Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Tabalí Vetas Blancas Pinot Noir 2017

やまやで普通に売ってるチリのタバリのピノ・ノワールですが、ネックにパーカーおじさんの91点のシールが貼っています。円安で輸入品が高騰する昨今、ブルゴーニュのピノ・ノワールなんてそれ以上に高騰している感じでなかなか手が出ないですが、お手頃優等生のチリのピノという打開策がありました。パーカーポイントの91点なんて久しぶりにいただく気がします(笑)。

IMG_1669
ビニャ・タバリはサンティアゴの北方リマリ・ヴァレーに2002年にルクシッチ家(Luksic)が創設した新鋭ワイナリーです。このあたりには考古学的に貴重な先住民族の遺跡(El Molle:モジェ文化 というらしいです。)があり、タバリの名前やマークはそこから取っているようですね。最初のリリースから高い評価を得ていて、リマリ・ヴァレーにこだわって事業の拡大を続けてきましたが、2013年にマイポ・ヴァレーに「Viñedo DOM」というカベルネ・ソーヴィニヨンの畑を取得し更にレパートリーを増やしています。しかし、今日のピノ・ノワールはリマリ・ヴァレーの自社畑「Talinay」と「Espinal」からです。特に「Talinay」からはピノ・ノワールのフラッグシップ「Talinay PAI Pinot Noir」というのも作っていて、こちらはパーカーおじさん96点(2018)をつけています。ゴイゴイスー。

ビニャ・タバリの公式ページはしっかりしています。昔はもっと詳しかったような気はしますが。

ワイン紹介は非常に詳しいデータシート付きであります。

・ピノ・ノワール 100%

「Talinay」の畑から30%と「Espinal」の畑から70%のブレンド比率です。手摘み収穫。除梗ありです。フレンチオーク樽で12ヶ月熟成。さすがに手をかけて作られているようです。

ビニャ・タバリ(Viña Tabalí)を訪問します。ウェーブを描く屋根がカッコいいですね。
Tabali01
コキンボ州オバジェ(Ovalle)の町から車で20分くらいのところ。リマリ・ヴァレー(Valle del Limalí)の中心地です。

HPにリマリ・ヴァレー(Valle del Limalí)を俯瞰する地図があったので拝借して加筆。
Limali_Valley
本拠地の周辺が創業の畑でしょうか、「Tabalí」と「Espinal」という畑です。「Talinay」は少し離れて海に近いところです。書き込んである、Ovalle、Punitaqui、Monte Patria、Río Hurtado といったところは Valle del Limarí のサブゾーンになります。

今日のワインの畑のロケーションが図示してありました。
-TalinayEspinal
とにかくピノ・ノワールに適したクール・クライメットというのがわかります。海に近い「Talinay」の畑は海風の影響もあって常に冷涼な気候でブドウはゆっくりと完熟します。

コキンボ州(Coquimbo)をGoogle Mapで俯瞰して位置関係を把握しましょう。
Chile_Coquimbo_Elqui
コキンボ州には北からエルキ・ヴァレー(Valle del Elqui)、リマリ・ヴァレー(Valle del Limarí)、チョアパ・ヴァレー(Valle del Choapa)と3つのサブリージョンがあり、それぞれエルキ川、リマリ川、チョアパ川という川の流域に相当します。コキンボ州全体が「コキンボ(Coquimbo)」という Región(リージョン)になっています。
エルキ・ヴァレーの北のアタカマ州(Atacama)にはウアスコ・ヴァレー(Valle del Huasco)、コピアポ・ヴァレー(Valle de Copiapó)という産地が続いています。この辺りはもともとはピスコ(ブドウで作るチリを代表する蒸留酒)の生産のためのブドウ畑です。南半球なので北へ行くほど温暖になります。

チリの DO(Denominación de Origen)一覧表。いつも載せてますが、おさらいです。
RegiónSubregiónZonaÁreaTérmino complementario
Región vitícola de AtacamaValle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de CoquimboValle del ElquiLa SerenaCosta
VicuñaAndes
PaiguanoAndes
Valle del LimaríOvalleCosta
PunitaquiEntre Cordilleras
Monte PatriaAndes
Río HurtadoAndes
Valle del ChoapaSalamancaAndes
IllapelAndes
Región vitícola de AconcaguaValle del AconcaguaZapallarCosta
QuillotaCosta
HijuelasEntre Cordilleras
PanquehueEntre Cordilleras
CatemuEntre Cordilleras
Llay-LlayEntre Cordilleras
San FelipeEntre Cordilleras
Santa MaríaAndes
Calle LargaAndes
San EstebanAndes
Valle del Marga-MargaQuilpuéCosta
Valle de CasablancaCasablancaCosta
Valle de San AntonioValle de San AntonioCartagenaCosta
Lo AbarcaCosta
AlgarroboCosta
Valle de LeydaSan JuanCosta
Santo DomingoCosta
Región vitícola del Valle CentralValle del MaipoIsla de MaipoEntre Cordilleras
TalaganteEntre Cordilleras
MelipillaEntre Cordilleras
AlhuéEntre Cordilleras
María PintoEntre Cordilleras
ColinaEntre Cordilleras
Calera de TangoEntre Cordilleras
Til TilEntre Cordilleras
LampaEntre Cordilleras
SantiagoAndes
PirqueAndes
Puente AltoAndes
BuinAndes
Valle del RapelValle del CachapoalRancaguaEntre Cordilleras
PeumoEntre Cordilleras
ColtaucoEntre Cordilleras
RequínoaAndes
RengoAndes
MachalíAndes
Valle de ColchaguaParedonesCosta
PumanqueCosta
LituecheCosta
LololCosta
NancaguaEntre Cordilleras
Santa CruzEntre Cordilleras
ApaltaEntre Cordilleras
PalmillaEntre Cordilleras
PeralilloEntre Cordilleras
MarchigüeEntre Cordilleras
La EstrellaEntre Cordilleras
San FernandoAndes
Los LinguesAndes
ChimbarongoAndes
Valle de CuricóValle del TenoVichuquénCosta
LicanténCosta
RaucoEntre Cordilleras
RomeralAndes
Valle del LontuéSagrada FamiliaEntre Cordilleras
MolinaAndes
Valle del MauleValle del ClaroEmpedradoCosta
CureptoCosta
TalcaEntre Cordilleras
PencahueEntre Cordilleras
San RafaelEntre Cordilleras
San ClementeAndes
Valle del LoncomillaSan JavierEntre Cordilleras
Villa AlegreEntre Cordilleras
ParralEntre Cordilleras
LinaresEntre Cordilleras
LongavíEntre Cordilleras
RetiroEntre Cordilleras
ColbúnAndes
Valle del TutuvénCauquenesEntre Cordilleras
Región vitícola del SurValle del ItataPortezueloCosta
CoelemuCosta
ChillánEntre Cordilleras
QuillónEntre Cordilleras
Valle del BiobíoYumbelEntre Cordilleras
MulchénEntre Cordilleras
Valle del MallecoTraiguénEntre Cordilleras
Región vitícola AustralValle del CautínPerquenco
Galvarino
Valle de OsornoOsorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono

<Wikipedia Anexo:Regiones vitícolas de Chile より>



ラベル平面化画像。
IMG_1651
表ラベルには表示がないですが、裏ラベルを見ると「Reserva Especial」とあります。ここには熟成は10ヶ月と書いていますが、本家HPのデータシート(VETAS BLANCAS PINOT NOIR 2017)に12ヶ月とありますから12ヶ月がFAでしょう(笑)。


さあ、抜栓。
IMG_1665
パーカーおじさん91点シールが輝いています(笑)。2020では92点を獲得しているようです。パーカーおじさんの批評を読むと、「Talinay」の畑はブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネとジュヴレ・シャンベルタンからの選抜クローンを植えているんだとか。ヤバいよねホント。
<引用:TALINAY PAI PINOT NOIR 2018 – 96 points “It was produced with grapes from two massal selections from Vosne-Romanée and Gevrey-Chambertin in Burgundy. It’s a unique 1.15 hectares of vines that were planted in 2012, and the first commercial wine was produced in 2018. This goes straight to the premier league of Pinot Noir form Chile. It’s an impressive debut, truly spectacular and with a completely different personality, keeping the Talinay saltines and austerity with added complexity and elegance. It breaks the mold. Bravo!” ROBERT PARKER>

コルク平面化。
IMG_1666
DIAM5です。

Alc.13.5%。
エッジがクリアで大胆に褐変のルビー。
IMG_1667

フランブエサ(スペイン語のラズベリー)、ダークチェリー。
佃煮香あり。
辛口アタック。
枯れた感じの中に深みを感じます。
酸はいい感じに映えているしね。
やっぱり、本当にブルゴーニュっぽい。
余韻も貫禄が出ています。
これはブルゴーニュの代わりになりそう(笑)。
みんな、やまやへGO!


*****

Viña Tabalí
Vetas Blancas Pinot Noir 2017
Reserva Especial
Viñedos Espinal y Talinay
D.O. Valle de Limalí
RRWポイント 92点


Blue Pyrenees Estate 2018

ピレニーズ(Pyrenees)というGI(Geographical Indication)がオーストラリアのヴィクトリア州にあるのは近隣のワインを試したりして知っていました。コストコで、そのGIのその名もブルー・ピレニーズ・エステートというワインを見つけたので思わず手に取りお試しと行きます。

IMG_1693
ブルー・ピレニーズ・エステートは、元はコニャックで有名なフランスのレミー・マルタンによって1963年に設立された「シャトー・レミー」というワイナリーで、当初はユニブランを栽培しオーストラリア全土にブランデーを供給するために設立されました。
ワイナリーの初代マネージャーであるジョン・ロブさんがシラーズなど赤ワインの品種をやりだしたらしいです。年月が経ち、1982年には現在の「ブルー・ピレニーズ・エステート」と改名し、地元の名門リッチモンド・スミス家が取得して現在に至っています。

コストコではこのような形でこのような価格で売られています。
IMG_3691
コストコにしてはいいお値段です。日本では「ブルー・ピレネー・エステート」と呼ぶみたいです。もとはフランス語でしょうが(Pyrénées=ピレネー山脈)、オーストラリアではそうは発音しないと思うんですが、どうなんでしょう。

公式ページは立派なんですが、ワイン紹介はショップ兼用で在庫分しか載ってない感じ。

今日のワインは以下のようなブレンドなんですが公式ページにはこれが載っていません。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 55%
・メルロー 45%

熟成情報もネットに頼りますが、新樽(40%)、2年落ち(30%)、4年落ち(30%)のフレンチ/アメリカンオーク樽の混成で24ヶ月です。結構やってますね。

ブルー・ピレニーズ・エステートを訪問しましょう。今日は上空写真です。
BluePyrenees
山裾にある立派な施設です。周りも雰囲気あります。ポツンと一軒家状態ですが。

この辺りがピレニーズ・シャイア(Pyrenees Shire)という行政区分になります。
Melbourn=Pyrenees
「GI Pyrenees」はここからつけられた名前ですね。今日のワインも GI Pyrenees の表示になっています。最寄りの都会メルボルンからでも2時間半もかかるんですね。でっかいど~!オーストラリア!

さあ、ヴィクトリア州を俯瞰して他のGIなどとの位置関係も把握しましょう。
Australia_Victoria
右上の囲み地図を見てもらうと、「Pyrenees」は「Grampians」、「Henty」と合わせて「Western Victoria」というリージョンを形成しています。

こういったGIの詳細はオーストラリア公式 Wine Australia のサイトをご参考ください。


ラベル平面化画像。
IMG_1662


さあ、スクリュー回転。
IMG_1690

Alc.14.5%。
濃いガーネット。粘性の涙。
IMG_1691

黒ベリー、ダークチェリー、森の下草。
いきいきフレッシュな雰囲気の辛口アタック。
実直な複雑味を蓄える膨らみのある味わい。
軽やかさはメルローをブレンドした良さというべきですね。
喉元のビターネスを感じつつの余韻は長し。
コストコの解説のように、
新世界というより王道のボルドーの雰囲気です。


*****

Blue Pyrenees Estate 2018
RRWポイント 93点


Bend California Cabernet Sauvignon 2022

ふと、アメリカ TTB(Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)のサイトに立ち寄ると、現在のAVA(American Viticultural Area)総数が全米では 270、カリフォルニアでは 150 となっていました。あれ?1個増えています! 3月15日に「Contra Costa AVA」というのが新たに加わったそうです。これは記事を書かなきゃと思いましたが、まだそのAVAを冠したワインが出ているわけもなく、とりあえず手元にあったカリフォルニアワインを開けて無理やり記事を書こうと思います。しかし「Contra Costa」って聞いたことがありますね。前に飲んだような気が…?

IMG_1704
名もない安いカリフォルニアワインを開けてしまったもので、その素性を調べるのが難儀しそうです。裏ラベルにはナパの「Bend Cellars」とありますが、なんとなくカスタムクラッシュ(ワイナリーや畑を持たない作り手が、ブドウを持ち込んでワイン造りの設備を借りて作るシステム)の匂いがしますね(笑)。
ネット情報によると、ダリオ・デ・コンティ(Dario de Conti)さんというカ・モミ(Ca’ Momi)ワイナリーをナパに立ち上げたイタリア人3人組の一人がやってるブランドがこの「BEND」だそうです。ただ、カ・モミのサイトを見るとこの方の名前はなく、共同経営のはずの残りの2名の名前しかありません。ハミゴにされたのかと思いきや、この残りの二人が運営するワイングループ「Fior di Sole」の傘下のブランドに「BEND」は名を連ねています。いったいどうなってんの?

「Fior di Sole」のページにこのように確かに「BEND」は載っています。


実は「BEND」の公式ページというのも存在しています。 

ほぼトップページのみでワイン情報など望むべくもない感じですが(笑)。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

インポーターのサイトには「オークのフレーバーがワインに複雑さとふくよかさを与えています。」なんて書いてあるのでオークチップ漬けで香り付けくらいはしてそうです。


ナパヴァレーの地図にカ・モミの場所を示しています。
Napa_Valley_AVA
「BEND」がそこなのかは不明ですが(笑)。ただ、カ・モミの共同経営者から外れたとしても、今も関係性を保ってるようですのでワインは同じところで作ってるかもですね。


さあ、それより今日は新しいAVA「Contra Costa」を見ていくんでした。カリフォルニア州には「Contra Costa County」というカウンティ(郡)があります。地図上に示しました。
California_AVA-NEW
以前、「Contra Costa County」表示のワインを飲んだことがありますが、産地がそのカウンティであるという表示であって、今回新たに設立された「Contra Costa AVA」とは別物ということになります。

TTBの情報から今回の「Contra Costa AVA」をGoogle Map上に示してみました。
Contra-Costa-AVA
サンフランシスコ市郡(City and County of San Francisco)のすぐ東側にコントラ・コスタ・カウンティはあります。(実際は間にアラメダ・カウンティがちょこっと入りますが。)で、今回認められたAVAというのは、コントラ・コスタ・カウンティの北側部分になる感じですね。カウンティ名と同じAVA名というのは少々ややこしい気がします。(Napa AVA や Sonoma AVA がないように。)

また、コントラ・コスタ・カウンティは、Lamorinda AVA を内包し、Livermore Valley AVA の一部とオーバーラップします。さらにいずれのAVAも広域のサンフランシスコ・ベイAVA(San Francisco Bay AVA)に内包されています。もっとも、サンフランシスコ・ベイAVAはさらに南側(この地図外)にサンタ・クララ・ヴァレーAVA(Santa Clara Valley AVA)を内包しながら広がり、南側のサン・ベニート・カウンティにまで達します。


ラベル平面化画像。
IMG_1674
ワイン名の「BEND」は「曲げること」「曲がり角」の意味で、新しい発見に導く曲がり道を表してるんだそうで。


さあ、抜栓。
IMG_1701
記号とかさえない完全な無印コルクでした。

Alc.13.5%。
ガーネット。
IMG_1702

黒ベリー、リコリス。
ゼラニウムっ気も。おがくず?
辛口アタックながら、甘み含んだ膨らみが感じられます。
厚み・コクの感じは若干弱めながら、構造感はしっかりありそう。
余韻は一瞬いいかと思いましたが、甘さが残ってちょっと残念。
素性は悪くないんですが、甘味はね…。


*****

Bend Cellars
California
Cabernet Sauvignon 2022
RRWポイント 87点


サッポロ グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 絢-AYA- 2021

サッポロのグランポレールのシリーズは過去からいくつか試してますが、どれもなかなかよく出来ていて間違いがないという印象です。今日のこれはスーパーで売ってるお安めのブレンドですがどうでしょうか、お試しと行ってみましょう。

IMG_1698
サッポロのグランポレールのシリーズは、長野、山梨、岡山、そして北海道余市の4ヶ所がブドウの産地となっています。自社ワイナリーがあるのが、山梨の勝沼と岡山になります。どちらも過去実際に訪問していますが、いずれも規模の大きな立派な施設です。
サッポロはワインショップ「恵比寿ワインマート」をグループ内に擁しているんですが、ここは恵比寿の(サッポロビール恵比寿工場跡地に再開発された)YEBISU GARDEN PLACE内に「WINE MARKET PARTY」(ワインマーケットパーティー)というワインショップの実店舗を出しています。東京見物した際にこちらも覗いたことがあります(笑)。

サッポロビールの公式ページ内にグランポレールのブランドサイトというのがあります。

今日のワインもブレンドシリーズと呼ばれる普及レンジですがちゃんと紹介はあります。

・マスカットベーリーA主体

山梨県産マスカットベーリーAを主体としてブレンドしているとのことですが、マスカベAが何%で他に何をブレンドしているのか詳細は書いていません。「絢はグランポレールの末っ子です。絢はぶどうの産地を限定せず、日本の複数産地のぶどうをブレンドしています。」なんだそうです。

お馴染みマスカット・ベイリーAですが、今一度まとめておきます。
Takeda04
川上善兵衛氏が1927年(昭和2年)に作り出した品種です。新潟県が原産の日本固有種ということで、2010年の「甲州」に次いで、2013年にOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に登録され、国際的なワイン用ブドウ品種として公式に認められているのはご承知の通りです。日本のワイン用黒品種では第1位の生産量を誇ります。

母方にアメリカ原産の交雑種ベイリー(Bailey)と、父方に欧州のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)を掛け合わせたものですが、ベイリーがヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)を含む種間交雑種(ハイブリッド*)のため、マスカット・ハンブルクがヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)であるものの、そのフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)はかなり特徴的です。いわゆるグレープジュースの香り。個人的にはキャンディ香とか呼んでいますが、実はワインからこの香りがするのは勘弁してほしいと思っています(笑)。

厳密に言うと、母方のベイリー自体は4分の1はヴィティス・ヴィニフェラの系統なので、マスカットベイリーAの半分がヴィティス・ラブルスカの血筋というわけではありません。それでもこの香りがよく出てくるというのは、ラブルスカの遺伝って、よっぽどキツイんですね(笑)。

父方のマスカット・ハンブルクはマスカット・オブ・アレキサンドリア(いわゆるマスカット)とチロル地方原産のスキアヴァ・グロッサ(Schiava Grossa)を交配した品種です。スキアヴァ・グロッサはドイツのトロリンガー(Trollinger)のことでしたね。ややこしい…。

(* 主にアメリカ系品種との交配品種。EU圏ではこれらを使ってワインを作ってもワインとは認められず輸入・販売もできません。ヨーロッパ人のヨーロッパ系品種至上主義の偏見から来るものと個人的には推察します。日本のマスカットベイリーAも厳密にはハイブリッドですが、2013年に国際ブドウ・ワイン機構 OIV に日本固有品種としてワイン用品種に登録されていますので、ワインとして欧州に輸出できます。なんかええ加減やな~。)

ところで、このマスカット・ベイリーA、ここでは「ベイリー」と書いていますが、今日のワインでは「ベーリー」と表記しています。アルファベット表記では「Muscat Bailey A」一択なのですが、日本語表記となると、マスカット・ベーリーA、マスカット・ベーリA、マスカット・ベリーA、マスカット・ベイリーAの4表記がOIVに登録されてるそうです。元の英語がベイリー(Baily)ですから、特に「ベリー」はいかがなものか?と思いますね。「Berry」と混同する人がいそうですから(笑)。


ブドウは山梨ですが、このワインはサッポロビール岡山ワイナリーで作っているそうです。
IMG_1327
これは実際に岡山に訪問した時のサッポロビール岡山ワイナリー写真です。なかなか立派な施設ですよ。ショップにはサッポロの代表的なワインが揃ってるのでありがたいです。しかし、山梨産のブドウをここまで持ってくるんですかね。モスト(搾汁した果汁)の状態で輸送でしょうか。

恒例の岡山県の俯瞰をしますが、関西のエリアと他のワイナリーも入れてみました。
Okayama
散らばってはいますが岡山には4つもワイナリーがありますね。少ないながら関西もがんばっていますね。「おらがワイナリーが載ってない!」ということもあろうかと思いますが、一応自分が知っている、もしくは行ったことがあるワイナリーを書き込んでいます。(だいたい行ってます。)


ラベル平面化画像。
IMG_1685
「製造地:岡山県赤磐市東軽部1556」となっています。これがサッポロビール岡山ワイナリーの住所です。


さあ、スクリュー回転。
IMG_1696
ネックを覆わない日本酒で使われているようなスクリューキャップです。

Alc.11.5%。
ローズピンク系のルビー。
IMG_1697

いちご、ラズベリー。
甘口っぽ~い辛口アタック。
キャンディ風味きましたね。
マスカベAのフォクシーフレーバーですね。
それなりにコクはあるんですが、次第に甘みも増してきました。
でも、嫌じゃないです。
柔らかな日本ワインらしい日本ワインを堪能できる、
そういった印象です。


*****

Grande Polaire
Esprit de vin japonais AYA 2021
グランポレール
エスプリ ド ヴァン ジャポネ
絢 -AYA- (赤) 2021
RRWポイント 84点


Viña Carmen Insigne Carménère 2022

ありがたいことにカルメンはガッツリやまやに置いてあるので、過去に大抵のラインナップは試しています。…と思っていたら、一番ローエンドのバリエタルシリーズ「Insigne」のカルメネールをまだ試していないことに気がつきました。これはいけません。急いで試します。

IMG_1646
カルメンはチリ大手のひとつですが、1850年から続くチリ最古のワイナリーです。失われた品種カルメネールが1994年に再発見されたのがカルメンの畑なので、Carmenereからカルメンという名前になったのかなと思ってしまいますが、1850年の創業者Christian Lanzさんの妻の名がカルメンだったとのことで、カルメンと名付けられています。
1987年には、すぐ隣のこれも古参のワイナリー、サンタ・リタ(1880年創業)がカルメンを買収します。その翌年の1988年には大企業グループ、グルーポ・クラロ(Grupo Claro)にサンタ・リタごと買収され、現在サンタ・リタもカルメンも同じクラロ・グループの傘下となっています。

公式ページはよく出来ていて、今日のローエンドのインシグネもちゃんと載っています。

一応、最新ヴィンテージ(2022)のデータシートまで完備です。

・カルメネール 85%

えっ?残り15%は何なの?という書き方になっていますが、チリの輸出用ワインが品種や生産年を表示する際、当該ブドウを85%以上使うことになっているため、その規則をそのまま書いたのかと思われます。(チリ国内向けは75%でもいいことになっています。)結局100%なんじゃないかと思います。フレンチオークで3ヶ月の熟成です。(「樽」とは書いていない。笑)


カルメンを訪問したいんですが、幹線道路から奥まっていてストビューがありません。
Carmen01
facebook にあった写真を拝借しましたが、これ以上のいい写真が見当たらないんですよね。幹線道路側に入り口もなく、どうやら同グループのサンタ・リタの方からアクセスするようです。右側の地図を見ると、カルメンとサンタ・リタは同じ敷地内にあるようです。いずれにしてもこの辺りはマイポ川の流域になり、ブイン、イスラ・デ・マイポ、プエンテ・アルト、ピルケなどマイポ・ヴァレーのサブゾーンが集中しているエリアになります。

ご参考ですが、これはカルメンの畑にある「カルメネール発見の記念碑」です。
Carmen_carmenere
日本カルメネール振興協会としては是非ここを訪れたいと願っています(笑)。

首都サンティアゴ周辺(首都州:Región Metropolitana de Santiago)を俯瞰します。
Chile_Santiago_Alrededor
今日のワインはD.O.(Denominación de Origen)セントラル・ヴァレー(Valle Central)となっていますが、さらに南のマウレ・ヴァレーまで含む広域になります。


ラベル平面化画像。
IMG_1616
カルメネールの綴り(アクセント記号の有無)について、表ラベルは「Carménère」なのに裏ラベルは「Carmenère」となっています。そしてHPを見ると「Carmenere」とアクセント記号なしです。一体どうなっとんねん?
カルメネールの綴りについては過去に考察していますのでご確認ください。日本カルメネール振興協会では、フランス語とスペイン語の発音が「カルメネール」で両立する「Carménère」表記を推奨しています(笑)。

恒例、インポーターシールの裏ラベル隠しです。
IMG_1615


さあ、スクリューキャップ回転。
IMG_1649

Alc.13%。
赤味がかったガーネット。
IMG_1645

黒ベリー、ダークチェリー、青草。
カルメネールの特徴は出ています。
辛口アタック。
軽めネールながら味の実体、厚みはしっかりあります。
でもやっぱり軽いかな。
ローエンドですから仕方ないですね。


*****

Viña Carmen
Insigne
Carménère 2022
RRWポイント 88点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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