久しぶりにリカマンの三条御前を覗くと、以前試したことのあるヴァルテッリーナ(Valtellina)の作り手ニノ・ネグリ(Nino Negri)が置いてありました。おっ、これはキアヴェンナスカ(ネッビオーロのシノニム)がいただけるなとよく見ると、なんとネッビオーロから作った白ワインだというじゃないですか。これは試してみなくてはなりません(笑)。

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作り手はヴァルテッリーナ(Valtellina)の中心地のひとつキウロ(Chiuro)の町に1897年創業という歴史あるニノ・ネグリ社。公式ページを見るとわかるのですが、今では Gruppo Italiano Vini というイタリア全土をカバーする大グループに属するようです。

公式ページは山深いヴァルテッリーナの解説もしっかりあってかなり情報充実です。

今日のネッビオーロの白、名物ワインなのかデータシート付きで紹介がありました。

・キアヴェンナスカ(ネッビオーロ) 100%

手摘み収穫されたキアヴェンナスカ(Chiavennasca)は果皮の色が移らないようにソフトプレスされ、果皮はすぐに取り除かれ果汁とのコンタクトを遮断します。発酵後は澱と共に(シュールリー)数ヶ月熟成されます。

さて、ネッビオーロ(Nebbiolo)。もちろんイタリア原産です。
Nebbiolo
ロンバルディア州の北部、ヴァルテッリーナ(Valtellina)のエリアでは「キアヴェンナスカ(Chiavennasca)」というシノニムで呼ばれるのは前述の通り。ニノ・ネグリのHPの解説ではキアヴェンナスカという呼称は出てきますが、ワインの表示には通りのいい正式名称のネッビオーロの方を使っているようです。ピエモンテ州ではゲンメやガッティナーラなど北の方ではスパンナ(Spanna)と呼ばれ、ヴァッレ・ダオスタ州ではピコテンドロ(Picotendro)というシノニムがありましたね。

ネッビオーロの親子関係は不明で、少なくとも片親は絶滅していると考えられます。ピエモンテやロンバルディアの数ある土着品種(Brugnola、Freisa、Nebbiolo Rosé、Negrera、Neretto di Bairo、Pignola Valtellinese、Rossola Nera、Vespolina)のどれかがもう片方の親で、残りの品種もネッビオーロの子孫に当たるそうです。なので、ネッビオーロはピエモンテやロンバルディアの品種の祖(Lead Variety)と考えられています。

世界合計で 7,997ヘクタールが栽培されていますが、イタリアがその内94%(7,551ha)を占めます。その次に多いのが、グッと数字は落ちますが、なんとメキシコの180ヘクタールです。確かにメキシコにはいいネッビオーロがあるんですよ。日本には入って来ていないですけどね(涙)。あとはオーストラリア(107ha)、アメリカ(63ha)と続きます。


さあ、キウロ(Chiuro)の町の中心にあるニノ・ネグリを訪問します。
Nino-Negri
にも訪問していますが、路地が狭く引きで写真が撮れません。よって向かいの路地から家政婦が見たような写真になってしまいました(笑)。城壁のようなものが見えますが、15世紀からあるキウロ城(Castel Chiuro)の地下にワインセラーが作られています。ヴァルテッリーナで最も古いワイナリーと言えるそうです。70年代に Gruppo Italiano Vini に買収されたのは前述の通り。

さて今日のネッビオーロの白ワイン、「Valtellina Rosso DOC / Rosso di Valtellina DOC」が名乗れません。ちゃんと規定のネッビオーロ90%以上使ってるんですが「Rosso」と言うだけあって白は無理なんでしょう(笑)。ということで広域の「Alpi Retiche IGT(アルピ・レティケ)」を名乗ってます。このIGTの範囲を見てみましょう。(*IGT=Indicazione Geografica Tipica)
SondrioOR
まずこの辺りのエリアは、ロンバルディア州の北東部、スイスと国境を接するソンドリオ県(Provincia di Sondrio)の中にだいたい納まっています。コモ湖に流入するアッダ川(Flume Adda)流域に「Valtellina Rosso DOC / Rosso di Valtellina DOC」及び「Valtellina Superiore DOCG」があります。件の「Alpi Retiche IGT」はこれらDOC/DOCGを内包する広域のIGT/IGPなんですが、厳密にはソンドリオ県全域ではないので上の地図で範囲をご確認ください。

ネッビオーロを主体とした Valtellina Rosso / Rosso di Valtellina DOC が1968年にDOCとして認められますが、1998年に Valtellina Superiore DOCG という単独DOCGが派生します。どちらもネッビオーロ90%以上ですが、Valtellina Rosso DOC が6ヶ月熟成なのに対し、Valtellina Superiore DOCG は2年熟成、内1年は木樽熟成が義務付けられます。2003年更に、Sforzato di Valtellina DOCG という、陰干しで凝縮させた濃いワイン(アルコール度数14%以上)が単独のDOCG化をしています。

以前ヴァルテッリーナ・スペリオーレを試した時に描いた地図です。
Valtellina03
Valtellina Superiore DOCG にはサブ・ゾーンがあり一緒に表記できます。Maroggia、Sassella、Grumello、Inferno、Valgella の5つです。

最後にロンバルディア州のDOC/DOCG地図で全体の関係をおさらいしておきます。
Lombardia_NEW
ロンバルディア州は多様な産地が一つの州に詰まってる印象があります。これをバラエティーに富んでいるというのか、カオスというのか...。


ラベル平面化画像。
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IGT名の「Alpi Retiche」がワインの名前のようになってます。

モンテ物産の裏ラベルのシール、何がしたいんでしょうね。
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バーコードを隠すでもなし、ワイン名だけ隠してる…わけワカメ。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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サトウキビ由来の天然素材から出来ているノマコルクです。

Alc.11.5%。
オレンジ味のイエロー。やっぱり少し果皮の着色はありそうです。
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香りは桃っぽいかな。ラズベリーもあります。
辛口アタック。
酸が赤を感じさせる、赤ワインの酸ですね。
そりゃあ、ネッビオーロの酸ということでしょう!
本体は柑橘系の風味がして、白ワインであることは間違いないようです。
完全に白ワインなんですが、ネッビオーロの雰囲気も味わえる、
なんとも不思議な感じです。
よって今日は赤ワインとしてRRWポイントを付けました。


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Nino Negri
Alpi Retiche IGT Bianco 2022
Ottenuto da uve Nebbiolo
RRWポイント 89点