Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

WWWポイント:80点

Domaine Vendange Crémant de Savoie Grande Réserve Brut

クレマン・ド・サヴォワをゲットしました。クレマン(Crémant)と名の付くいわゆる瓶内二次発酵のフランス産スパークリングワインは8つありまして、クレマン・ド・サヴォワは2014年認定の一番新しいクレマンになります。ところが、INAOのAOC検索で調べるとクレマンは7つしか出てきません。あれ? サヴォワがない? Crémant de Savoie ってAOCじゃないの?

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作り手のドメーヌ・ヴァンダンジュは2015年設立と新しそうに見えますが、実はヴァンダンジュ家というのが4代も続く名門のブドウの苗木屋なんだそうで、ブドウ栽培は熟知しています。その4代目バンジャマン・ヴァンダンジュさんが家業を引き継いだ時、自分が本当に飲みたいと思うサヴォワ・ワインを造りたいと、奥様と一緒にワイナリーを立ち上げたということなんだそうです。自身はルイ・ロデレールで醸造の経験を積み、奥様も醸造家だそうで役者も揃ったという感じです。それより、苗字が「Vendange(収穫・ハーベスト)」で、これが本名ということですからスゴいですよね(笑)。

公式ページは新しい作り手らしい感じですが、家業の苗木屋の話も載っています。

サヴォワの代表的な品種はだいたいやってます。データシートが用意されています。

・ジャケ―ル 45%
・アルテス 30%
・シャルドネ 25%

さすが苗木屋、創立後10年も経っていませんが、ブドウは樹齢25年だそうです。ベースワインはステンレスタンクで9ヶ月の熟成。瓶内二次発酵後12ヶ月以上の熟成がなされます。通常のクレマンの規定では瓶内熟成(シュールリー)期間は9ヶ月なので贅沢にやっている感じです。「Grande Réserve」って書いてありますしね。

ジャケ―ル(Jacquère)。フランス原産でサヴォワ地方だけで栽培されます。
Jacquere
ジャケ―ルは2013年のDNA分析で、「Gouais Blanc x 未知のパートナー」の自然交配と判明しています。フランスにはグエ・ブランを片親とする品種は数多くありますから「判明した」というほどのものではないですね(笑)。ジャケ―ルが許可されているAOCは、大括りでは AOC Vin de Savoie と AOC Bugey(ビュジェ)のみです。

アルテス(Altesse)。サヴォワではシノニムのルーセット(Roussette)でお馴染み。
Roussette
「Altesse」は「殿下」という意味で、15世紀にサヴォワ公国の王子とキプロスの王女が結婚した際にキプロスから導入されたという逸話からの命名ですが真偽は定かではありません。というか、フランス原産でほぼFAのようですが。アルテスが一応主要品種に挙げられているのが、AOC Vin de Savoie、AOC Bugey です。当然ながら名前がルーセットの AOC Roussette de Savoie、AOC Roussette du Bugey と、AOC Seyssel はアルテスを100%使います。また、補助品種で名前のよく似た Roussette d’Ayze というブドウも栽培されてるんですが、2013年のDNA分析で「Altesse x Gouais Blanc」の自然交配だと推測され、ルーセット(アルテス)とは別物とされています。アルテスの「子」だったんですね。で、また暗躍しているグエ・ブラン(笑)。これは1ヘクタールしかないそうですから無視していいでしょう。


ドメーヌ・ヴァンダンジュを訪問。微妙に近寄れなくて少し離れたところから。
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サン・ピエール・ダルビニー(Saint-Pierre-d'Albigny)というイゼール川(Isère)沿いの町にあります。自社畑はここから半径1km以内の集落内に全部あるそうです。さすが苗木屋。

サヴォワ(Savoie)を俯瞰する地図で他の主要AOCとの位置関係を見ます。
Savoie_Map2
ドメーヌ・ヴァンダンジュの所在を描き込んであるのでご確認ください。サヴォワ地方のAOCは、サヴォワ県(Savoie)、オート・サヴォワ県(Haute-Savoie)に渡っており、一部イゼール県(Isère)とアン県(Ain)にはみ出ている感じです。

さあ、なぜ「Crémant de Savoie というAOCが見つからないのか」問題ほか、サヴォワのAOCをまとめていきましょう。実は、サヴォワの規定は非常にややこしい。AOC Vin de Savoie(もしくは単に Savoie)には補助的地理呼称(Dénominations Géographiques Complémentaires)が付くサブゾーンが16もあるんですが、それぞれに特色があり、あたかもいくつもの違うAOCが存在するがごとくです。以下にその16エリアを挙げます。

・Vin-de-Savoie Abymes
・Vin-de-Savoie Apremont
・Vin-de-Savoie Arbin
・Vin-de-Savoie Ayze
・Vin-de-Savoie Chautagne
・Vin-de-Savoie Chignin
・Vin-de-Savoie Chignin-Bergeron
・Vin-de-Savoie Crépy(2009年まで Crépy )
・Vin-de-Savoie Cruet
・Vin-de-Savoie Jongieux
・Vin-de-Savoie Marignan
・Vin-de-Savoie Marin
・Vin-de-Savoie Montmélian
・Vin-de-Savoie Ripaille
・Vin-de-Savoie Saint-Jean-de-la-Porte
・Vin-de-Savoie Saint-Jeoire-Prieuré

クレマン・ド・サヴォワがAOCに認可されたのが2014年で、2015年に発行されたINAO(Institut national de l'origine et de la qualité=国立原産地品質研究所)の官報(仕様書)を確認すると、AOC Vin de Savoie のそんな16のサブゾーンと一緒に、「Crémant」という1項目が加えられているだけです。えっ、これが AOC Crémant de Savoie なの? …要するに、INAOはAOCクレマン・ド・サヴォワ(AOC Crémant de Savoie)というカテゴリーを独立して設けていないのです。どうりでINAOのHPで検索してもヒットしないわけです。
サヴォワには他にも歴史的に有名なスパークリングがあり、どうもそれと格差をつけたくなかったのではないかと邪推します。例えば、Vin-de-Savoie Ayze(エーズ)にはグランジェ(Gringet)種で作る白のスパークリングがあります。Vin de Savoie の「Crémant」は、Vin-de-Savoie Ayze 対象地域の3コミューン(Ayse、Bonneville、Marignier)を除くサヴォワ全域が対象になっています。新しい「Crémant」は既存のスパークリングにかなり気を使っている感じがします。またこの新しい「Crémant」は白のみで、ロゼは Vin-de-Savoie Mousseux Rosé となり、「クレマン」を名乗ることができません。
しかし、今日のワインのように「Crémant de Savoie」を名乗るワインがどんどん出てきていて、「クレマン」は「Crémant de Savoie」を含む8つあります、と、どこでも解説されていますが、公式にそんな名称は存在していないという不思議な状態…。

クレマン軍団(?)の公式ページというのがあり、以下の8つのクレマンを推しています。


・Crémant de Bordeaux
Crémant de Die(12ヶ月熟成)
Crémant de Loire(12ヶ月熟成)
Crémant de Savoie

ここでは堂々と「Crémant de Savoie」と書いてます。INAOにはないのに…(笑)。


AOC Vin de Savoie(ou Savoie)主要品種まとめ。頑張りましたがちょっと見にくい?

Vin de Savoie
Cépages Principaux


Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Jacquère / Mondeuse Blanche / Velteliner Rouge Précoce



(Haute-Savoie) Chasselas / Gringet / Roussette d’Ayze (l’Isère) Marsanne B / Verdesse


Rouge / Rosé Gamay / Mondeuse / Pinot Noir (≧90%)



(Savoie) Cabernet Franc / Cabernet Sauvignon / Persan (l’Isère) Persan / Étraire de la Dui / Servanin / Joubertin


Mousseux Rosé Aligoté / Altesse / Chardonnay / Gamay / Jacquère / Mondeuse Blanche / Mondeuse / Pinot Noir / Velteliner Rouge Précoce



(Haute-Savoie) Chasselas

Crémant Mousseux Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Jacquère (≧40%) / Mondeuse Blanche <Jacquère + Altesse ≧60%>



(Haute-Savoie) Chasselas / Molette



(Cépages Noirs) Gamay / Mondeuse / Pinot Noir

Abymes (ou Les Abymes) Blanc Jacquère

Apremont Blanc Jacquère

Arbin Rouge Mondeuse

Ayze Blanc Gringet (≧70%)


Mousseux Blanc

Chautagne Blanc Jacquère


Rouge Gamay / Mondeuse / Pinot Noir

Chignin Blanc Jacquère


Rouge Gamay / Mondeuse / Pinot Noir

Chignin-Bergeron Blanc Roussanne

Crépy Blanc Chasselas

Cruet Blanc Jacquère

Jongieux Blanc Jacquère


Rouge Gamay / Mondeuse / Pinot Noir

Marignan Blanc Chasselas

Marin Blanc Chasselas

Montmélian Blanc Jacquère

Ripaille Blanc Chasselas

Saint-Jean-de-la-Porte Rouge Mondeuse

Saint-Jeoire-Prieuré Blanc Jacquère
「クレマン」の位置づけが理解できたかと思います。「Crémant」は主要品種の内、ジャケ―ルが40%以上ないといけません。さらにアルテスを加えて60%以上ないといけません。これはシャルドネを増やしたくても40%以上は入れられないことを意味します。まあ、サヴォワの特徴を出せということなんでしょう。

サヴォワの代表品種の一つであるこのジャケ―ルを主要品種とするAOCもかなりありますが全てではありません。AOC Vin de Savoie Crépy のようにシャスラ(Chasselas)を主要品種とするところも多いですね。ジャケ―ル軍団にシャスラ軍団、そしてAOC名こそ「Roussette de Savoie」となりますが、アルテス(=ルーセット)軍団の3勢力がいるというわけです(笑)。


最新の官報では、AOC Vin de Savoie に無茶苦茶細かい補助品種の規定が追加されています。

Vin de Savoie
Cépages Accessoires



(Cépages N, G et Bia B ≦10%)


Blanc Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris






Rouge / Rosé Corbeau / Dousset / Hibou Noir / Mondeuse Grise






Mousseux Rosé Bia / Corbeau / Dousset / Hibou Noir / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot gris





Crémant Mousseux Blanc Bia / Petite Sainte-Marie / Mondeuse Grise / Pinot gris



Corbeau / Dousset / Hibou Noir

Abymes (ou Les Abymes) Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris



(l’Isère) Marsanne / Verdesse

Apremont Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris

Arbin Rouge

Ayze Blanc Altesse (≦20%) / Roussette d'Ayze


Mousseux Blanc

Chautagne Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris


Rouge Cabernet Franc / Cabernet Sauvignon / Persan - Corbeau / Dousset / Hibou Noir

Chignin Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris


Rouge Cabernet Franc / Cabernet Sauvignon / Persan - Corbeau / Dousset / Hibou Noir

Chignin-Bergeron Blanc

Crépy Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Gringet / Mondeuse / Roussette d’Ayze / Velteliner Rouge Précoce – Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris

Cruet Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris

Jongieux Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris


Rouge Cabernet Franc / Cabernet Sauvignon / Persan - Corbeau / Dousset / Hibou Noir

Marignan Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Gringet / Mondeuse / Roussette d’Ayze / Velteliner Rouge Précoce – Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris

Marin Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Gringet / Mondeuse / Roussette d’Ayze / Velteliner Rouge Précoce – Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris

Montmélian Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris

Ripaille Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Gringet / Mondeuse / Roussette d’Ayze / Velteliner Rouge Précoce – Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris

Saint-Jean-de-la-Porte Rouge

Saint-Jeoire-Prieuré Blanc Aligoté / Altesse / Chardonnay / Mondeuse / Velteliner Rouge Précoce



Bia / Mondeuse Grise / Petite Sainte-Marie / Pinot Gris
ほとんど栽培されてないものばかりで、「Bia」なんて0.1ヘクタールしかないそうです。またこの品種とG(グリ)やN(黒)品種は合計10%以上入れてはいけないとなっています。まあ、覚える必要はないと思いますが、こんな状況だってことだけ見ておきましょう(笑)。


エチケット平面化画像。
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インポーターはヌーヴェル・セレクション。裏ラベル隠していません。エライ。


さあ、抜栓。
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ミュズレにも「Crémant de Savoie」とありますね。

Alc.12.5%。
淡いレモンイエロー。
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例によって泡の立ちあがりは動画でお送りします。


青リンゴ、白桃。
かすかに甘みのある辛口アタック。
柑橘系とパインと青リンゴの雰囲気があります。
すべてにバランス良くて、フルーティ美味しいと言えます。
サヴォワ(ジャケ―ル+アルテス)がいいのか、
作り手の腕なのか、なかなか素晴らしいです。
好きです、こういうの。


*****


Domaine Vendange
Crémant de Savoie
Grande Réserve Brut
WWWポイント80点



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Domaine Saumaize-Michelin Pouilly-Fuissé Sur La Roche 2019

プイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)をいただくんですが、ブルゴーニュ、マコネのAOCの中では一番有名なんじゃないでしょうか。このAOC、2020年のヴィンテージから22のクリマが1級畑(Premier Cru)に昇格しているとのことで調べてみると、今日のこのワインの「Sur La Roche」も見事1級畑になっていました。残念ながら今日のワインは2019年なのでプルミエ・クリュの表示はありませんが、実質プルミエ・クリュということで期待してお試しといきましょう。

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作り手のドメーヌ・ソメーズ・ミシュランは1978年に現当主のロジェ・ソメーズさんがAOCプイィ・フュイッセのエリアであるヴェルジソン(Vergisson)に設立したドメーヌ。1982年にクリスティーヌ・ミシュランさんと結婚したことでソメーズ・ミシュラン(Saumaize-Michelin)の名前になっています。最初は折半耕作(Métayage*)から始めたんですが、1981年には今日のワインの「シュル・ラ・ロッシュ」の区画を購入し、以降もいくつか畑を買い増しています。認証マークは見当たりませんが、ビオディナミを実践しているとあります。
* メタヤージュ(Métayage):小作人が土地を借りて出来たワインの半分を上納する農村賃貸借の形態。賃料を払って畑を借りるのが フェルマージュ(Fermage)。

公式ページはちょっと変わった構成ながら、自社畑の1級畑昇格の件は詳しく解説しています。

「Sur La Roche」、「Les Crays」、「La Maréchaude」の3つの1級畑を所有しているとあります。

・シャルドネ 100%

「La Maréchaude」の紹介には新樽率15%のフレンチオーク樽の使用が言及されているのでおそらく同じようなものでしょう。シュールリーで12ヶ月の熟成です。


ヴェルジソン(Vergisson)村にあるドメーヌ・ソメーズ・ミシュラン訪問。
Dom_SaumazeMichelin01
ヴェルジソンの集落にあるんですが、袋小路(cul-de-sac)になっていてストビューでは奥に入れませんでした。


ところで、AOCプイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)から 22 のクリマが第一級畑、プルミエ・クリュ(Premier Cru)に認められたというのは、2020年9月と割と最近の話です。2010年に申請が開始され、認定されるまでに10年もかかったそうです。全部で94ヘクタールに相当し、プイィ・フュイッセ全体の約24%を占めるそうです。その区画を示す地図を探しましたが、当時は見当たらなかったのですが、2020年のヴィンテージからワインも出回ってきていますので、今回改めて調べるとぼちぼち詳細地図も出てきているようです。

これがいくつか見つけた中で一番見やすかった地図です。1er Cruは赤枠で囲われています。
carte-terroirs-pouilly-fuisse-(1erCru)
JPGにして貼っていますが、Pouilly-Fuissé 公式サイトにPDFのオリジナルが上がっています。
1級畑(1er Cru)となった22のクリマ(Climat:畑の小区画)を書き出すと以下になります。

1. Au Vignerais
2. Aux Bouthières
3. Aux Chailloux
4. Aux Quarts
5. En France
6. En Servy
7. La Frérie
8. La Maréchaude
9. Le Clos
10. Le Clos de Monsieur Noly
11. Le Clos de Solutré
12. Le Clos Reyssier
13. Les Brulés
14. Les Chevrières
15. Les Crays
16. Les Ménétrières
17. Les Perrières
18. Les Reisses
19. Les Vignes Blanches
20. Pouilly
21. Sur la Roche
22. Vers Cras(Solutré-PouillyとFuisséにまたがる)

これはアルファベット順ですので、プイィ・フュイッセの4つの村に分類してみます。

<VERGISSON>(ヴェルジソン:4クリマ)
・En France
・La Maréchaude
・Les Crays
Sur La Roche

<SOLUTRÉ-POUILLY>(ソルトレ・プイィ:8クリマ)
・Au Vignerais
・Aux Chailloux
・En Servy
・La Frérie
・Le Clos de Solutré
・Pouilly
・Vers Cras(Solutré-Pouilly 側)
・Aux Bouthières

<FUISSÉ>(フュイッセ:7クリマ)
・Le Clos
・Les Brulés
・Les Ménétrières
・Les Perrières
・Les Reisses
・Les Vignes Blanches
・Vers Cras(Fuissé 側)

<CHAINTRÉ>(シェントレ:4クリマ)
・Aux Quarts
・Le Clos de Monsieur Noly
・Le Clos Reyssier
・Les Chevrières

Vers Cras だけはソルトレ・プイィとフュイッセの2村にまたがるので2回出てきています。


そもそもAOCプイィ・フュイッセってどこよ?という方のためにマコネの地図を見ます。
Macon_Villages_2
右の簡易ブルゴーニュ地図でコートドール(コート・ド・ニュイ+コート・ド・ボーヌ)、コート・シャロネーズに続くのがマコネとだいたいの理解をしてください。AOCマコンの範囲とほぼ同義で、AOC Mâcon赤・白・ロゼ がOKで、地図上の白文字のコミューンではコミューン名が付記できます。(例:AOC Mâcon Verzé)※詳しくは過去記事のMâconMâcon Villagesで触れています。
 AOC Mâcon Villages という上級のエリアのものは白のみになります。白のみというのがAOC Mâconとの大きな違いです。「Villages」と付きますが地域名アペラシオン(Appellation Régionale)です。

そして、村名アペラシオン(Appellation Village)が以下の5つあり、地図でわかるように、AOCヴィレ・クレッセ以外は南側に集中しています。これらも白のみのAOCです。

AOC Viré-Clessé
-----------------------
AOC Pouilly-Fuissé
AOC Pouilly-Loché
AOC Pouilly-Vinzelles
AOC Saint-Véran

AOCヴィレ・クレッセ(AOC Viré-Clessé)、AOCプイィ・フュイッセ(AOC Pouilly-Fuissé)、AOCサン・ヴェラン(AOC Saint-Véran)は複数のコミューンに渡っています。(黒丸を置いたコミューンがAOCサン・ヴェランです。)AOCプイィ・フュイッセの東側のAOCプイィ・ロシェ(AOC Pouilly-Loché)とAOCプイィ・ヴァンゼル(AOC Pouilly-Vinzelles)は単独の村名AOCです。

さあ、やっとAOCプイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)に辿り着いたので拡大して見ます。
PouillyFuisse
黄色で囲った4村、ヴェルジソン(Vergisson)、ソルトレ・プイィ(Solutré-Pouilly)、フュイッセ(Fuissé)、シェントレ(Chaintré)が AOC Pouilly-Fuissé を構成。
フュイッセ(Fuissé)村の東側が、プイィ・ロシェ(Pouilly-Loché)と、プイィ・ヴァンゼル(Pouilly-Vinzelles)の単独村名AOCです。
サン・ヴェラン(Saint-Véran)が少しややこしいです。Saint-Vérand という「d」のついた村はありますが、AOCの範囲はその村よりはるかに北側に広く、かつ、Pouilly-Fuissé AOC によって2つの部分に分断されています。北側は、プリセ(Prissé)ダヴィエ(Davayé)の村からなり、AOC Pouilly-Fuissé の Solutré-Pouilly も Saint-Véran が名乗れるそうですが、普通有名な方を名乗りますよね(笑)。南側は、シャスラ(Chasselas)、レイヌ(Leynes)、シャンヌ(Chânes)、サン・ヴェラン(Saint-Vérand)で構成されます。サン・ヴェランのすぐ南側のサン・タムール・ベルヴュ(Saint-Amour-Bellevue)というところも白なら Saint-Véran AOC が名乗れるそうですが、赤(ガメ)を作ればクリュ・ボジョレーのサン・タムール(Saint-amour)です。この村はマコネとボジョレー両刀使いということです。

上の地図のブルーの四角で囲った部分を拡大して今日の1級畑の場所を探します。
LaRoche_2
ヴェルジソン(Vergisson)村はロシュ・ド・ヴェルジソン(La Roche de Vergisson)という岩山の周辺になるんですが、今日のシュル・ラ・ロシュ(Sur La Roche)の畑はその岩山のなだらかな面のふもとに広がっています。(黄色で囲って示しています。)
今日の作り手のドメーヌ・ソメーズ・ミシュランの場所も描き込んでいます。シュル・ラ・ロシュの最大区画の1.65ヘクタールを所有しているそうで、3分の2が樹齢35年で、残り3分の1が樹齢90年だそうです。
有名なソルトレの奇岩(ロシュ・ド・ソルトレ:La roche de Solutré)とロシュ・ド・ヴェルジソンのツーショット写真を添えて、それぞれの場所を示しておきました。プイィ・フュイッセの圧倒的なテロワールを感じるいい写真ですね。


エチケット平面化画像。
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1枚ものでワインの説明にビオディナミを実践していると書いてあります。

裏にはインポーターシールだけです。
IMG_8887B


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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コルクにはこだわっているのか、HPにはコルクの解説がまるまる1ページありました(笑)。

Alc.14.5%。
蜂蜜のような濃いイエロー。
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リンゴ、花梨、バニラかローストナッツ。
辛口アタック。
なめらかな酸味はドラマチック。
味も蜂蜜を溶いたようなほのかな甘みがあり、
複雑味・厚みというものがこれでもかと出ています。
フィニッシュまでは、最初の酸がうまうましくエスコート。
プイィ・フュイッセ、ほんとドラマチックなワインでした。


*****


Domaine Saumaize-Michelin
Pouilly-Fuissé Sur La Roche
(Premier Cru) 2019
WWWポイント80点



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Domaine de Terres Blanches Alchimie Sauvignon Blanc 2019 Coteaux du Giennois

スーパーで見つけたロワールのソーヴィニヨン・ブランです。ニュージーランドほか新世界が続いていたのでフランスのソーヴィニヨン・ブランは久しぶりです。産地はコトー・デュ・ジェノワCoteaux du Giennois)ですね。サンセールやプイィ・フュメは飲んでるんですが、コトー・デュ・ジェノワはまだ試したことのないところでした。

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作り手はドメーヌ・ド・テール・ブランシュ(Domaine de Terres Blanches)と言いますが、プイィ・シュル・ロワール(Pouilly sur Loire)に本拠地があるメゾン・サジェ・ラ・ペリエール(Maison Saget la Perrière)という大手メゾンが、サンセール(Sancerre)のすぐ隣のブエ(Bué)というコミューンに売りに出されていたワイナリーを1998年に取得、2014年にファーストヴィンテージをリリースしたばかりの新しいところです。
(メゾン・サジェ・ラ・ペリエールはプイィ・フュメからペイ・ナンテまで、今日のドメーヌ・ド・テール・ブランシュ含め計5つのワイナリーを所有し、ロワール全域をカバーしています。)

ドメーヌ・ド・テール・ブランシュはサンセールとコトー・デュ・ジェノワに35haの畑を所有。2013年から世界的に著名な醸造家&コンサルタントのステファン・ドゥルノンクール(Stéphane Derenoncourt)さんにコンサルタントを依頼し、テロワールの個性が見事に表現されたワインを2014年にリリース、ドメーヌ・ド・テール・ブランシュという名前もこの時つけられました。「Terres Blanches(白い土地)」とはサンセールとコトー・デュ・ジェノワのミネラル豊富な粘土石灰質(キンメリジャン)の土壌を指す言葉です。「そのままやん」という名前のドメーヌです(笑)。

※サンセールやプイィ・フュメ(Pouilly-Fumé)のエリアでは、テール・ブランシュ(Terres Blanches)の他、石灰岩の小石からなるカイヨット(Caillottes)、火打ち石や粘土を含んだシレックス土壌(Silex)が特徴的です。


公式ページは新しいドメーヌだけあってスクロール式の今風です。ワイン紹介もしっかりあり。

ワイン紹介もデータシート完備です。

・ソーヴィニヨン・ブラン 100%

AOCコトー・デュ・ジェノワ(Coteaux du Giennois)に属するボニー・シュル・ロワール(Bonny sur Loire)のコミューンにある畑から。ロワール川を見下ろす珪質粘土土壌(ケイ酸塩?Silexっぽい?)のテラスに植えられているそうです。低温浸漬でしっかりと落ち着かせた後、温度調節付きタンクで20日間発酵。ソーヴィニヨン・ブランのフレッシュさを引き出し、セラーのタンクで4~6ヶ月熟成されます。
サンセールの単一畑ものがフラッグシップとすれば、このコトー・デュ・ジェノワはエントリーラインということのようですが、しっかりこのあたりのテロワールを表現できているそうです。

フランス原産ソーヴィニョン・ブランです。ロワールではブラン・フュメ(Blanc Fumé)とも言われ、AOC Pouilly-Fumé も AOC Blanc Fumé de Pouilly と表記しても構いません。
SauvignonB
ソーヴィニヨン・ブランは以前より、母方が「Savagnin=Traminer」という品種自体の具体的な存在が未確認の理論上の品種ということになっていましたが、最近のデータでは「サヴァニャン・ブラン(Savagnin Blanc)」で確定したようです。しかし、父方は依然不明のままです。実はピノ・ノワールも母方がサヴァニャン・ブラン(Savagnin Blanc)で父方不明ということになっています。面白いですね。
じゃあ、サヴァニャン・ブランとは何ぞや?ということになりますが(笑)、これがまたややこしい。シノニムが「トラミナー(Traminer)」、突然変異で果皮色がロゼのサヴァニャン・ロゼ(Savagnin Rose)となり、更なる突然変異でゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)が生まれたとされています。
世界中で栽培されるポピュラーな品種ですが、全世界で124,700haの栽培面積(2016年)で、その内フランスが28,084haですから、本家フランスは1/4(23%)程度ということになります。以下、ニュージーランド(20,497ha)、チリ(14,999ha)、南アフリカ(9,246ha)、アメリカ(6,747ha)、モルドバ(6,909ha)、オーストラリア(6,044ha)と続きます。ニュージーランドを筆頭に新世界すごいですね。


ドメーヌ・ド・テール・ブランシュを訪問。まだ新しい建物です。
Dom.TerresDBlanches
サンセール(Sancerre)の町の南西、車で8分くらいの所にあります。付近も一面畑でワイナリーもたくさんありますね。


AOC コトー・デュ・ジェノワ(Coteaux du Giennois)の範囲をINAOの地図で確認。
INAO_CDG
今日のワインの畑があるというボニー・シュル・ロワール(Bonny sur Loire)もどこかわかりました。ロワール川を見下ろす珪質粘土土壌のテラスというのがどこかわかりませんが(笑)。

サントル・ロワール(Centre-Loire)/サントル・ニヴェルネ(Centre Nivernais)の地図で他AOCとの位置関係を確認。ドメーヌ・ド・テール・ブランシュの所在も書き込んでいます。
Loire_Centre-Nivernais
プイィ・フュメ(Pouilly-Fumé)、プイィ・シュル・ロワール(Pouilly-sur-Loire)やカンシー(Quincy)は白で示してありますが、白ワインのみのAOCという意味です。サンセール他には大抵赤もロゼもあります。もちろんコトー・デュ・ジェノワ(Coteaux du Giennois)も赤・白・ロゼありです。赤・ロゼはピノ・ノワールとガメが認められています。

ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
Loire_s
ひと筋縄ではいかないロワールの全体像が見られていい地図だと思います。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

わかりやすくていいサイトです。


エチケット平面化画像。
IMG_9008
シンプルなラベル。ミレジムもAOCも裏ラベル見ないとわかりませんでした。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
IMG_9029
この線がトレードマークなんですね。

Alc.13.5%。
オレンジ味ある濃いめのイエロー。
IMG_9030

夏ミカン、グレープフルーツ、洋梨かリンゴの皮。
香りは多めです。
辛口アタック。
リンゴ風のうまさ、コクもあります。
ミネラル感というのかスモーキーな風味。
とにかく酸と複雑味のバランスが絶妙です。
後味も印象的でした。

とにかく今まで試したソーヴィニヨン・ブランの中でも
別格なくらいいいですね。
ここのサンセールならどうなんでしょう。気になる~。


*****


Domaine de Terres Blanches
Alchimie Sauvignon Blanc 2019
Coteaux du Giennois
WWWポイント80点



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Ernest Papeneau Brut Millésime 2008 Champagne

毎度のことながら欠かさずコストコ偵察をしているんですが、やはりモノによってはとてもお安いですね。シャンパーニュのシャンパーニュ(当たり前。笑)が税込1,998円というのがネットでも話題になっていました。しかし、注目したのはノン・ミレジメの最安ではなく、一緒に置いてあったミレジメ(ヴィンテージ)の税込2,998円の方です。確かに1000円高いですが価値はこっちの方が数段上という認識です。最安のシャンパーニュ・ミレジメ2008、どんなものだかお試しです。

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コストコ直輸入なので安いという一面は当然あると思いますが、その安いシャンパーニュをどこが作ってるんだろうと気になりますよね。調べるとなんと、ごくごく真っ当な(笑)、1869年創立の老舗メゾン、G.H.マーテル社(G.H. Martel)ということがわかりました。自社所有の畑は約200ヘクタールと大手メゾンと肩を並べる規模だそうで、NM(Négociant-Manipulant)というカテゴリーに入ります。
G.H.マーテル社は1901年に今日のシャンパーニュの名前にあるエルネスト・ラペノー(Ernest Papeneau)さんが買収し、同時にエペルネに「Ernest Papeneau」というメゾンを立ち上げています。以降、ラペノー家がG.H.マーテル社を経営しているんですが、メゾン・エルネスト・ラペノーは温存し、「Ernest Papeneau」をG.H.マーテル社の最多販売ブランドとしています。これをコストコが買い付けたということですね。

こんな感じでコストコのワイン売り場に並んでいます。
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ワインの解説もしっかりされていて量販店とはいえ好感が持てます。

エルネスト・ラペノーの公式ページはG.H.マーテルの公式ページとは別に独立しています。

そしてG.H.マーテルのHPにはエルネスト・ラペノーは載っていない、という関係です。

・シャルドネ 59%
・ピノ・ノワール 26%
・ピノ・ムニエ 15%

実はエルネスト・ラペノーのHPにもノン・ミレジメのラインアップのみで、今日のミレジメは載っていません。良年にしか作らないのかもしれませんね。ということで、ノン・ミレジメとミレジメのおさらいをしておきましょう。

ノン・ミレジメNon-Millésimé):
「ノン・ヴィンテージ(ノンヴィン)」のことで、複数の収穫年にまたがったワイン(リザーブワイン)をブレンドして造られます。シャンパーニュの通常の作り方がコレです。瓶詰め後、最低15ヶ月の熟成が義務付けられています。

ミレジメMillésimé):
今日のシャンパーニュは2008年のミレジメです。
単一の収穫年のブドウを80%以上使用したシャンパーニュは生産年を表記できます。(既定の厳しいフランスにおいて100%ではないところに注目。これもシャンパーニュ特権か?)「ヴィンテージ・シャンパーニュ」とも呼ばれます。フランスの瓶詰め後、3年(36ヶ月)以上の熟成が義務付けられています。


「Ernest Papeneau à Épernay」とラベルにあるのでエペルネの町でエルネスト・ラペノーを探すと、G.H.マーテルと書かれていますが確かにそれらしきところがありました。
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もともとG.H.マーテル社はエペルネに近いアヴネ・ヴァル・ドール(Avenay Val d’Or)という町に創業しています。メゾン・エルネスト・ラペノーをエペルネに置いたのも何か関係があるのかもしれません。

で、本体のG.H.マーテル社はシャンパーニュの中心地ランス(Reims)にあります。
Ernest_Rapeneau02
ただし、G.H.マーテル社のロゴや「G.H. Martel」ブランドのシャンパーニュのラベルにもエペルネと書いてあるので、登記上の本社は先ほど見たエペルネの方なんでしょう。


いつものシャンパーニュのGoogle Mapで位置関係を見ておきましょう。
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ずいぶん昔に描いた地図を流用していますので、いろいろ気になるところが多いですがご了承を。そろそろ描き直さないといけないですね。そのためには…上等シャンパーニュをいただかなくてはなりません(笑)。


エチケット平面化画像。裏ラベルでコストコ直輸入なのがわかります。
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NM (Négociant-Manipulant)の表示が入ってますね。ネゴシアン・マニピュラン等の種別は表示義務があります。以下にまとめます。

NMNégociant-Manipulant):
自身の所有するブドウ畑のほかに、ブドウやムー(果汁)、または原酒を購入し、自身の工場での醸造に使用している個人または法人。シャンパーニュのグラン・メゾンは全てこのカテゴリーに入ります。
RMRécoltant-Manipulant):
自身のブドウ収穫のみで作られた原酒を使って醸造を行い、それを販売。
CMCoopérative de Manipulation):
協同組合が組合員より仕入れたブドウを使って、自身の醸造所でワイン醸造を行い、協同組合のブランドで販売。
RCRécoltant Coopérateur):
醸造設備を持たない栽培農家が共同組合の設備を使用して醸造を行い、自身のブランド名で販売。
SRSociété de Récoltants):
同族の栽培者(複数のレコルタン・マニピュラン)が収穫したブドウを使って共同で醸造を行い、それをオリジナルブランドで販売。
NDNégociant Distributeur):
製造済みのボトル入りワインを購入し、自工場でラベルを貼付け、自社ブランドで販売。
MAMarque d'Acheteur):
顧客のリクエストにより造られ、顧客名を冠して販売される。(百貨店やスーパー、ホテルなどがプライベートブランドとして生産を依頼するケースが多い。)


さあ、抜栓。
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DIAMのコルクにもしっかりミレジム(2008)が入っています。

Alc.12%。
緑がかったゴールドイエロー。14年経っても若々しい印象です。
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泡の立ち上がり方や量を動画にてお送りします。


香り高い黄桃、リンゴ。
香ばしいトースト香もあります。
キリッとした酸が最初の味を盛り立てる導入になっています。
苦味にも似たミネラル感もあって、味に厚みを持たせます。
爽やかな果実味の後味が尾を引きます。

うまし。腐っても(失礼!)ミレジメです。
そこら辺のスパークリングとは一味違います。


*****


G.H. Martel & C° 
Ernest Papeneau à Épernay
Brut Millésime 2008
Champagne
WWWポイント80点



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熊本ワインファーム 菊鹿シャルドネ

この夏、熊本ワインを訪れ、「菊鹿シャルドネ」をゲットしてまいりました。日本ワインもいろんなところで作られてるんだな~と実感するとともに、ワインの一期一会って大切だな~と思い知った旅でありました。というのも、今回の旅は夏の家族旅行で、目的地は鹿児島・指宿温泉なのですが、たまたま熊本まで足を延ばしたところ、思いもよらずこのワインに出くわしてしまった…ということなのです(笑)。

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この「菊鹿」という独特な字体のラベルはよく見かけていて記憶にはありました。ただ今回ワイナリーを訪れるまで、熊本のワインだなんて知らなかったんですよね(笑)。1999年創業のワイナリーで、熊本県北部の山鹿市菊鹿町(きくかまち)に菊鹿ワイナリーを持っていて、今日のワインのブランド名にもなっています。熊本市内にも西里醸造所という拠点があり、今回はこちらのショップに訪問しました。

鹿児島に空路で入ったんですが、ちょっと足を延ばして熊本城を見学しました。
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2016年(平成28年)4月に発生した熊本地震から6年、天守閣は昨年復旧し非常にきれいになっていました。しかし、城内の石垣などまだまだ被害の爪痕は残っており、完全復旧には時間がかかるそうです。

そして、たまたまGoogle Mapで見つけたここに少し足を延ばしたという顛末です。
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ここが熊本ワイナリー西里醸造所ですが、熊本城から車で15分という距離です。直営ショップ併設で試飲もできます。今回は見てませんが醸造所をガラス越しに見ることもできるようです。

「これが菊鹿シャルドネか~」と、なかなか雰囲気の良い店内を物色。
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店員さんからも「賞を獲ってるんですよ」と説明をいただきましたが、シャルドネ・デュ・モンドのメダルを受賞というディスプレイが誇らしげに飾ってありました。「そりゃあすごい!」と、その「樽熟成シャルドネ」をくださいなと言うと、なんと品切れとのこと(!)。最新ヴィンテージが明日発売なので明日来れば買えますとのことでしたが、もともと無計画な訪問なので明日は明日で予定があります(笑)。「明日発売のワイン、もうここにあるんでしょ? 今日売ってもらえません?」と無茶なお願いをしてみましたが「NO」とのことでした(笑)。

仕方がないので、樽熟成でない普通の「菊鹿シャルドネ」を買うことにしましたが、ディスプレイを見るとこちらも2022年のシャルドネ・デュ・モンド(Chardonnay du Monde® 2022)で樽熟成と同じ「銀メダル」を取っているようです。ネットで調べてみると…ホンマや~!
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樽熟じゃない方もこれはこれですごいかもです。一応、そもそものこの賞はどんなものかと聞いてみたところ、フランスで世界のシャルドネを対象にやっている名の通ったコンペなんだそうで、日本のワインがここで評価されるのがすごいことなんだとか。2022年は世界から546のワインが参加し、金メダルが56個、銀メダルが122個選ばれているようです。ちょっと微妙な気もしますが、世界の舞台で日本のシャルドネが評価されるというのは快挙と呼べそうです。


熊本ワインファームの公式ページはこれ。

ここから、熊本ワイナリーと菊鹿ワイナリーそれぞれのホームページへ飛べます。

こちらが菊鹿ワイナリーの公式ページ。単独のURLになっています。

ワイン紹介の情報が薄いのでネットを調べると、プレスリース記事(国際的品評会「Chardonnay Du Mond 2022」にて「菊鹿 シャルドネ」が日本国内で唯一となるシルバーメダル受賞)があり、そこに詳しく書かれていました。

・シャルドネ 100%

菊鹿町産シャルドネを100%使用。醸造スタイルはステンレスタンクで発酵させたワインをその発酵後、樽で熟成させたワインとブレンドを行うとのこと。「樽熟成」とは書いてませんが、こちらもまったく樽を使ってないわけじゃないんですね。また、ラベルにミレジム表示がないのでNV(ノン・ヴィンテージ)というのは承知していましたが、収穫時やワインのコンディションにより(複数年の)ブレンド比率を変えながら、フレンチオークのアクセントをイメージし醸造を行っているとのことです。

今回訪問できなかった菊鹿ワイナリーです。熊本県北部、山鹿市 菊鹿町にあります。
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ストビューで近づけなかったのでHPから写真を拝借しています。カッコいいですよね。時間があれば行ってみたかったです。今回訪問の熊本ワイナリーから車で北上すること45分かかります。


熊本県~九州をGoogle Mapで俯瞰して位置関係を見ます。
熊本県
熊本(市)は今回ずいぶん久しぶりに訪れました。熊本城は今回が初めてです。阿蘇は大分県側から何度も行ってるんですけどね。しかし、今回のように行ってみなきゃ出会わないワインってあるんですよね(笑)。ワインも一期一会が大事です。


ラベル平面化画像。
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和紙調のラベルに毛筆字体で「菊鹿」。かっこいいです。


さあ、抜栓。
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キャップシールの「菊」、ええ感じです。

コルク平面化。
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DIAM…1かな?

Alc.13%。
青リンゴ、白い花。
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うまい酸の辛口アタック。
ミネラル感ハツラツ。
ふっくらした味わいで立体感があります。
柑橘系のようなお決まりの風味じゃない、
いい風味の酸がとてもいい具合です。
やっぱり樽もいい効果が出てると思われます。

これは銀メダルもうなづけますよ。
少ない自分のシャルドネ経験上ですが最高レベルです。


*****


熊本ワインファーム
菊鹿シャルドネ
WWWポイント80点



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Auntsfield Single Vineyard Sauvignon Blanc 2020

連日暑い日が続くと冷え冷えの白ワインがおいしいですね。そして、そんな時選ぶワインの筆頭はやはりニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン。今日はこだわりのワインショップのおすすめワインを選んでますので楽しみです。

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アンツフィールド(Auntsfield)は、1873年にデビッド・ハード(David Herd)さんが設立したというマールボロの最初の(商業用)ワイナリーなんだそうです。(ちなみにニュージーランドの建国は1840年です。)その後ワイナリーは衰退してしまったんだそうで、グレイム&リンダのカウリー夫妻(Graeme & Linda Cowley)がこのワイナリーを手に入れた時はブドウの木が一本もなかったといいます。しかし、夫妻がワイナリーの歴史を調べてみると驚愕の事実を発見、なんとマールボロ最古のワイナリーだったというわけです。
現在は息子のベンさんとリュックさん(Ben &Luc Cowley)兄弟がそれぞれ栽培家とワインメーカーの立場で運営され、伝統を守りながら現代的なワイナリーとして蘇らせています。

公式ページは内容も充実、マールボロ最古のワイナリーに誇りを持ってるのがわかります。

ワイン紹介もヴィンテージ毎にデータシートを完備です。

・ソーヴィニヨン・ブラン 100%

基本はステンレスタンクでの培養酵母による低温発酵、発酵・熟成ですが、一部手摘み収穫した全房を圧搾、オーク樽での発酵・熟成をしたものをブレンドし、結果としてフレッシュフルーツ感と複雑味やミネラル感を合わせ持ったワインに仕上がるそうです。

アンツフィールドを訪問します。敷地も広くストビューでは中へ入れませんでした。
Auntsfield01
創設当時のオリジナルのセラードアが復元されてるらしいので敷地の中に入って探してみたかったんですが…。

表ラベルのイラストと、復元されたセラードアの現在の様子と当時の写真の比較。
Auntsfield000
昔はワイナリーと言ってもシンプルで質素な感じだったんですね。


ラベルには産地がマールボロのサブリージョン「Southern Valleys」となっています。
Southern_Valley
どこだろうなと思っているとHPに地図付きで解説がありました。「Wairau Valley」や「Awatere Valley」といった近隣のサブリージョンもわかりました。地図上のサザン・ヴァレーズのところの[A]のマークがアンツフィールドの場所です。マールボロの中心地ブレナム(Blenheim)から車で10分ほどですからそんなに不便な場所でもありません。


ラベル平面化画像。
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エンボスで[A]EST.1873 と入ってます。やはり最古のワイナリーの歴史自慢です。

裏ラベルは隠れていませんでした。
IMG_8426


さあ、スクリュー回転。
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キャップにも「A」のエンボスが入っています。

Alc.13%。
薄いレモンイエロー。
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青リンゴ、ライム。
王道の緑のニュアンスもありました。
甘み思わせるきれいな酸が乗った辛口アタック。
ダシっぽい旨味が奥にあるのがわかります。
柑橘系ではありますが、夏ミカンかグレープフルーツの風味。
全てが程よいバランスで飲んでいて感動します。

やはり「ソーブラはニュージー」のようです(笑)。


*****


Auntsfield Estate
Single Vineyard Sauvignon Blanc 2020
WWWポイント80点



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Rascallion 33 1/3 RPM 2020

ワインショップの店頭で面白いラベルが目を引きました。これレコードだよね? と、よく見ると、33 1/3 RPMとあります。これ、LPレコードの回転数の表示です。昔はレコードをかける前に33回転か45回転か切り替えてたんですよね。…などと懐かしく思いつつこのワインをジャケ買いしました。南アフリカのワインと知ったのはあとからです(笑)。

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ラスカリオン(Rascallion Wines)という2018年に設立された割と新しいネゴシアンの扱うワインです。ステレンボッシュを拠点とし、ステレンボッシュ(Stellenbosch)、スワートランド(Swartland)、ダーリング(Darling)、ロバートソン(Roberston)、ピエケニエスクルーフ(Piekenierskloof)のパートナー・ワイナリーから完成したワインを調達しているそうです。

公式ページはネゴシアンらしくシンプルにワインの紹介とショップサイトのリンクです。
Rascallion
今日のワインも載ってますが2017年と少し情報は古いようです。

・シュナン・ブラン 40%
・グルナッシュ・ブラン 30%
・ヴィオニエ 20%
・シャルドネ 10%

2020のセパージュ情報はネット上まちまちでしたので、このワインを買ったショップ(The Winery)のサイトの情報を採用しようとしましたが、なんとラベルにセパージュ情報を見つけました。HPには南部ローヌ・スタイルなんて紹介が書いてますが、それなら(Côtes du Rhône Blanc)、グルナッシュ・ブラン、クレレット、マルサンヌ、ルーサンヌ、ブールブラン、ヴィオニエが主要品種なのでシュナン・ブラン主体であればちょっと外してる感じがします。ブドウの出どころも、W.O. Western Cape とあるだけで細かい産地は不明です。

作り手、じゃなくてネゴシアン訪問~と思いましたがはっきりした場所がわかりません。
Rascallion01
2018年創立なのでGoogle Mapやストビューの更新が追い付いてないようです。ステレンボッシュの鉄道駅のすぐ近くであることはわかったんですが…。(写真はHPより。)

Western Cape 中心部の地図でステレンボッシュの位置関係を確認します。
South_Africa_WO_WesternCape
ステレンボッシュ(Stellenbosch)、スワートランド(Swartland)、ダーリング(Darling)、ロバートソン(Roberston)、ピエケニエスクルーフ(Piekenierskloof)のパートナーから完成したワインを調達しているということでしたが、かなり広範囲に及んでいることがわかります。

ピエケニエスクルーフ(Piekenierskloof)というのは初耳でしたが、オリファンツ・リバー(Olifants River)のサブリージョンになるシトラスダル・マウンテン(Citrusdal Mountain)の山間にある畑の名前のようです。オリファンツ・リバー含む地図で場所を見てみましょう。
Western_Cape_SA
オリファンツ・リバーはスワートランドのさらに北のエリアで、Google Map転記では省いてしまっていました。いずれ完全版を描かないといけないかな~と課題に感じています(笑)。

とりあえず、今日は南アフリカの「W.O.(Wine of Origin)Western Cape」の構成を表にまとめておきましょう。太字は上の地図で表されている Region、District になります。
Region Subregion District Ward
Cape South - Cape Agulhas Elim
Coast
Elgin -


Lower Duivenhoks River -


Overberg Elandskloof/Kaaimansgat



Greyton



Klein River



Theewater


Plettenberg Bay -


Swellendam Buffeljags



Malgas



Stormsvlei


Walker Bay Bot River



Hemel-en-Aarde Ridge



Hemel-en-Aarde Valley



Sunday’s Glen



Springfontein Rim



Stanford Foothills



Upper Hemel-en-Aarde Valley


- Herbertsdale



Napier



Still Bay East
Coastal - Cape Town Constantia
Region

Durbanville



Hout Bay



Philadelphia

Cape West Coast Darling Groenekloof

- Franschhoek / Franschhoek Valley -

Cape West Coast Lutzville Valley Koekenaap

- Paarl Agter-Paarl



Simonsberg-Paarl



Voor-Paardeberg


Stellenbosch Banghoek



Bottelary



Devon Valley



Jonkershoek Valley



Papegaaiberg



Polkadraai Hills



Simonsberg-Stellenbosch



Vlottenburg


Swartland Malmesbury



Paardeberg/Perdeberg



Paardeberg South



Piket-Bo-Berg



Porseleinberg



Riebeekberg



Riebeeksrivier

Cape West Coast
St Helena Bay

- Tulbagh -


Wellington Blouvlei



Bovlei



Groenberg



Limietberg



Mid-Berg River

Cape West Coast - Bamboes Bay



Lamberts Bay
Breede River - Breedekloof Goudini
Valley

Slanghoek


Robertson Agterkliphoogte



Ashton



Boesmansrivier



Bonnievale



Eilandia



Goedemoed



Goree



Goudmyn



Hoopsrivier



Klaasvoogds



Le Chasseur



McGregor



Vinkrivier



Zandrivier


Worcester Hex River Valley



Nuy



Scherpenheuvel



Stettyn
Klein Karoo - Calitzdorp Groenfontein


Langeberg-Garcia -


- Cango Valley



Koo Plateau



Montagu



Outeniqua



Tradouw



Tradouw Highlands



Upper Langkloof
Olifants River - Citrusdal Mountain Piekenierskloof


Citrusdal Valley -


- Spruitdrift



Vredendal
- - Ceres Plateau Ceres


Prince Albert Kweekvallei



Prince Albert Valley



Swartberg


- Nieuwoudtville



Cederberg



Leipoldtville-Sandveld
この情報は Wines of South Africa (WOSA) のサイトに上がっているPDFから拝借したものですが、これが公式であり最新の情報のようです。例えば、地図にあった Constantia は単独の District ではなくなり、Cape Town の中に含まれてしまったようですし、Cape Point(Cape Peninsula)については2017年に廃止されて、Cape Town と一体化しています。また、Tygerberg というのも同じく2017年に廃止されています。ますます新規地図を描く必要性を感じてきました(笑)。

Western Cape が最大かつ最重要な W.O. ですが、一応、Northern Cape や Eastern Cape など、その他のエリアでもワインは作られれています。が、今は無視していいでしょう(笑)。


ラベル平面化画像。
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こうするとレコードらしく見えますね。このワイン、ビニール・シリーズ(Vinyl はレコードのこと)ということで赤ワインブレンドの45回転(45 RPM)もあります(笑)。

インポーターシールです。
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インポーターはマスダ。南アフリカを専門にやってます。HPは南アフリカワインの解説なんかも充実しているので参考になります。ここも参考まで)


さあ、スクリュー回転。
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ネックにはお馴染みSAWIS(South African Wine Industry Information and Service)のシールサーチの情報につながるコードが貼られています。

Alc.13.5%。
きらきらイエロー。
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リンゴ、パイン、梨。
フルーティさにじむ辛口アタック。
ふくらみのあるリッチな味わい。
安白のシャバシャバ感が全くないのがうれしいです。
南アらしく果実味しっかりしてるんですが、
甘ったるくないのが好印象でした。

とってもいい。
こういうの好きです。


*****


Rascallion
33 1/3 RPM 2020
W.O. Western Cape
WWWポイント80点



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Egon Müller Scharzhof 2019 Riesling QbA

家飲みがすっかり定着している今日この頃。都会でちょっといいワインもいただかねばと久しぶりに出かけました。お目当ては、ドイツワインの頂点に君臨するというエゴン・ミュラーです。白ワインの最高峰とも言われるリースリングのお味とは…。

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エゴン・ミュラーの歴史は古く、フランス革命後まで遡ります。11世紀、ドイツではベネディクト派の修道院により、現在のオルツタイルラーゲと呼ばれている特別単一畑の一つ、シャルツホーフベルクが開墾されましたが、フランス革命時に革命政府が没収。しかしその後1797年、コッホ家がこの土地をフランス政府から譲り受けることとなり、当時コッホ家の婿として迎えられた人物がエゴン・ミュラー1世であったことから、エゴン・ミュラー・ワインの歴史が始まりました。…と、エノテカのサイトからコピペしておきます。

今回は写真の3種がお試しできましたが、選んだのは一番辛口のシャルツホーフ(一番左)。
IMG_1587
これはクヴァリテーツワイン(Qualitätswein)、いわゆる QbA(Qualitätswein bestimmter Anbaugebiete =特定産地上質ワイン)に当たり、エゴン・ミュラーではエントリークラスになるようですね。残りの2つは、シャルツホーフベルガー・リースリング・カビネット(Kabinett:通常収穫の完熟ブドウ、最低エクスレ度:67〜82)とシュペートレーゼ(Spätlese:Kabinettより7日間以上遅い遅摘み、最低エクスレ度:76〜90)で、甘口になります。

公式ページは…なんと工事中。困りますね~。

エノテカのHPなどを参考にします。

・リースリング 100%

自社畑で収穫したブドウをブレンドして造られる、以上の情報は見当たりませんでした。早く公式ページ復旧いただきたいですね。

エゴン・ミュラーを訪問します。ヴィルティンゲン(Wiltingen)という町です。
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コンツ(Konz)の町でモーゼル川に合流するザール川(Saar)の近くです。モーゼル地域に6つあるベライヒで言うとザール(Bereich Saar)のエリアになります。

モーゼルは13ある特定生産地域のひとつです。Google Mapで俯瞰してベライヒやエゴン・ミュラーの所在を確認します。
Mosel_All_Final
6つのベライヒがありますが、それぞれの栽培面積を見ます。

・Bernkastel(5,618 ha)<Trier ~ Briedel>
・Burg Cochem(1,168 ha)<Zell ~ Koblenz>
・Saar(799 ha)<Serrig ~ Konz>
・Obermosel(749 ha)<Palzem ~ Igel>
・Ruwertal(197 ha)<Sommerau ~ Ruwer>
・Moseltor(125 ha)<Perl / Saarland州>

ベルンカステル(Bereich Bernkastel)が圧倒的に規模が大きいですね。<>内は対象範囲の町の名前です。

ドイツ全体の地図を見ます。13のワイン生産地域の中での位置関係はこうです。
German_Wine_Regions
モーゼルは白ワインがかなりを占めているのがわかります。こんな割合。

・白品種 90.7%(7,850 ha)
・赤品種 9.3%(805 ha)

品種はリースリングが大半です。以下が上位3品種。

・リースリング 62.5%(5,412 ha)
・ミュラー・トゥルガウ 9.4%(813 ha)
・エルプリング(Elbling) 5.4%(465 ha)

以上、上位3品種が全部白。4位にピノ・ノワール(4.8%)が来ます。


ラベル普通に撮影画像。
IMG_1603
最新のiPhone13に機種変したんですが、パノラマ撮影でラベルの平面化がうまくできないことに気づきました。最悪です。iPhone SEに再機種変しないといけないのか?(涙)

さあ、いただきましょう。
Alc.10.5%。
淡い淡いゴールド。
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レモンライム。
ぺトロール香しっかりありますが、楽しめる爽やかな香り。
ミンティーに鼻腔へ入ってきます。
アタックでクールな甘味が入ってきます。
キリッとした酸です。
ミネラル感も見事に融合してます。

確かに次元の違ううまさです。
甘いリースリングもいいですね。


*****


Egon Müller
Scharzhof 2019
Riesling QbA
WWWポイント80点



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Antonio Montero Godello 2020 Monterrei

店頭で見つけたスペインの白ワイン。DOモンテレイ(Monterrei)はガリシア州のDOを調べた時に見た記憶があります。品種はゴデージョ(Godello)。これは初めての品種で、予備知識もなにもありません。これは試してみないといけませんね。ガジェゴ(Gallego=ガリシア語)を話す独特な文化のガリシア州のDOも再度深掘りしてみましょう。

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作り手のアントニオ・モンテロはガリシア州のDOリベイロ(DO Ribeiro)に3世代に渡って続く家族経営のワイナリーです。1970年にバルクワインの販売から始まり、1980年には元詰めを開始、2009年からは今日のワインのDOモンテレイに進出と、ラインナップ拡充と共に発展してるようです。

公式ページは情報しっかりとしていて助かります。

2019のデータですが今日のワインもちゃんと情報ありました。

・ゴデージョ 100%

卓上で選果したゴデージョを温度調節機能付きステンレスタンクで発酵。樽はないですね。インポーター(正光社)のHPにも若干の作り手の情報があります。

日本では「ゴデーリョ」と書いてたりしますが、正しい発音はゴデージョ(Godello)です。
Godello
ガリシア州のシル川(Río Sil)のほとりが原産と考えられるこの地方のローカル品種です。隣のポルトガルでも「Gouveio」という名前で栽培されています。2013年に実施されたDNA分析では、おそらくSavagnin Blanc(Traminer)と Castellana Blanca の間の自然交配とみられます。Castellana Blanca はよく知りませんが、この辺り(アントニオ・モンテロのあるDOリベイロ)では、Treixadura、Torrontés、Loureira…など白ブドウだけでも結構な種類のローカル品種があります。(トロンテスはアルゼンチンのそれとは別物です。)

DOモンテレイ(DO Monterrei)では、今日のゴデージョ(Godello)の他、 Dona Branca、Treixadura といった品種が主要品種です。補助品種としては Albariño や Loureira の他、Blanca de Monterrei や Caiño Branco という品種もあるようです。初耳の品種が多いです(笑)。
黒品種は隣のカスティージャ・イ・レオン (Castilla y León)州のDO ビエルソ(DO Bierzo)と同じ、メンシーア(Mencía)が多いようです。


オウレンセ(Ourense)の西、車で30分ほどの所にアントニオ・モンテロはあります。
Montero01
オウレンセを抜けたミーニョ川(Río Miño)がカストレロ・デ・ミーニョ(Castrelo de Miño)という湖になっているところ、そこの南岸に見たところ民家風情のワイナリーがあります。この湖も抜けてミーニョ川は続き、スペインとポルトガルの国境となって大西洋に注いでいます。


ガリシア州を俯瞰して各DOの位置関係を見ましょう。これはいつも拝借する地図。
Galicia-1
シンプルでわかりやすいではあるんですが…。

これもネットで拾った地図。都市名や川が描いてあり多少はわかりやすいですかね。
Galicia-2

やはり、億劫がらずこれらDOをGoogle Map上に転記してみます(笑)。
Galicia
アントニオ・モンテロの場所も示しておきました。所在がDOリベイロの中心にあるのがわかりますね。進出したDOモンテレイは少し離れています。ここでゴデージョを栽培するために進出したんだそうです。
隣のカスティージャ・イ・レオン (Castilla y León)州のDO ビエルソ(DO Bierzo)も描き込んでおきました。ガリシア州のDOバルデオラス(Valdeorras)と隣接しており、2つのDOはどちらもメンシーア(Mencía)主体でよく似ています。また、DOバルデオラスの白はDOモンテレイと同じく今日のゴデージョが多いそうです。


ラベル平面化画像。
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ボトルをぐるっと包む一枚ものです。公式ページのQRコードは親切ですね。ラベルを剥がすと花やら果実が出てくるようなイラストになっています。ゴデージョの香りを表してるんでしょうかね。面白いデザインです。

インポータシールは透明で、空いたスペースにコソっと貼ってあります。
IMG_7149
DOモンテレイの認証シールもありますね。


さあ、抜栓。
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コルクも驚きの完全無印です(笑)。当然平面化撮影はしません。

Alc.13%。
ゴールドイエロー。
IMG_7174

黄桃、パイン、
フレッシュフルーツのバスケットのような華やかな香り。
辛口アタック。
きれいで穏やかな酸があります。
グレープフルーツとその程良い苦味を感じます。
ミネラル感もあり、薄っぺらくないのが好感持てます。
余韻で甘さっぽいのが尾を引くんですが、
いい効果になってスルスル行けます(笑)。

うまい。
個人的にとっても好きなタイプの白です。


*****


Antonio Montero
Godello 2020
DO Monterrei
WWWポイント80点



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Cantina Frentana Torre Vinaria Abruzzo Pecorino 2019

カルディで売っていたアブルッツォのペコリーノです。ペコリーノと聞けばチーズを想像しますが、白ブドウの品種でも同名のペコリーノがあります。ラツィオ、リグーリア、トスカーナ、ウンブリアでも栽培されていますが、圧倒的にアブルッツォ州(56%)とマルケ州(40%)で多く栽培されています。もっとも1990年頃には絶滅を危惧されるぐらい衰退したらしいのですが、近年どんどん増えてきてるようです。イタリアは本当にいろんな品種(課題)がありますね。

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作り手はカンティーナ・フレンタナ。1958年に協同組合が母体の会社として設立されました。現在400のワイン生産者が参加しており、畑の総面積は約800haになります。

公式ページこれなんですが、Torre Vinaria というタワーの専用ページがあります。

このワイナリーのタワーがシンボルであり、今日のワインのように「Torre Vinaria(ワインの塔)」の名前でブランド化しているようですね。今日のワインはショップサイトに載っています。
・ペコリーノ 100%
ボトルで3~4ヶ月熟成。

ペコリーノはイタリア原産ですが野生のブドウの木から直接派生したとされ親子関係は不明。
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今日のワインはアブルッツォ州全域が対象のアブルッツォDOC(Abruzzo DOC)なんですが、85%以上ペコリーノ(Pecorino)を使っているので品種名が表示できます。Cococciola、Malvasia、Montonico(Bianco)、Passerina といった品種もペコリーノ同様、85%以上の使用で品種名が表示できます。基本の白(Bianco)は、ご存知 Trebbiano(Trebbiano Abruzzese もしくは Trebbiano Toscano)を50%以上使います。

因みに、アブルッツォDOCの赤(Rosso)は80%以上モンテプルチアーノ(Montepulciano)を使う決まりになっています。これ、モンテプルチアーノ・ダブルッツォDOC(Montepulciano d’Abruzzo DOC)と何が違うねん!となりますよね。こちらは85%以上使用が決まりです。モンテプルチアーノ・ダブルッツォDOCは1968年制定。アブルッツォDOCは2010年とかなり新しいDOCです。そんな時系列のせいで整合が取れなかったんですかね。どちらも同じ範囲なので、アブルッツォDOCの赤をわざわざ設定する必要はなかったような気がしますが…。


作り手訪問。例のタワーがど~んと目立っていますね。
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タワーのてっぺんは2014年に改装され、パノラマテラス付きのテイスティングルームになっているそうです。さぞご自慢なんでしょう。


いつものようにGoogle Mapでアブルッツォ州を俯瞰。ワイナリーの所在も記入してます。
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実はペコリーノのDOCGで一番有名なのは、マルケ州側のオッフィダDOCG(Offida DOCG)だそうです。2001年にDOCになったあと、2011年にDOCG昇格しています。アブルッツォ州では、Terre Tollesi / Tullum DOCG というのが2008年にDOCになり、つい最近2019年にDOCG昇格を果たし、オッフィダDOCGを追撃しているようです。(笑)


ラベル平面化画像。
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ラベルのイラストはUFOかと思っていましたが、例のタワーのてっぺん部分ですね。(笑)


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルク(合成コルクのノマコルクですが)ともに完全無印。

Alc.13%。(pH:4.35、Brix:7.0)
イエローゴールド。
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梨、白桃。
樽はないんでしょうがナッツかバターも。
甘やかな酸から入るアタック。
これでフルーティさが強調されていい感じ。
グレープフルーツ的味わいがありますね。
その後、苦味かミネラル感のある後味につながって、
なかなか締まりのあるフィニッシュとなります。

ペコリーノ、何気にとっても美味しいです。


*****


Cantina Frentana
Torre Vinaria
Abruzzo Pecorino 2019
WWWポイント 80点



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