりしますが、正しい発音はゴデージョ(Godello)です。
Godello
ガリシア州のシル川(Río Sil)のほとりが原産と考えられるこの地方のローカル品種です。隣のポルトガルでも「Gouveio」という名前で栽培されています。2013年に実施されたDNA分析では、おそらくSavagnin Blanc(Traminer)と Castellana Blanca の間の自然交配とみられます。Castellana Blanca はよく知りませんが、この辺りでは、Treixadura、Torrontés、Loureira…など白ブドウだけでも結構な種類のローカル品種があります。(トロンテスはアルゼンチンのそれとは別物です。)


ビルヘン・デ・ガリルを訪問。オーレンセ県の山間の集落(Entoma)にあります。
VirgendeGalir01
2002年創立ですから、さすがに施設は新しそうです。シル川(Río Sil)が近いですね。HPにはご丁寧に所有畑の所在がわかりやすいイラストで示されていました。
VirgendeGalir
川沿い・山間のテロワールが感じられるいい地図ですね。


ネットで拾った地図でガリシア州を俯瞰。周辺DOとの位置関係を確認。
VirgendeGalir02
ガリシアはリアス・バイシャスに気を取られがちですが、内陸にもいろいろと特徴的なDOがあります。ビルヘン・デ・ガリルの場所も示しておきました。

例によって、これらDOをGoogle Map上に転記したものがコレ。
Galicia
DOバルデオラス(Valdeorras)は隣のカスティージャ・イ・レオン (Castilla y León)州に隣接しています。加えてカスティージャ・イ・レオン州のDOビエルソ(DO Bierzo)とも地続きになります。なのでDOビエルソも描き込んでおきました。この2つのDOはどちらも赤ならメンシーア(Mencía)、白ならゴデージョ主体でよく似ています。


ラベル平面化画像。
IMG_8908
Oringin(原産地)のスペイン語である「Origen」が「Orixe」となってます。これはスペイン北西部の方言、ガリシア語の表記ですね。DOバルデオラス公式ページもガリシア語表示できます。

インポーターシール(三国ワイン)は裏ラベルを隠していませんでしたが別撮りで。
IMG_8909


さあ、抜栓。
IMG_9583

コルク平面化。DIAM3を採用です。
IMG_9585

Alc.13.5%。
しっかりイエロー。キラキラしています。
IMG_9586

梨のシャーベット、ライム。
甘やかな酸の辛口アタック。
黄桃、洋梨の味わいがあります。
少しフルーティさがくどい気はするんですが、
何も風味がしないのよりはずっといいと思われます。

ただ、前に試したゴデージョが美味しかった記憶が強く、
そこそこいけるのに凡庸に感じてしまいます。


*****


Virgen del Galir
Maruxa Godello 2020
Valdeorras Denominación de Orixe
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

Kirkland Signature Marlborough Ti Point Sauvignon Blanc 2021

コストコのプライベート・ブランドのカークランド・シグネチャーです。ニュージーランドはマールボロのソーヴィニヨン・ブランですが、1000円でお釣りが来ます。やっぱりお安いですよね。アメリカ本国では6.99ドルだそうで。普段見かける普通のニュージーランドのワインって何となくお高めな気がしています。なので、これでおいしければ儲けものです(笑)。

IMG_9369
作り手はラベルにある「Ti Point」です。産地の名前かと思っていたら「Ti Point Wines」というところでした。ニュージーランドの北島、最大の都市オークランド(首都はウェリントンです。)の北側のオマハ・ベイという湾に小さな半島があるんですが、そこがティー・ポイントです。ハスラム家が1990年代にこの地にブドウ園を始めたのがティー・ポイント・ワインズの始まりだそうです。そんな北の外れで始めたワインビジネスは、ホークスベイ(Hawke's Bay)とマールボロ(Marlborough)の産地に拡大しています。すごいかも。

公式ページはシンプルですがそれなりに情報あり。コストコブランドは載ってませんが(笑)。

マールボロのソーヴィニヨン・ブランが載っているので同じものとして参考にします。

・ソーヴィニヨン・ブラン 100%

畑や醸造法なんかの情報はありません。丁寧に作りましたとか(笑)。

ソーヴィニョン・ブラン(Sauvignon Blanc)に触れておきます。フランス原産の品種です。
SauvignonB
親子関係ですが、以前より母方が「Savagnin=Traminer」という品種自体の具体的な存在が未確認の理論上の品種ということになっていましたが、最近のデータによるとサヴァニャン・ブラン(Savagnin Blanc)で確定したようです。しかしながら、父方は依然不明のままです。それでは、サヴァニャン・ブランとは何ぞや?ということになりますが、これがまたややこしい。シノニムがトラミナー(Traminer)で、突然変異で果皮色がロゼのサヴァニャン・ロゼ(Savagnin Rose)となり、更なる突然変異でゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)が生まれたとされています。
世界中で栽培されるポピュラーな品種ですが、全世界で124,700haの栽培面積(2016年)で、その内フランスが28,084haですから、本家フランスは1/4(23%)程度ということになります。以下、ニュージーランド(20,497ha)、チリ(14,999ha)、南アフリカ(9,246ha)、アメリカ(6,747ha)、モルドバ(6,909ha)、オーストラリア(6,044ha)、ルーマニア(5,594ha)、スペイン(4,562ha)と続きます。やはりニュージーランドは2番手、世界の16%を占めるソーヴィニヨン・ブラン大国でした。

ティー・ポイント・ワインズを訪問しようとしましたが、本部オフィスというのがホークスベイの住所になっていて、そこには違う名前のワイナリーがありました。得体が知れない訳ですが、これ以上追いかけないことにします(笑)。


今日のワインの産地はマールボロ。ニュージーランドでの位置関係はこうです。
Southern_Valley
ティー・ポイント(創業の地?)も書き込んでおきました。ホークスベイ(Hawke's Bay)、マールボロ(Marlborough)との位置関係も見ておいてください。


ラベル平面化画像。
IMG_9299

裏ラベル。コストコシール、この貼り方はないでしょう。
IMG_9298

ネットで拾った画像ですが、以前はハスラム家のワインメーカーの名前がありました。
2019
なんで今はなくなったんでしょうね。


さて、スクリュー回転。
IMG_9365

Alc.13%。
キラキラのプラチナゴールド。
IMG_9366

ライム、グリーングラス、パイン。
甘やかな酸の辛口アタック。
フルーティ!
リンゴっぽいうまさがあります。
ニュージーランドのソーブラの王道ですね。


*****


Kirkland Signature
Marlborough Ti Point
Sauvignon Blanc 2021
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

Tatié Traditional Method Brut Valle de Limalí

やまやで見慣れないスパークリングを発見。リマリ・ヴァレーと書いてあるのですぐにチリの、それもタバリの泡だとわかりましたが、シャンパーニュのランスにあるティエノーだとも書いてます。どうやらシャンパーニュのメゾンとチリのビニャ・タバリのコラボということらしいです。そうするとワイン名の「TATIÉ」というのは、タバリ(Tabalí)の「TA」+ティエノー(Thiénot)の「TIÉ」で「TA・TIÉ」、TATIÉ!バンザ~イ!

IMG_9276
ビニャ・タバリはサンティアゴの北方リマリ・ヴァレーに2002年に設立された新鋭ワイナリーです。最初のリリースから高い評価を得て、リマリ・ヴァレーにこだわって事業の拡大を続けています。今度はシャンパーニュの有力メゾンの力を借りてメトド・トラディショナル(Método Tradicional=瓶内二次発酵のシャンパーニュ方式)の本格スパークリングワインを始めたということのようですね。

ネット情報があまりないのですが、やまやのカタログにはチョロっと載ってました。
やまや3
熟成期間30ヶ月くらいしか情報がないですけどね。

ビニャ・タバリの公式ページはしっかりしたのがあります。

ワイン紹介はショップページと兼用のようです。

・シャルドネ 60%
・ピノ・ノワール 40%

「Viñedo Talinay」という畑から、ぐらいの情報しかありません。30ヶ月熟成はやまやのカタログのみの情報。ただし、各方面での高評価はめっちゃアピールしています(笑)。
名称未設定-6
初リリースとすればなかなかの高評価なんじゃないでしょうか。

シャンパーニュのメゾン、ティエノー(Champagne Thiénot)のHPもリンクしておきます。




ビニャ・タバリ(Viña Tabalí)を訪問します。ウェーブを描く屋根がカッコいいですね。
Tabali01
畑の真ん中ですが、コキンボ州オバジェ(Ovalle)の町から車で20分くらいのところ。

HPにリマリ・ヴァレー(Valle del Limalí)を俯瞰する地図があったので拝借して加筆。
Limali_Valley
今日のワインの出どころの「Viñedo Talinay」含め所有畑の所在が示してあります。
Ovalle、Punitaqui、Monte Patria、Río Hurtado といったところは Valle del Limarí のサブゾーンになります。

コキンボ州(Coquimbo)をGoogle Mapで俯瞰して位置関係を把握しましょう。
Chile_Coquimbo_Elqui
コキンボ州には北からエルキ・ヴァレー(Valle del Elqui)、リマリ・ヴァレー(Valle del Limarí)、チョアパ・ヴァレー(Valle del Choapa)と3つのサブリージョンがあり、それぞれエルキ川、リマリ川、チョアパ川という川の流域に相当します。コキンボ州全体が「コキンボ(Coquimbo)」という Región(リージョン)になっています。
エルキ・ヴァレーの北のアタカマ州(Atacama)にはウアスコ・ヴァレー(Valle del Huasco)、コピアポ・ヴァレー(Valle de Copiapó)という産地が続いています。この辺りはもともとはピスコ(ブドウで作るチリを代表する蒸留酒)の生産のためのブドウ畑です。南半球なので北へ行くほど温暖になります。

チリの DO(Denominación de Origen)一覧表。北から順に並びチリ国土のように長い(笑)。
Región Subregión Zona Área Término complementario
Región vitícola de Atacama Valle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de Coquimbo Valle del Elqui La Serena Costa
Vicuña Andes
Paiguano Andes
Valle del Limarí Ovalle Costa
Punitaqui Entre Cordilleras
Monte Patria Andes
Río Hurtado Andes
Valle del Choapa Salamanca Andes
Illapel Andes
Región vitícola de Aconcagua Valle del Aconcagua Zapallar Costa
Quillota Costa
Hijuelas Entre Cordilleras
Panquehue Entre Cordilleras
Catemu Entre Cordilleras
Llay-Llay Entre Cordilleras
San Felipe Entre Cordilleras
Santa María Andes
Calle Larga Andes
San Esteban Andes
Valle del Marga-Marga Quilpué Costa
Valle de Casablanca Casablanca Costa
Valle de San Antonio Valle de San Antonio Cartagena Costa
Lo Abarca Costa
Algarrobo Costa
Valle de Leyda San Juan Costa
Santo Domingo Costa
Región vitícola del Valle Central Valle del Maipo Isla de Maipo Entre Cordilleras
Talagante Entre Cordilleras
Melipilla Entre Cordilleras
Alhué Entre Cordilleras
María Pinto Entre Cordilleras
Colina Entre Cordilleras
Calera de Tango Entre Cordilleras
Til Til Entre Cordilleras
Lampa Entre Cordilleras
Santiago Andes
Pirque Andes
Puente Alto Andes
Buin Andes
Valle del Rapel Valle del Cachapoal Rancagua Entre Cordilleras
Peumo Entre Cordilleras
Coltauco Entre Cordilleras
Requínoa Andes
Rengo Andes
Machalí Andes
Valle de Colchagua Paredones Costa
Pumanque Costa
Litueche Costa
Lolol Costa
Nancagua Entre Cordilleras
Santa Cruz Entre Cordilleras
Apalta Entre Cordilleras
Palmilla Entre Cordilleras
Peralillo Entre Cordilleras
Marchigüe Entre Cordilleras
La Estrella Entre Cordilleras
San Fernando Andes
Los Lingues Andes
Chimbarongo Andes
Valle de Curicó Valle del Teno Vichuquén Costa
Licantén Costa
Rauco Entre Cordilleras
Romeral Andes
Valle del Lontué Sagrada Familia Entre Cordilleras
Molina Andes
Valle del Maule Valle del Claro Empedrado Costa
Curepto Costa
Talca Entre Cordilleras
Pencahue Entre Cordilleras
San Rafael Entre Cordilleras
San Clemente Andes
Valle del Loncomilla San Javier Entre Cordilleras
Villa Alegre Entre Cordilleras
Parral Entre Cordilleras
Linares Entre Cordilleras
Longaví Entre Cordilleras
Retiro Entre Cordilleras
Colbún Andes
Valle del Tutuvén Cauquenes Entre Cordilleras
Región vitícola del Sur Valle del Itata Portezuelo Costa
Coelemu Costa
Chillán Entre Cordilleras
Quillón Entre Cordilleras
Valle del Biobío Yumbel Entre Cordilleras
Mulchén Entre Cordilleras
Valle del Malleco Traiguén Entre Cordilleras
Región vitícola Austral Valle del Cautín Perquenco
Galvarino
Valle de Osorno Osorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono
それぞれの名称からWikipediaのページにリンクが張ってあります。スペイン語ですが(笑)。


ラベル平面化画像。
IMG_9267
生産者は「Viña Tatié」となっていて、表ラベルはタバリとティエノーのダブルネームになっています。「チリのテロワールとフランスの専門技術」の融合を表す新ブランドということでしょう。


さあ、抜栓。
IMG_9270
タティエ名ばかりでビニャ・タバリは一切書いていませんね。

Alc.11.5%。
淡いレモンイエロー。
IMG_9274
少々泡は少なめでしょうか?

動画で泡を確認してみましょう。


バター、トースト香すごい。
リンゴ香が少々、後から来ます。
ブリュッと辛口アタック。
レモン味にコクがある感じ。
やはりシャンパーニュの趣きがあります。
ちょっとシンプルで仕掛けのない残念さありますが。


*****


Viña Tatié
(Viña Tabalí)
Tatié Traditional Method Brut
Valle de Limalí
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01
--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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